誤解と涙
長らくお待たせしてしまって
本当に申し訳ありませんでしたorz
いつもは、どんな感じだったか…。
私も若干忘れてしまっているところがあります。
お時間があったら、感想、ご指摘等よろしくお願い致しますm(_ _)m
「みい姉!」
遥都が私の元へ駆け寄り、肩にポンと手を置く。
そして首をかしげ、私を覗き込むと…、
「はよっ!」
にっこり笑いかけた。
「う、うん…。おはよう……」
どぎまぎして、真っ直ぐ遥都を見ることができない。
それは、昨日遥都とのメールで、私と遥都の夢がシンクロしたことを意識してしまっているから。
「何ー? どうしたの?? 俺、何かした?」
「いや、何もしていない。気にしないで」
何故だか妙に勘の鋭い遥都。
梨音だと偽ってメールしてることに罪悪感を覚えてということもあったのかもしれない。
だから余計に目を合わせづらくて、そっぽを向いた。
するとさすがにムッとしたらしく、口を尖らせて
「ふーん、そ。じゃあ俺行くわ。」
と言うと、他に何もなしに横を通り過ぎていった。
話すのもイヤだけど
話せないのもイヤ…。
遥都にのめり込んでいくほど欲にまみれて、染まっていく。
こんなに何かに執着したことなんて今まで無かったから、その分、処理出来ないくらいに大きくなってしまった自分の心に戸惑いを隠せなかった。
「はぁ……」
つくづく自分勝手な私。
もう、何もかもイヤになって、投げ出してしまいたい……、そんな衝動に駆られた。
「はぁ……」
そんなことを願っても、どうにもならない。
そう分かっていても願わずにはいられない自分に、また嫌気がさして、もう一度溜め息を吐くのだった。
++++遥都++++
今日、みい姉に会った。
……というのはウソ。
俺がみい姉に合わせた。
だって、あの人いれば、時計なんて絶対必要ない…、っていうくらい完璧な生活するから、いつ出てくるかは正確に把握していた。
「はよっ!」
いつもとはちょっと違うように、積極的に彼女に喋り掛けた。
……すると。
思った通り。
俺と目を合わせづらくて、視線を泳がせていた。
この反応を見れば、一目瞭然。
やっぱり、俺の考えは外れていない。
………近頃俺とメールしているのは、間違いなくみい姉だ。
そう確信し、ちょっと余裕になった俺は、みい姉を困らせてみることにした。
「何ー? どうしたの?? 俺、何かした?」
わざとそう聞いて、いつも完璧なみい姉の動揺するところを見ようとしたのに…。
「いや、何もしていない。気にしないで。」
そう言うと、そっぽを向いてしまった。
朝から満足に顔も見させてもらってない。
さすがにそれはイラッとする。
「ふーん、そ。じゃあ俺行くわ。」
自分でも、不躾な言い方になったのは承知していた。
だけど、今更謝る勇気なんて起きなかった。
「クソ……」
どうして、素直になれないんだろう。
結局いつも、自分の思い通りにならない。
こんなに、こんなに…、自分が欲深いなんて、俺は知らなかった。
モヤモヤは収まることなく。
しかしだからといって、どうこうすることも出来なくて…。
だから俺は、きっとまた会うことになるであろう、学校へと歩を進めた。
++++美桜++++
いつものように授業を聞き流していたら、もう下校の時間だった。
私の場合、聞き流していても良い点を取れるから別にいいんだけど…。
今日は、遥都と校舎内でよくすれ違った。
でも、朝の私のせいなのか、
いつも駆け寄ってくる遥都は、私に声を掛けてくれなかった。
自分のせいなのは元からはっきりしている。
……だから、私は、彼に謝りに行かなければならない。
そのことをえみ里に報告した。
すると、呆れたように息を吐き、
「あんたって、ホント義理堅いよねー……。ま、そこが美桜のいいとこだけどね」
と、一緒に帰ることができないのを承諾してくれた。
そして、彼の居場所も。
「朝日奈は、今さっき、中庭に行くの見かけたけど」
「本当に? ありがとう、えみ里」
「んー。うまくやんなよー、ここでやらかしたら女が廃るかんねー」
本当に助かる。
余計な行動は決して少ないわけではないのだが、それの全てが必ず、誰かのために役立っている。
誰よりも気の利く人だとおもう。
「じゃあ、行ってくる」
もう一度、ありがとうと言ってその場から離れた。
半ば急ぎながら着いたその場所には。
遥都と……、もう1人。
女生徒の姿があった。
……彼女の名前は…、藤城梨音。
私の妹。
遥都の彼女。
でも、その時の2人の空気は、いつも纏っているような楽しい雰囲気じゃなかった。
むしろ、梨音は泣き出してしまいそうな様子で。
………、いつか見たような、あの寂しそうな瞳をしていた。
盗み聞きだなんて、趣味ではない。
でも、体は言うことを聞かない。聞き入れない。
微かに、梨音の悲痛な叫びが聞き取れる。
「遥都が………ぶんめ……見て…………だもん…!」
よく聞こえなくて、だんだんと距離を縮める。
「……でも、俺、言ったじゃん。こたえられない、って」
音は次第に近くなり、私の耳も、聞き逃すことなくそれを捉える。
まず、遥都の困惑したような声が聞き取れた。
「でも、口で言われただけで諦めろって言うの? 無理だよ…、そんなの。だって、振られたってまだあたしの傍に居てくれるんだもん!」
ふ…られた…?
誰が…?
「それは梨音が、いつも通り接してって言ったから…」
「だけど、期待させるようなこと、しないでよ! あの罰ゲームだって、断ってくれた方が良かったのに…!」
とうとう、梨音の大きな瞳から涙が溢れた。
頬を伝ったそれは、その瞬間からとどまることを知らないように止めどなく流れ続ける。
「断ったら…、梨音が傷つくでしょ? ……これ以上、俺のせいで傷ついてほしくなかったんだよ…」
梨音から、視線を外す遥都。
「そんなこと考えないでよ…。今は、遥都の半端な優しさが辛い…!」
「ごめん……」
「や…だ……、謝らないでよ…、あたしが惨めじゃん……」
そして、梨音の口から衝撃の事実が語られた。
「どうして……。どうして遥都は、ただの一回もあたしを見てくれないの…!?」
梨音は、遥都の彼女。
そのことは、はっきりとしていた訳じゃない。
じゃあ、私の思い違い……?
否定したい。
だって、今まで梨音は幸せそうだったのに……。
……もし、あの寂しげな瞳が、この真実を物語っていたのなら。
今、ここで起きている事実を否定できない。
………そして何よりも。
梨音の清らかな涙が……。
私には、ウソを並べているようには思えないのだ。
本当に申し訳ありませんでしたm(_ _)m
ここまで読んでくださってありがとうございます^^
これからもよろしくお願い致します