第一話
初投稿です。初心者ですので誤字、脱字、不自然な話の流れがありましたら教えていただければ喜びます。稚拙な文章です。ご了承ください。
俺の名前は橘健人。年は16歳。田舎の高校に通う一年生だ。部活動には所属していない。
放課後の教室で部活に行く前の友達と駄弁りそれを見送ってから帰るのが俺の日課だ。
だが今日は違う。俺の唯一の家族である姉の花ちゃんが来ている。三者面談があるためだ。
「ごめんね……待った?」
「いやさっきまで友達と駄弁ってたからな、そんなに待ってはいないぞ」
上目遣いで尋ねるその仕草はとても可愛らしい。俺は身長が170センチくらいで花ちゃんは150センチしかないので必然的に上目遣いになってしまう。
こんな姉ではあるがもう社会人だ。近くにあったイスに座りながら
「面談まで時間あるし、少し話そっか……」
「そうだなぁ」
話しながら別のことを考えていた。中学校の時に両親が事故で亡くなって今は姉と二人暮らしだ。
幼い頃から母から家事全般を父から古武術を習ってきた。なので体はヒョロいが力は強いと思う。
考え事をしている間に時間になったらしい。
「そろそろ行こっか」
「そうだなぁ」
指定されている場所へ行こうと立ち上がった俺たちの足元が光り始めた。
「きゃっ!!」
「うわっ!!」
光は強くなっていく。
俺たちは光りに包まれた――――――――
光が引いていく。徐々に視界が鮮明になっていく。
目の前には真っ白な空間が広がっていた。
遠くの方にパルテノン神殿のような建物が見える。他に何か無いか見渡してみると、誰かいた。
よく見てみると……。お爺さんだ。サンタクロースのように立派な白ひげを蓄えている。
サンタクロースと違うところといえば白い服を着て杖を持っているところぐらいだな。
とりあえず話しかけてみるか。
「すみません、ここがどこか伺っても宜しいですか?」
「ふぉっふぉっふぉっ、そうかしこまらんでもよい、普通に話してくれてよいぞ」
「そうか、そう言ってくれると助かるな」
近くでよく見るとニコニコしている気さくそうなお爺さんだった。
「おぉ、そうじゃこの場所じゃったの……ここは神界じゃ」
「神界? じゃあ……あんたは……」
「正真正銘の神じゃよ」
まじかよ!
始めて見たな。本当に神様ならさっきの光のこと知ってるよな……。
「ならさっきの光はなんだ?」
「さっきのは勇者召喚の光じゃよ」
「勇者召喚って……」
勇者召喚ってファンタジーなんかでよく聞くあれだよな。
「本来の勇者召喚の対象はお主の姉だけじゃったが、お主とお主の姉のつながりが強かったために一緒に召喚されたんじゃろうな」
「じゃあ花ちゃんはどこにいるんだ!?」
「話すと長くなるからのぉ、まぁ座りなさい」
足元を見ていると真っ白なソファのようなものがあった。
どうやって出したんだよ……。さすが神様だな。
「んじゃ、失礼するぞ」
ぽふっ
うわぁ……。やわらけぇ……。
雲に座ってるみたいだ。
ソファの座り心地に感動していると
「召喚先はトゥルーデル王国と言うところじゃ、そこは、簡単に言うと剣と魔法の世界じゃ。魔獣と呼ばれるモンスターがおり、それを討伐するギルドもある。まぁ、詳しいことは向こうで聞いてくれ」
「それは分かったが、なんで俺だけここにいるんだ?」
「あぁそれはな、わしがお主をここへ連れてきたからじゃ」
「なんでだ?」
「いや、だって暇じゃし」
「は?」
突拍子もないことを言われ、つい聞き返してしまった。
しかし気にした様子もなく神は話し始めた。
「考えても見るのじゃ、お主が今から行こうとしている世界を造ってもう何千年、何万年と経つのじゃ、暇にもなるじゃろ」
「なら、さっきソファを出したみたいに遊具の一つや二つ出せるだろうに」
「そうじゃが、ここは神界、わしの他にもたくさん神がおって、階級も存在する」
神様にも階級があるのか。
敬虔なキリスト教信者にでも聞かせてやりたいな……。
「わしより上の位の神が、無駄なものは作るなって言うんじゃもん」
「じゃもんって……。」
神様の本性が少しわかった気がする。
「それと俺をここに呼んだのにはどんな関係があるんだ? 話をするだけか?」
「お主を観察して楽しもうと思ってのぅ」
「観察!? まぁそれはいいが、変なとこは見るなよ! お風呂とか、トイレとか!!」
「分かっておるわ、プライベートなところは見んわい」
「絶対だぞ!」
危うくすべて見られるところだった。あぶないあぶない
「さっき、勇者召喚されるって言ったよな、それってなんか特典があったりするのか?」
「そうじゃな、四つあるぞ、勇者召喚されたものは普通の人より早く強くなれる。強さも騎士団長クラスを片手間に倒せるようになるのぅ。あと、異世界言語完全習得と鑑定のスキル、もう一つギフトというものがあるのじゃ。このギフトは向こうへ行ってみらんと効果が分からんが、とても強力じゃよ。じゃが……」
言葉を詰まらせる神。何かと思って待っていると
「お主にはそれがないのじゃ」
「えっ!?ないってどういうことだよ!」
「召喚されたのはお主の姉だけじゃからの。なんとか異世界言語完全習得と鑑定のスキルはあるんじゃがのぅ。
「そうかぁ……。でもただの一般人を観察して何が面白いんだ?」
「そうじゃ、じゃから代わりにこれをやる」
神様が渡してきたのは刃渡り10センチほどの小さなナイフが二本。
それぞれ色が違う。赤と青だ。
ファンタジーとかでよく出る属性剣とかいうやつか?
「なんかかっこいいな!」
「そうじゃろ! このナイフはな、わしが他の神の目を盗んで作った自信作じゃよ」
急にテンション上げてきたな……。
褒められて嬉しかったのか?
「これで敵を倒せってことか?」
「いや、そうではない。第一これではネズミ一匹殺せんわ」
「えっ?」
俺が不思議に思っていると……。
「それの赤いほうは刺したもののステータスを刺した回数倍強化させることができる。青いほうは強く念じながら刺すとスキルを覚えたり、スキルのレベルを上げることができるのじゃ」
えっ!?それってヤバくないか?
「そんなもんをもらってもいいのか?」
「全く構わんよ。第一、早くナイフを手放さんとまた無駄なものを作ったのかと他の神に怒られてしまうからのぅ……」
だんだんしゅんとしていく神様。
つか、またって過去にもあったのかよ……。
神と話していると突然足元が光り始めた。
「うおっ!」
「そろそろ時間じゃの。楽しませてもらうぞ。最後に一つ、またここに来てくれるかのぅ」
「もちろん!いつでも呼んでくれ!」
健人の体が完全に光に包まれた。