表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様のナイフ  作者: ゆうやん
2/7

第二話

 光りが落ち着くとそこには……



「やった! 成功したぞ! すぐに国王様に報告だっ!」

「「はいっ!」」




 という慌ただしい会話が聞こえた。声の主を探ると、真っ黒いローブのようなものを着ているいかにも魔法使いな人たちだった。


 あたりを見回して見ると、テレビでしか見たことがないようなヨーロッパ調のパーティールームにいた。


 足元を見ると魔法陣のようなものが描かれている。



「健人くん、ここどこかなぁ……」



 隣から花ちゃんの不安そうな声が聞こえてくる。


 連れてこられてから時間が経ってないのか? 神界とここでは時間の進み方が違うんだろうか?



「いや、俺にもわからん」



 しばらくあたりを探っていると 


 俺たちからは離れたドアが開き、豪華な衣装に身を包んだ恰幅のよい好青年が出てきた。

 

 その人に続いて何人かの男たちも出てきた。


 みんな同じような服装をしている。


 すると、あとから出てきた男たちの一人が黒ローブ集団の隊長格の男に話しかけた。



「勇者召喚というのは一人だけと聞いておるが。どういうことだ?」

「それが……。まったくわからないのです。おそらくどちらかは勇者召喚に巻き込まれたのでしょう」



 あ、それ俺だ。


 突然恰幅のよい好青年が話し始めた。



「突然で驚いていると思うが聞いてくれ。私の名前はアプフェルシュ・トゥルーデル。このトゥルーデル王国の王だ。君らには、この国に古くから伝わる勇者召喚の儀式によってここに来てもらった。詳しいことはこの文官に聞いてくれ」



 王様と名乗る男はそれだけ言うと出ていってしまった。


 先ほど黒ローブと話をしていた男が前に出て話し始めた。



「私はマチェ・ドニア。トゥルーデル王国の文官をしている。今からお二人の、ステータスを確認する」



 そう言いながら水晶玉を取り出した。



「これは、我が国のダンジョンで見つかった魔道具だ。ステータスとスキルを見ることができる」



 ダンジョンなんかもあるのか。神様言ってたっけ?



「では、そちらのかたからこの水晶玉に手をかざしてくれ」



 花ちゃんが指名された。



「いってくるね」

「ああ」



 花ちゃんが水晶玉に手をかざすと水晶玉が光り始めた。その光が水晶玉の上で集まり、透明な板のようなものが出現した。そこには……。



・・・・・・・・・・・・・・


名前:橘 花

性別:女性

年齢:25

種族:人族

Lv:1

HP:1500/1500

MP:1300/1300

攻撃:70

防御:90

魔攻:70

魔防:80

敏捷性:70

器用さ:80

スキル:鑑定Lv1


・・・・・・・・・・・・・・・



 これはすごいのか?



「おぉ! これはすごい。予想以上の結果だっ!」



 文官がそう言い出した。


 すると他の人たちも



「Lv1でこのステータス……。素晴らしい」

「訓練次第ではすごいことになりますね」

「このかたが勇者様だ」



 もう決めちゃうのかよ……。 


 いや、本当に俺は勇者じゃないんだけどな。


 そんなことを思っていると。



「一応君もステータスを見せるんだ」



 一応ってなんだよ! 


 呼ばれた俺は水晶玉に手をかざした。



・・・・・・・・・・・・・・・


名前:橘 健人

性別:男性

年齢:16

種族:人族

Lv:1

HP:60/60

MP:30/30

攻撃:3

防御:2

魔攻:3

魔防:2

敏捷性:3

器用さ: 3

スキル:鑑定Lv1


・・・・・・・・・・・・・・・



 ショボない!? 


 いやこの世界の普通を知らないけど、確実にショボいよな……。


 その証拠に水晶玉の後ろで文官たちがなんとも言えない顔をしている。



「これは……。一般人より弱い」

「すぐくたばりそうですよね」



 一般人より弱いのかよ!


 それはまずいな。



「なら、俺はどうなるんだ?」

「それはこの城にいてもいいと思うが、訓練には参加できないぞ」



 これは命は助けてくれるってことだよな?



「それではお二人には国王様に挨拶に行ってもらう」



 そんなことを考えていると文官が言い出した。

 

 俺たちが連れてお来られたのは城の一室。



「国王様、連れてきました」



 文官がノックをするとなかから「どうぞ入って」という声が聞こえたので入っていく。


 室内には美しい絵が飾られてあり、中央にソファがいくつか置かれてあった。そこには先ほど見たばかりの国王が座っていた。



「どうぞ座って」



 先ほどとは雰囲気が違い、軽い感じで話しかけてきた。気さくないい人なんだろうな。



「「失礼します」」



 俺と花ちゃんは同じソファに一緒にすわった。



「改めて自己紹介をするよ、初めまして国王のアプフェルシュ・トゥルーデルです」


「橘 健人です。」


「橘 花です」


「タチバナか、あまり聞いたことはないな、それで勇者はどっち?」


「私です」


「そんなんだ、女勇者だね。なら君は?」


「俺は勇者召喚に巻き込まれたみたいなんだ」


「そうなんだ、それは災難だったね」



 国王が軽い感じだったから、少し崩して話してみたんだが、咎められることはなかったな。



「俺は巻き込まれただけだから、勇者みたいな強さはないが、いいのか?」


「もちろんいいよ、後で部屋に案内させるから、安心して」


「そうか、それは助かる。だが、なんで勇者召喚なんかしたんだ?」


「その話をしていなかったね。このトゥルーデル王国は、三大大国の一つとも知られていてね、他の二国と連携してある国と戦っているんだ。その国っていうのが魔の国っていってね、魔王が統治している国なんだ。この国がまぁ強い。そこで、勇者召喚って訳だ。勇者を召喚してその魔王を倒してもらおうって訳。わかってもらえたかな?」


「それはわかったが、本当に争う必要があるのか?」


「というと?」


「仲良くはなれないのかなぁって」


「それは難しいだろうね。いまの魔王のままじゃ、ね? 奴は魔族至上主義を掲げているんだ。だから、それを除かないと仲良くってのは難しいと思う。人間と魔族が共存してる街もあるみたいだけどね」


「そうか、じゃあ花ちゃん、頑張らないとな!」


「うん!」


「ところで、今夜パーティーがあるんだけど、それに参加してくれないかな? 勇者召喚の結果報告をしないといけないから」


「それは俺も出ていいのか?」


「結果報告だからね。この人が魔王を倒してくれますよって伝わればいいんだ。あと挨拶も頼むよ」


「挨拶ってどんなことを話せばいいんだ?」


「普通に頑張りますとかでいいよ。そこまで重くはないからね」


「そういうことなら、わかった」


「じゃあメイドに部屋まで案内させるから。じゃあマチェ、頼んだよ」



 マチェって誰だ?



「わかりました」



 文官がの男が返事をした。


 あぁ、そんな名前だったな。



 メイドさんに案内された部屋はビジネスホテルのようだった。


ここが寝泊まりする部屋なのか。いいところだな。


 後で花ちゃんの部屋にも行ってみよう。


 花ちゃんの部屋は俺の部屋とは比べ物にならなかった。まず広いな。そして高級そうな調度品の数々、天蓋付きのベッド、挙げだしたらきりがない。



「花ちゃん、さっきの話聞いてどう思う?」



 花ちゃんのベッドに座りながら問いかけた。



「よくわからないけど、私がやらなきゃって思う」

「そうか、頑張ってね。俺は俺で頑張るから」

「うん!」



 笑顔で頷いてくれた。かわいいなぁ。



「そういえば召喚されたときの瞬間移動ってなに? 出来そう?」

「わかんない、でもパーティーまで時間があるから、練習してみる」

「じゃあ俺は鑑定について調べてみるよ」

「うん!」



 さて、鑑定ってあれだよな。なんでも調べられるってやつだよな。


 よし、とりあえずベッドを鑑定してみる。



ベッド

木でできたベッド。天蓋付き



 情報少なっ! 見た目でわかるわっ! どうもしなくてもレベルが低いからだよな。というか自分ではステータスは分からないのか?


 試しに念じてみる。 



ステータス!



・・・・・・・・・・・・・・・


名前:橘 健人

性別:男性

年齢:16

種族:人族

Lv:1

HP:60/60(1・60/60)

MP:30/30(1・30/30)

攻撃:3(1・3)

防御:2(1・2)

魔攻:3(1・3)

魔防:2(1・2)

敏捷性:3(1・3)

器用さ: 3(1・3)

スキル:鑑定Lv1

エクストラスキル:異世界言語完全習得

称号:神界への訪問者


・・・・・・・・・・・・・・・



 え?  普通に分かるじゃん。しかも水晶玉より詳しいし。横のカッコなんだろ。あと何? 称号って。そういえばナイフもらったなぁ。後で使ってみよう。


 でも今は鑑定の実験だ。


 さっきから、うーうー唸っている花ちゃんを鑑定してみる。



・・・・・・・・・・・・・・・


名前:橘 花

性別:女性

年齢:25

種族:人族


・・・・・・・・・・・・・・・



 おぉ! でた。 だけど情報量が少ないな。 とりあえずくりかえすか。


 ベッドを鑑定し続けた。すると



ベッド

檜でできたベッド。シルクの天蓋付き



 ほんの少し情報が増えたな。



ステータス!



・・・・・・・・・・・・・・・


名前:橘 健人

性別:男性

年齢:16

種族:人族

Lv:1

HP:60/60(1・60/60)

MP:30/30(1・30/30)

攻撃:3(1・3)

防御:2(1・2)

魔攻:3(1・3)

魔防:2(1・2)

敏捷性:3(1・3)

器用さ: 3(1・3)

スキル:鑑定Lv2

エクストラスキル:異世界言語完全習得

称号:神界への訪問者


・・・・・・・・・・・・・・・



 鑑定のレベルが上がってる。


 ナイフでもスキルレベルを上げれるんだよな。やってみるか。


 つか、ナイフはどこにあるんだ?


 念じてみるか。


ナイフ出てこい!


 すると、両手にナイフが一本ずつ出現した。


 おぉ! すごい。


ナイフなくなれ!


 ナイフが消えた。


 おぉ!


 じゃあ刺すか。


 青いナイフを持ち、鑑定のレベルアップを意識して、太ももに突き刺そうとして動きが止まった。


 やべぇぇぇ! めっちゃこぇぇぇ!


 日常生活でナイフを突き刺したことねぇよ。


 男見せろよ! 俺!


 意を決して突き刺すと、あれ?痛くない。神様、ネズミも殺せないって言ってたからなぁ。当たり前っちゃ当たり前か。


 太ももにナイフが突き刺さっている。血はでてないけど、グロテスクだな。


よし!


ステータス!



・・・・・・・・・・・・・・・


名前:橘 健人

性別:男性

年齢:16

種族:人族

Lv:1

HP:60/60(1・60/60)

MP:30/30(1・30/30)

攻撃:3(1・3)

防御:2(1・2)

魔攻:3(1・3)

魔防:2(1・2)

敏捷性:3(1・3)

器用さ: 3(1・3)

スキル:鑑定Lv3

エクストラスキル:異世界言語完全習得

称号:神界への訪問者


・・・・・・・・・・・・・・・



 おぉ! レベルアップしてる。もっとあげるか。


 結果、鑑定のスキルレベルは5から上がらなくなった。


 スキルレベルは5が最大なんだろうか。もう一度花ちゃんを鑑定してみる



・・・・・・・・・・・・・・・


名前:橘 花

性別:女性

年齢:25

種族:人族

Lv:1

HP:1500/1500

MP:1300/1300

攻撃:70

防御:90

魔攻:70

魔防:80

敏捷性:70

器用さ:80

スキル:鑑定Lv1

エクストラスキル:異世界言語完全習得

称号:なし


・・・・・・・・・・・・・・・



 おぉ! 全部分かる。ステータスを鑑定することはできないのか?


名前

名前が表示される。


性別

性別が表示される。


年齢

年齢が表示される。最高年齢はエルフ族の3690歳。


種族

種族が表示される。人族 獣人族 エルフ族 ドワーフ族 龍族 魔族がいる。


Lv

レベルが表示される。数字が大きくなればなるほど強くなる。


HP

ヒットポイントが表示される。0になると死亡する。レベルアップで上昇する。


MP

マジックポイントが表示される。数字が小さくなればなるほど疲労がたまる。すべて使い切り、全回復させると数字が増える。レベルアップで上昇する。


攻撃

物理攻撃力が表示される。レベルアップで上昇する。


防御

物理防御力が表示される。レベルアップで上昇する。


魔攻

魔法攻撃力が表示される。レベルアップで上昇する。


魔防

魔法防御力が表示される。レベルアップで上昇する。


器用さ

器用さが表示される。数字が大きければ大きいほど罠や魔道具を作るのがうまくなる。レベルアップで上昇する。


スキル

その人の持っている技術が表示される。戦闘系 生産系に分けることができ、その系統の中でもいくつか枝分かれしている。


エクストラスキル

戦闘系 生産系に当てはまらないスキルが表示される。


称号

なにかを成し遂げたときに手に入る。なにかしらの恩恵がある。




 と、まぁこんなもんだろうなぁ。


 やっぱりこの世界でもドワーフ族とエルフ族は対立しているんだろうか。



「花ちゃん、ちょっといい?」


「ん? なにかな?」



 さっき分かったことを伝える。



「スキルはたくさん使ったほうが効果が大きくなるんだって」


「そうなんだ、わかった!」



 花ちゃんの筋トレや魔法と剣術の稽古はこの城でやってくれるだろう。


 そんなことを考えていると扉がノックされ、案内役のメイドさんが入ってきた。



「お二人ともこちらにおられましたか。お部屋におられなかったので、少々焦りましたよ」  


「すみません。やはり不安だったもので」


「いえ、気にしていませんよ」


「それより、なにか用ですか?」


「ええ、そろそろパーティーのお時間ですので、呼びに参りました」


「この服のまま行ってもいいんですか?」


「はい、そのままでお願いします」



 そうして、俺たちはパーティー会場に案内された。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ