表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/13

秘密の始まり

こんばんわ^^


ついに二桁突入です♪

夢のフタケタだぁ~い☆

『朝日奈は、美桜のこと好きなんじゃないかな』


あれから二日。


私の頭の中は、今でも、紅潮した遥都の頬とえみ里が言った一言で渦を巻いていた。




「美桜姉ー。今日、起きるの遅いねえ?」


制服に腕を通しながら、歯磨きと同時進行する梨音が、私に声を掛けた。


「そうかな……。あ、ごめんなさい。私が早く起きないと朝食が事件なんだよね……。あなたが作ったんじゃ、美味しくないものが出来上がるんだっけ…。」


未だ上の空だった私は、つい本音を交えて返してしまった。


「み、美桜姉?そんな風に思ってたの?……ごめんね……。」


がっくりと肩を落とし、潤んだ目で必死に鍋と睨み合う梨音を見たのは、それから5分後。

当然何故そんな状況なのか皆目見当もつかない私は一応梨音に問うてみた。


「どうしたの、梨音?朝ならいつも私が作ってるじゃない。」


すると、涙が膜を張った大きな瞳がユラユラと揺れて、


「だって美桜姉がぁ~」


とうとう泣き出してしまった。




「ごめんなさい、私、ちょっと最近変で……。あまり話しかけない方がいいかも…。」


目を合わせづらい空気の中、恐らく人生で初めて梨音に謝った。


「話しかけるなって…!だめだよ、美桜姉。最近すごくキラキラしてたのに……。」


思いもよらない梨音の食いつきとその言葉に、動揺するのが分かった。

そして同時に、梨音の瞳に、寂しげな陰りが見えた。

でも、それは本当に一瞬の出来事で。


次の時にはもう、いつもの梨音が顔を見せていた。


「よっし!行こう、美桜姉。今日は早起きしたから一緒に出れるね」


目を細めて優しく微笑むそれは、姉ながらも見惚れるような極上のものだった。






「そういえば、何で今日は早起きだったの?」


並んで歩行している梨音に、いつもならばあり得ない行動を起こした理由を聞いてみた。

すると、ほんのり赤く染まった頬で嬉しそうにはにかんだ。


「えっとね、今日は、遥都と一緒に学校行こうねって約束したの!」


瞬間、咄嗟に言葉を探したが、何も見つからなかった。

可愛い横顔を見つめて、その口を見た。

そんなことをしたところで、今彼女が話したという事実は消えることはなく、私に残酷な傷を残した。


「な、……なんで遥都と一緒に……?」


聞いたところで余計傷が深くなるだけ……。


そう、自分に言い聞かせてもどうしても止まらなかった。


「んー?この間ね、あたし……」


心なしか梨音から発せられる言葉は一言一言スローモーションに見えた。




「梨音!!わりぃー!俺、今日寝坊し、ちゃっ………て…。」




不意に、大きな声が後ろから飛んできた。


振り返ったと同時に目が合った遥都は、私に驚きながらも言葉を連ねた。


「遥都遅いから美桜姉と来たの。えへへ、罰ゲームー。あたしと美桜姉の荷物持ってってー」


梨音が笑顔で遥都に荷物を押し付ける。


えみ里に言われたことも、遥都の真剣な瞳も、梨音の前じゃ何にもならない。

ましてや、この間喧嘩別れみたいになったのに、一緒に居ても気まずいだけだ。

それに、この二人の仲が分からないほど子どもでもない。


「私はいい。二人で行って。」


すこし、嫌な顔をしていたかもしれない。

隠すように前を向き、早歩きでその場から離れようとした。


「みい姉……!」


名前を呼ばれて……。

ではなく、

遥都の声に反応して振り返った。


ふわり、と風がなびいた。


「あの、俺……。この間どうかしてて……、ゴメン…!」


真っ青な空に眩しすぎるほど映える白のシャツが、輝いていた。

その言葉に驚いて、半ば勢いで叫び返した。


「私も、なんか…、ごめんなさい。」


遥都しか見えなくて。

火照ってしまった頬を、風に流された髪の毛が隠してくれた。


安心したような表情を見せて笑う。


「許すよ!……そっちは…?」


最後の言葉だけ、張り詰めていて少し、震えていた。


「もうとっくに許してる!」


今度こそ本当に満面の笑みを浮かべてくれた。


それ以上は何も言わずに、学校へと歩みを進めた。







+++++



学校帰り、


「今日は、時間進むのが早かった。」


ぽつり、漏らしたその言葉に、えみ里がガバッと跳ね上がる。


「ホント!?」


あまりに希望に満ちた目を向けるから、引きながらも尋ねてみた。


「それがどうかしたの……?」


不審を抱きながらも、何事も無いように振る舞った。


「あのね、恋をしてると、時間が早く感じるんだよー?」


楽しそうにはしゃぐえみ里。


いつもの悪意に満ちたあの笑顔じゃないから、真面目な話だと察する。


「その人の事ばっかり考えちゃって……。好きな人のこと考えると楽しいでしょ?だからね、はやく感じるの!」


確かに、そうなのかもしれない。


それだけを聞くと、もう何も耳には入って来なかった。


気がつくと家の前で、隣にえみ里は居なかった。






「ただいま」


いつも一番最初に帰る私。

だけど、この日は先に梨音が居た。


「おかえりー、美桜姉。あたしこれから出掛けてくるねー」


うっすら化粧をした梨音は、上着を着て外へ出る直前だった。


『どこへいくの?』


そう言いかけたが、聞くだけ無駄か……。


と思い直した。

どうせ遥都のところだ。


ところが、梨音の口から出てきた言葉は、予想とは反するものだった。


「今日友達と遊んでくるねー。あ!あとね、大事な事なんだけど……」


しっかりと私の目を見据えて語り出した。


「遥都からメール来ると思うんだ。だから、来たらあたしの振りして返信して?」


自分の顔の前で手を合わせて頼むポーズをとる梨音。


「え?お断り。そういうのは自分でやって。ていうか携帯持って行けばいいじゃない。」


素っ気ない態度をとったつもりだったが、内心遥都とメールできるなんて……。

表情とは裏腹に、胸の内は踊っていた。


「美桜姉ー、お願い!文面は美桜姉でいいから。」


必死に食い下がり、退かない。


「そんなの、ダメじゃん」


でも、私は妹の彼氏に手を出せるほど器用ではない。


「大丈夫、今遥都とは『美桜姉普及強化月間』実施中だから!じゃ、間に合わないから行ってくるね!お願いしマース☆」


強引に押し付けられた携帯を、私は、両手で握っていた。



ど、どうしよう。


遥都とメール……!!

わーい!


書き終わったぁ!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ