第〇話 10000番目の王女
わたくしは、第10000王女のサツキと申します。
先日16歳となりました。
どうぞよろしくお願いいたします。
『第10000王女』ということからお分かりかと存じますが、わたくしには実にたくさんの異母兄弟、異母姉妹がございますの。
わたくしを含めますと、その数なんと20016人。
その内訳は王子10016人、王女10000人となっております。
これ程たくさんの子をなした王は『子宝王』、『不眠王』もしくは『絶倫王』などとお呼ばれになられています。
その王の側室であるわたくしの母は、19943番目の妻。
そして、吹けば飛ぶような底辺貴族の生まれ。
ただ外見が良かったがために、王に見初められた女性です。
体の弱かった母は、わたくしを産んですぐ亡くなってしまわれました。
そして母を追うかの様に、おじい様は戦争で、おばあ様は病気で亡くなられました。
幼くして孤児となったわたくしは、親類の方々にたらい回しにされ、ようやく今の家に落ち着くことができたのです。
そのような境遇であっても、わたくしは王女には違いありません。
つまり王位継承権がございます。
わたくしの王位継承権は、第20016位。
20015人のお兄様とお姉様がお亡くなりになれば、わたくしが王位を手にすることになります。
宮中の謀略によって、王位継承権一桁や二桁のお兄様、お姉様がお隠れになられることもございます。
わたくしの記憶では、すでに13人ほども。
ですので、あとたったの20002人。
わたくしがこの国の女王になるのも時間の問題ですわ。
……ええ、もちろん冗談です。
わたくしの王位継承権は最下位です。
ですので、王位継承の争いで生命を狙われることもありません。
そんなわたくしが女王になるなど、たとえ女神様がおヘソでお茶をお沸かしになられたとしても、ありえないことですわ。
それにわたくし、面倒そうな女王になるなんてまっぴらごめんですから。
ただの貧乏貴族の小娘で十分です。
さて、現在のわたくしの家族について紹介させてくださいな。
わたくしを育ててくださった義父、義母は、A級魔術師です。
二人は王国の教導魔術師として活躍されています。
わたくしはそんな二人をとても尊敬しておりますの!
私は小さい頃から二人の魔術教育を受けてきたんです!
だから私は魔術がとっても大好き!
……コホン。
わたくし、魔術を少々嗜んでおりますの。
実はわたくし、淑女らしく立ち振る舞うのが苦手なのですわ。
普段は何とか誤魔化していますが、興奮すると先程のように地が出ることがございます。
ふふ、育ちが知れますでしょう?
そのせいで頭の出来がおめでたいお姉様方に、いじめられることもございましたけど。
わたくしは幼い頃からわんぱくで、おとうさまとおかあさまを困らせておりました。
ですがついに二人は、わたくしを立派な淑女にするべく、どこからか拾ってきた家庭教師をお付けになるようです。