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神の創りし新世界より C   作者: ゴウベン
序章 「地球転星」
1/4

日蝕の惑星

 日蝕が起こっていた。


 快晴だった空は暗くなり、地上も暗闇に包まれている。


 影は太陽を遮って、闇に輝く黒陽へと変貌していた。

 闇夜の太陽の周りでは星が瞬き出した。


 誰かが日蝕だと気づいた時には、すでに遅かった。

 蝕は世界を蝕んでいた。


 しかしそれも束の間のことだった。

 時を置かずして闇は西から東へと引き揚げていき、青い空が再び世界に広がっていく。


 見上げてみれば、

 日蝕が晴れて、そこには闇の前にあったはずの中秋の空が戻っていた。


 そして浮かんでいた。


 秋の空の雲の向こうに。


 見慣れない青く巨大な惑星が。


 人々は最初、それを目を丸くして見上げていた。

 地球かと思ったのだ。

 だが地球ではなかった。

 地球はあれほど巨大ではなかった。

 何より地球は自分たちの地面にあった。

 それが空に浮かんでいるわけがない。


 ならあの地球ほしは何だ?

 蝕の前には無かった、地球のように輝くあの巨大な惑星ほしは一体、何だ?


 人々は叫んだ。

 叫び出した。

 最初それは一人の声だったのかもしれない。


 しれない声は次第に広がっていき増えていった。

 最後には誰もが叫び謎の惑星を指差し狂気の対象にしていた。


 時には額に手を当て、時には互いの手を握り合いながら。


 一瞬それは日蝕のようにいつかは消える物だと錯覚している者もいた。

 日蝕が消えたのなら、この惑星も消えるだろうと。

 それは幻なのだと思い込みたいように。


 しかし惑星は消えなかった。

 いつまでたっても消えなかった。


 東の空に突如現れ。

 正午の太陽が西へ傾くのと同時に続き。


 青い色を保ったまま夕闇の地平の彼方にその姿を沈み込ませるまで。



 そして人々は知る。



 また東の彼方より、一足早く出でた太陽の後を追いかけて。


 その巨星がどんどんと天頂へと昇っていく姿を。


 誰が認めるよりも明らかに……。


 惑星は完全にそこに出現していた。



 この物語はフィクションです。

 物語中の全ての記述は、

 実際の自然科学、法則、現実にある、あらゆる物とは一切関係ありません。

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