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リン

おはよー!

今日も一日がんばろーねー!

さあ早く水を汲んで来とくれ!

今日はちょっと寝坊しちまったから急がなくっちゃ。

日が昇り切る前に汲んで来ないと仕込みが間に合わないよ!


アタシは飯屋のリン。

ここらでドンパチやってる兵士たちがうちのお客。

別に配給の食糧で十分だと思うんだけど、それじゃ味気ないってんで時々うちの飯を食べに来てくれる。

安くてボリュームたっぷり、栄養バランスは配給食には敵わないけど、とにかく味に関しては自信をもってお勧めいたしますよ。

なんたってうちの調味料は代々受け継ぐ秘伝の自家製調味料ですからね!

なんて、ホントは代々続いてなんかいないんだけどね。

この辺の子供たちは大抵孤児だ。

男は戦場に行っちまって残るのは女子供ばっかり、その女達が慰みモノになったり、あるいは日々のわずかな食料を手に入れるために兵士たちの相手をしたりして、その結果として子供ができる。

子供は大事に育てられるけど、その代わり母親の方は食べる物をみんな子供にやっちまうから当然餓えるよね、そのうえ時々流れ弾なんかが飛んで来たりすりゃあ・・・

まあ子供だけでも生き延びてるのが有り難いくらいなもんさ。

うちの飯の材料はと言えば、毎日そこらで取って来て使うのが常だ。

多少育ててもいるけど、それだって今日無事に育ってても明日無事に食えるかどうかは分からない。

そんなことに時間を使うくらいなら出掛けて行って取ってきた方がマシさ。

アタシの狩猟採集の腕はなかなかのモンだって、この辺りじゃ結構有名なんだよ。

魚も鳥も獣も虫も、木の実や草木の実、植物の葉に根っこや蔓に至るまで、まあアタシの取ってくるモンが使い物にならなかったなんてことは一度だってないね。

狙った獲物は逃がさないし、獲物は太らせてからなんてこともしてるから、獲れなくて(採れなくて)困るなんてこともないしね。

飯の代金として受け取った配給食は、ウチで手伝ってくれてる近所のガキどもにやる、いわば給金ってやつだ。

アタシも昔そんな風に生き延びたからね、まあ持ちつ持たれつっていうか、そん時の恩返しみたいなもんかね。

だけど、こん中でアタシの店を継げるようなヤツがいるかどうか、大抵途中で死んじまうからね。


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