オーク肉っておいしいですか?
仕留めたオークを解体しよう。手早く処理しないと味が落ちてしまう。血抜きのために、両足首をまとめて紐で縛り木の枝から逆さに吊るす。ガタイのよいオークを吊るすのにちょうどよい高さの枝が無いため、【フライ】の魔法で浮かび上がりながら枝に紐を巻き付ける。殺した時に首を切り裂いたので、上手い具合に血がボタボタと滴り落ちる。
おっと、このままじゃ「タン」が血やら何やらで駄目になるな。首は切り落としてしまおう。剣だと骨を両断するのが面倒なので、口に手を突っ込んで掴みながら【エアカッター】を唱えて顎のすぐ上からスッパリと切り落とす。蛇口が広がったので本体からは血が勢いよく流れ出してきた。
逆さになった頭部を岩の上に乗せて、両手でオークの口を限界まで開ける。まあ開けるというか下顎を壊して口が閉じないようにするためだ。開いた口から舌を引っ張り出してまた【エアカッター】で根本から切り取る。金属製の皿を取り出して血の滴る「タン」を乗せる。後は本体の血抜きが終わるまで少し待つのだが……。目玉とか脳ミソとか、干したりして珍味として売れないかな?ちょっと時間もあるし試してみるか。
クビをひっくり返して置き直し、人差し指と中指を右目に突っ込んで引き抜……滑るな。突っ込んだ指を上につっぱってから親指を差し込み、目玉を掴んで一気に引き抜く。うーん、視神経かこれ?紐状の組織が付いたままだがとりあえず瓶に放り込む。左目も……同じく視神経が付いたままの状態で引っこ抜いて瓶へ。
そろそろ血も抜けきっただろう時間になったので、本体を解体する事にしよう。まずは残飯の処理用に穴を掘って……シャベルは万能だな。よし、やりますか。
【エアカッター】で吊るしてる紐を切って、【エアバリア】の応用でボディを受け止めて地面に仰向けに置いて、と。睾丸はポーションの素材になるから、こいつも【エアカッター】で竿ごと切り取る。流石にオークのオークを直接掴んで切り落とす気にはなれない。バッチいので触りたくないがこれもギルドに持っていけば買い取ってもらえる。スライムコーティングした革手袋をつけてブツを掴み、目玉とは別の瓶に放り込む。やっとこれで肉の解体ができる。
まずは枝肉の処理からだ。左手でオークの足首を掴みミスリル包丁で関節部分から切り落とす。足首から下は可食部分が少ないので捨ててしまっている部位だ。続いて膝に刃を入れて脛を切り落とし、股関節から腿を切り離す。モモ肉は良く食堂で出てくるけど、脛の方はあまりでないんだよなあ。まあ金になるから納品するけど……。腕の方は手の部分を切り落としてから、肩に包丁を入れて取り外す。腕は何故か肘から両断しないんだよな。転生前の「日本」の手羽先みたいに骨付き肉として売られる事が多い。文化がちがーう。
さて、最後にボディを処理しますか。愛用のミスリル製のナイフを抜きヘソの部分に軽く突き刺す。骨に沿って首まで切り裂いていく。次いでヘソから肛門部分まで同じように裂いていく。こうすると皮をきれいに剥げるんだよな。めりめりって感じで左右ともに皮を剥ぐ。皮もなめすと「オークレザー」として素材に出来るんだけど……手間に比べて値段が安いから大部分を打ち捨ててしまっている。
改めて腹にミスリルナイフを突き刺して、今度は内臓モツを傷つけないように股まで切り裂いていく。解体中にモツを傷つけると肉が◯◯塗れになって食えたもんじゃなくなるからな、ここは気をつけないと。切った穴に両手を突っ込んでご開帳。胃のすぐ上の食道部分と大腸の終端部分を握って中身が漏れないように引っ張り出す。あとは「中身」を捨てないと。大腸部分をゴミ用の穴に入れて、胃の方から扱いて「中身」を押し出して行く。このひと手間で味が段違いなんだよな。あとは肝を切り取って、と。捨てる予定の皮から風呂敷大に2枚切り取って、大腸と肝をそれぞれ包んで目玉の瓶の横に置く。
胴体を部位ごとに分けるのは街に帰ってからだ。流石に細かく分けすぎるといちいち移し替えるのが面倒なんだよな。胴体の横に腕肉と脚肉を並べてからまとめて「肉」として収納ボックスにしまって、瓶と革袋も「食品」としてしまい込む。よし、あとは後片付けだ。宿の親父が作ってくれるオーク肉のステーキとモツ煮込みに思いを馳せながら、頭髪を掴んで頭をゴミ用の穴に放り込むのだった。




