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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

初恋

掲載日:2026/03/11

僕は髙田 歩夢 33歳独身だ。

僕には忘れられない人がいる。

それは初恋の人、大塚真理ちゃん。


真理ちゃんは勉強が得意で、優しくてかわいくて。

僕にとって高嶺の花だった。

小、中、高と真理ちゃんとは一緒だった。

大学は別々の所に行ったのでそれからは分からない。

だけど僕は今も真理ちゃんが好きで別の恋に行けない。


「あれ?歩夢くん?」

仕事の帰り道、後から突然声を掛けられた。

驚いて振り返るとそこには大人になった真理ちゃんがいた。

「え!?ま、真理ちゃん?」


「すぐ慌てる所も変わらないね!久しぶり!元気してた?」

真理ちゃんはくすくすと笑いながら言った。


こんな奇跡ってあるのか、むしろ運命なんじゃないか…僕の初恋は終わってなかったなんて考えてしまう自分が少し恥ずかしい。

その後成り行きで飲みに行く事になり

高校卒業後の話や仕事の話などをした。

真理は今、小学生からの夢だったデザイナーをしているらしい。

僕は宇宙飛行士になる!なんて言って結局ただのサラリーマンだ。


「小、中、高と一緒だったのに連絡先交換してなかったよね!LIME交換しようよ!」

そう真理ちゃんが言った。

そこから僕たちはよくLIMEでメッセージのやり取りをし、仕事終わりよく飲みに行くようになった。


「ねぇ歩夢くん今度さデートしようよ」

真理ちゃんは悪戯げに言う。


「え、え?僕と?」


「僕と?って目の前に歩夢くんしか居ないんだから当たり前じゃない」

僕が驚いていると真理ちゃんは少しムスッとした顔をしていた。


「ぜひ!!行こう!行きたい!」


「ふふっ決まりね!土曜日楽しみにてる!どこ行くか考えといてね」


そうして僕たちは今週末の土曜日、水族館に行くことになった。


緊張して1時間も早くついてしまった。

なんで緊張しているかと言うと

僕は今日、真理に告白をしようと思っている。

断られるかもしれない、でももうこんなチャンス二度と無い。

子供の時に出せなかった勇気を今日、今日!!!


「あれ?歩夢くん?早いね!」


顔をあげると真っ白なワンピースに差し色の赤いバックを身にまとった真理がいた。


「あれ、真理ちゃん!?早かったね」


「ん〜まぁでももう集合時間の10分前だから歩くんの方が早かったでしょ?」


驚いた、約1時間ぐらいずっと僕は考え事をしていたのか…


「早く行こう!イルカショー見たかったの!」

真理はそう言って僕の手を引っ張った

鼓動が早い、真理に気付かれてしまうんじゃないかと思うぐらい鼓動がうるさい。


「歩夢くん!こっち!」

真理はずっと笑顔で僕を1日連れ回した、

元気すぎて疲れた。

でも真理のあの無邪気な笑顔、ずっとずっと見ていたい。


このままずっと、永遠にこの時が続けば良いのに。


「いや〜すっごく楽しかった!!ね?歩夢くん」


「うん、楽しかった。」

水族館から出てきた時、外はすっかり真っ暗だった。


「なんか歩夢くん静かじゃない?大丈夫?私が連れ回し過ぎたから疲れちゃったかな?ごめんね」


「ち、違うんだ!!」

急に僕が大きな声を出したので真理は驚いた顔をしていた。


「なによ急に大声で、まぁ違うなら良いけど」


鼓動がさっきより早い、ずっと早い。


「真理!!…ちゃん、あの僕、僕ずっと!君の事が好きだった!!」


真理は少し驚いた顔をしていたが優しい表情で僕の話を聞いている。


「小、中、高ずっと一緒で僕が虐められてた時助けてくれたり、テストで赤点取った時は一緒に居残りして教えてくれたり!こんな僕にも笑顔を向けてくれる人がいるんだって、こんな僕にも…」

だめだやめてくれ、涙がとめどなく溢れてくる。

真理にかっこ悪いところ見せたくないのに。


「歩夢くん、ありがとう。大好き」


そう言って真理は僕の両頬に手を乗せ

キスをした。


「以上でプログラム終了となります。お支払いは髙田様のご住所宛に振込用紙を後日お送りさせて頂きます。」

その女性は事務的に頭を下げると、そのまま人混みの中に消えていった。


「真理、真理…」


そう真理はもう居ない、この場にでは無く。

この世に居ないんだ。


高校3年生の夏休み

僕は補講で学校に来ていた。

「あれ?歩夢くん?また補講か〜」

教室のドアから真理が入ってくる。


「う、うん。大学受験このままだと合格できないって言われて」


「歩夢くん、同じ大学行かない?」


僕は驚いた、とても驚いた。でも真理のその言葉がすごく嬉しかった。


「え!僕と同じ、僕なんかと一緒でいいの?」


「歩夢くんだからいいの!一緒に行きたいの!」

僕が驚いていると真理は少しムスッとした顔をしていた。


「一緒の大学受けたい!僕頑張るから!!」


「ふふっ決まりね!合格目指して頑張ろう!勉強教えるから!」


そこから毎日夏休みの間、真理は勉強を教えてくれた。

その甲斐あって、真理と行く大学の合格ラインの2/3ぐらいまでには達することが出来た。


「真理ちゃん本当にありがとう!」


「お礼は合格してからにしてくれる?もう少しだねほらまだ勉強頑張らないとだよ?」


冬休みも真理は図書館で勉強を教えてくれて

いよいよ受験当日になった


「会場の最寄り駅で待ち合わせしていこう!」

と最後に勉強した日に真理に言われた。

ただ待てど暮らせど真理は来ない。

まさか僕より先に着いてしまって先に行ってしまったのか?

もう入れなくなるギリギリの時間だったので僕は足早に会場へ向かった。


いない、真理がいない。

連絡しようにも僕はまだ携帯を持たせて貰っていなかった。

どうしよう、どうしよう。


「開始!」


受験が始まってしまった。

どうする事も出来ないまま、不安で頭が回らないまま受験は終わった。


僕は、今でも鮮明に覚えてる。

受験が終わって学校に戻ったら先生が血相を変えて僕に話しかけてきた。

「髙田戻ったのか!今日って大塚と一緒じゃなかったのか?」


「はい、大塚さん来なかったんです。会場の最寄り駅で待ち合わせしていたんですが…」

先生は膝から崩れ落ち床に手をついた。


「あぁ、じゃあやっぱりあのニュースは大塚で間違い無いのか」


「え?」


「大塚、花白神社前の交差点で事故にあったらしい。即死だったそうだ…」


僕は頭の中が真っ白になった。


後日学校に真理のお母さんが手紙を僕宛てにと

先生から渡された。


「歩夢くんへ 今日の受験頑張ろうね!!

絶対大丈夫だよ。だってあんなに2人で勉強したんだもん!この御守り、私とお揃い。2人で合格しようね!」

手紙の封筒には青地に白い刺繍でお花が彩られ

真ん中に合格と、裏には花白神社と書かれていた。


そうか、真理は当日の朝御守りを買いに行ったんだ。

だから、「真理は僕の為に…僕なんかの為に」


僕は大学に合格した。

だけど真理のいない、大学生活に生きる気力も湧かなかった。


その後は適当な会社に就職し、今まで生きてきた。

そんな時出会ったのが

【初恋実らせ屋】


たまたまインターネットで仕事関連の事を調べていた時に出てきた広告だった。

最初はバカバカしいと思ったがつい気になってクリックしてしまった。


【貴方の叶わなかった初恋、実らせませんか?

まずは貴方の初恋相手に似てるスタッフを選択

その後は貴方と初恋の人とのプログラムを決めてください♪その通りにスタッフは演じさせて頂きます。

こんな方にオススメ!

・初恋が引っかかって前に進めない

・もう一度初恋を体験してみたい!

・実らなかった初恋の人と再会してみたい!

お気軽にお問い合わせ下さい

※金額はプログラム内容により変動致します。】


僕は前に進もうと思って、幸せな記憶にしたくてここにお願いした。

そして現在に至るわけだ。


数日後、僕は今の会社を退職し部屋の荷物を全部捨て

届いた払込書をコンビニで支払い

その後、真理の無くなった交差点に花を手向けに行った。


「真理、今から行くね。」


最期僕が聞いた音は大きなクラクションだった。

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