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神様のナイフ  作者: ゆうやん
3/7

第三話

 パーティー会場は勇者召喚された部屋とは別の、より大きな部屋だった。


 にしても、人多くね?


 疑問に思ったのでメイドさんに聞いてみることにした。



「どうしてこんなに人が集まっているんですか?」


「それは毎年、この日だけに行われる国主催のパーティーだからですよ。このパーティーの参加資格はトゥルーデル王国にいるすべての人にあたえられます。王様はこのパーティーと勇者召喚に合わせて行い、他の国をけん制する狙いもあったのではないかと思いますね」


「へぇそうなんですか。でもそれじゃあ暗殺とかありますよね」


「もちろんあるでしょうね」


「え? じゃあ……」


「それは魔法を使い武器と思わしきものを預からせてもらいます。この魔法はとても精度が高く、体内に隠し持っているものでも検知できます。そして我が国の最高機密でもありますね」



 すげえな魔法。丸裸にされるってことか。




 パーティーも進み、さぁ、いよいよ挨拶だ。壇上に上がろうとしていたところで、とても嫌な気配を感じた。


 ん? なんだ?



「消えろぉぉぉっ!」



 叫び声のようなものが聞こえた瞬間、俺の体が光に包まれた。


 うわっ! なんだこれ。神様か?


 光がよりいっそう強くなり視界が真っ白に染まった。


 健人はパーティー会場から消えた。





 健人がいなくなったパーティー会場では……。



「健人くんっ! どこに行ったの!」


「衛兵! あの男を捕らえろっ!」



 叫んだ男は衛兵に捕縛され、尋問にかけられた。宰相の一人がその男に尋ねた。



「お前は何者だ?」


「……言うわけねぇだろ」


「そうか。では……。薬師! 自白薬を持ってきてくれ」



 持ってきたビンに入っていた液体を強引に男に飲ませていく。



「どうだ? 話したくなってきただろう?」 


「そうだな」


「ではもう一度聞くぞ。お前は何者だ?」


「俺は……。帝国の間者だ。勇者を消すよう命令を受けた」


「消すとはどういうことだ? 殺すということか? それとも転移魔法か?」


「殺すこともできたんだろうが、俺はあまりそういうことは好きじゃなくてね。転移させた。だが転移先は決めてない。生きているか死んでるかは運次第だ」


「それは誰に命令されたんだ?」


「帝都の貴族、からだ」


「だれだ?」


「ブッチ・テイラーだ」


「なっ……。あのブッチ・テイラーか!」


「あぁ、そうだ。奴は勇者召喚のことを知っていた。勇者召喚されてしまうとこの国だけが魔族との戦争で功績を挙げ、帝国の分け前が減るからな。なら、勇者が成長する前に消そうと思ったんだろうな」


「奴は私利私欲のためには人類のことさえ顧みないというのか」


「そうだ。だが、それはそれとして、俺の処分はどうなるんだ?」


「お前の処分はまた後日言い渡す。それまでは牢に入っていろ」





 光が落ち着くとそこは、樹々が鬱蒼と生い茂る森の中だった。


 さっきのなんだ? 神様がなんかしたのか? でも神様の時の光とは少し違ったよな。まぁいっか……。



「つかここどこだよ!」



 しまった。つい叫んでしまった。周りに人とかいないよな……。


 確実に城内じゃないよな。なら外か……。


 外!? え? やべぇ! 魔獣とか居るよな。俺ってステータス、普通の人より低いんだよな。魔物に会った瞬間死ぬ。これはまずい。


 とりあえず



赤いナイフ、出てこい!



 赤いナイフを握りこみ太ももに突き刺した。刺す時の抵抗が少し減ったな。


 ほんの少し体が軽くなった気がする。



 よしっ!


ステータス!



・・・・・・・・・・・・・・・


名前:橘 健人

性別:男性

年齢:16

種族:人族

Lv:1

HP:60/60(2・120/120)

MP:30/30(2・60/60)

攻撃:3(2・6)

防御:2(2・4)

魔攻:3(2・6)

魔防:2(2・4)

敏捷性:3(2・6)

器用さ: 3(2・6)

スキル:鑑定Lv5

エクストラスキル:異世界言語完全習得

称号:神界への訪問者


・・・・・・・・・・・・・・・



 やっぱりステータスが増えてるな。すごいなこの赤いナイフ。でも赤いナイフって言いにくいよな。


 名前つけてあげようか。


 ならまぁ、赤いステータスを上げるナイフの方はルビー。青いスキルを上げるナイフの方はサファイア。これで行こう。


 安直すぎるか? いやいい名前だろう。


 では早速。


出てこい、サファイア!



 左手に青いナイフが出現した。

 うん。わかってくれたみたいだな。


 サファイアを戻した俺は、ルビーを体に突き立てるという行為を繰り返した。


 かれこれ一時間ほどしていたのだろうか?そろそろステータス確認するか。


ステータス!



・・・・・・・・・・・・・・・


名前:橘 健人

性別:男性

年齢:16

種族:人族

Lv:1

HP:60/60(902・54120)

MP:30/30(902・27060)

攻撃:3(902・2706)

防御:2(902・1804)

魔攻:3(902・2706)

魔防:2(902・1804)

敏捷性:3(902・2706)

器用さ: 3(902・2706)

スキル:鑑定Lv5

エクストラスキル:異世界言語完全習得

称号:神界への訪問者


・・・・・・・・・・・・・・・



 おぉ! これってなかなかやばいんじゃ無いか? なんか楽しくなってきたな、もっと刺すか。


 さらに30分ほど刺し続け満足したのでステータスを確認することにした。



ステータス!



・・・・・・・・・・・・・・・


名前:橘 健人

性別:男性

年齢:16

種族:人族

Lv:1

HP:60/60(1367・82020)

MP:30/30(1367・41010)

攻撃:3(1367・4101)

防御:2(1367・2734)

魔攻:3(1367・4101)

魔防:2(1367・2734)

敏捷性:3(1367・4101)

器用さ: 3(1367・4101)

スキル:鑑定Lv5

エクストラスキル:異世界言語完全習得

称号:神界への訪問者


・・・・・・・・・・・・・・・



 正直このステータスって異常だよな。日常生活に支障をきたしそうなレベルだ。なら少し実験をしようか。


 先ずは、歩いてみるか。



 よし、普通に歩けるな。次はジャンプだ。とりあえず軽く飛んでみよう。


 何十メートルか飛び上がった。



 終わったぁぁぁっ! 軽く飛んで何十メートル飛び上がるって、本気出したらどんだけ飛べんだよっ! すでに人間業じゃねぇよ!



 もういい、次だ次。次は……。走るか。これはあんまり危険では無いだろうし、少し本気出してもいいよな?


 クラウチングスタートでいこう。スターティングブロックは無いけどいけるだろ。かっこ良くロケットスタートを決めてやろう。


 しゃがみ込み、腰を上げ、蹴り出す! 瞬間、とてつもない加速で走り出した。


 これ止まれねぇぇぇっ!


 全力でブレーキをかけ、大木に激突してなんとか止まれた。


 激突したところは全く痛くはないが、走ってきたところを振り返って見てみると絶句してしまう。


 さすがに引くな、これは。


 そこには蹴り足の衝撃を受け、小さいクレーターをいくつも作っている地面があった。



 自分のステータスに色々な意味で感動していると、茂みの中からガサガサと音が聞こえ何かが飛び出してきた。


 ん? 人か? にしては小さいな。子供か?


 何か持っているな。


 良く観察してみると……。曲がった大きな鼻、ギラギラとした目、尖った耳。棍棒もってる。


 あれってもしかしてゴブリンか?


 鑑定してみるか?


鑑定!


はぐれゴブリン

性別 ♂

Lv:5

HP:57/58

MP:0/0

攻撃:26

防御:17

魔攻:3

魔防:5

敏捷性:29

器用さ: 5



 すごいなぁ、鑑定。


 そんなことを考えていると、ゴブリンが棍棒を振り上げ襲いかかってきた。



「キシャァァァァッ!」

「うおっ!」



 棍棒を間一髪で躱し、距離をとる。初撃を躱され、少し戸惑っているように見える。


 うぉぉぉ! 怖ぇぇぇぇっ!



 警戒しているゴブリンが少しだけ距離を詰める。俺が少しだけ後退する。


 またゴブリンが距離を詰める。また後退する。


 このまま続けたら逃げることができるんじゃないか?


 そう思い、また後退しようとすると、足元に伸びていた蔓に引っかかり転んでしまった。


 これを好機とみたゴブリンが走ってくる。


 あ、やばい!


 最低限の防御として頭を抱え、向かってくるゴブリンに闇雲に足を突き出した。


 ばんっ! という音の後にドサリと崩れ落ちるような音がした。


 目を開けてみると、腹部に破裂したような穴の空いたゴブリンの死体が転がっていた。空いた穴から赤黒い血が溢れでている。


 これはなかなかくるものがある。だが不思議と忌避感や嫌悪感はなかった。


 これを俺がしたのか? ステータスを思い出し納得した。






レベルアップしました。



脳内にそんな声が響いた。

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