唐突な頼み事
初めての創作物なので至らぬところもあるかと思いますが楽しんでいただければ幸いです。
「お前には私の契約している霊獣青龍と契約して私の後継者となってほしいのだ。」森田の言葉に一瞬止まった思考が戻ると蒼太は「僕が?あなたの後継者?新参者の僕が?いきなり?」と思わず身を乗り出して聞き返してしまった。
蒼太が落ち着くのを待って森田が話し始めた。「順序に沿って話していこう。私は数年前に起きた妖魔の一斉蜂起の際に超級の妖魔2体により深手を負い、今でも体力の低下による戦闘可能時間の低下を余儀なくされている。私の契約している霊獣は木の派閥の最大戦力だ。いつまでもこのままではいけない…そこで君だ!派閥内で実力のあるものは自身で契約を結び神秘の力を手に入れている。今から青龍と契約したところで派閥内の戦力はあまり増えない。君は見たところ体はしっかりしているし恐らくだが武道系の心得もあると見ているがどうかな?」「はい。小学生の頃から剣道をやっています。」「そうかやはり私の目に狂いはなかった。」「ですが武道の心得程度で良ければ既に退魔の剣士をしている人のほうが良いのでは?天さんほどの人材が居ないとしても僕よりは強いのでは?」「先程も言ったが霊獣との契約には相性がある。少なくとも君は青龍に気に入られたようだぞ。なぁ?」そう言った森田の背後にいきなり緑色の角の生えた蛇のような存在が現れた。そして「我が青龍だ!お前のような己のために他者を救うと言える者は大好きだぞ!己のために己を救うことも他者のために他者を救うことも我は好ましいとは思わん。行動原理は自身であるのにその行動は他者のためにある。簡単なようでとても難しい精神性だ。我が認める者としては充分だ!」青龍は話している間森田の座るソファに重なる位置に浮いている。「それは恐縮です…」蒼太はそう返すのが精一杯だった。「霊獣ってこんなにしっかりコミュニケーションを取れるものなんですね驚きました。」蒼也が言うと森田が「これが加護と恵みの一番大きな違いだな。ただ青龍と契約するには青龍に認められる事とその他にもある程度は自身で退魔の力を扱えるようにならなければいけない。そのため暫くは刀の扱い方と退魔の力の扱い方を学んでもらうことになる。」「なるほど、分かりました。僕はあなたの後継者となれるように研鑽を積みます。」蒼太がそう言うと森田は少し笑みを浮かべ蒼也の方に向き「そしてものは相談だが蒼也、お前も我々の仲間にならないか?具体的には組織運営の方を手伝って貰いたいんだが。」「なるほど、給与はどうなっていますか?」「そこか、まあ大事な事だな。」「私達の家は両親が居ないので俺が稼がないと生活もままならないのでね。」「一応退魔の剣士は半公務員のみたいな感じで国から各派閥に活動資金が与えられておりそこから個人に給与を支払っているので心配しなくて良い。これからは蒼太も稼げるしなんなら退魔の剣士は原則日本国憲法に縛られない。そのため刀の帯刀もできるし蒼太でも退魔の剣士として働くことで給与が貰える。」「そうですか、そう言うことでしたらお話をお受けします。何よりこのような話を聞いてしまって自分だけ何もしないというのももどかしい気持ちをしそうですから。」「そうか!助かるよ。なら明日からここに来ると良いここの地下にある道場で俺が鍛えてやる蒼也はここのマスターが組織運営を担ってる幹部の一人だからあいつに教えてもらえ!」「「分かりました。」」2人が答えるとマスターが近づいて来て「自己紹介しておきますか。わたくしこの喫茶店のマスター兼退魔の剣士を統括する神秘の剣の木の派閥幹部、雪村真司と申します。以後お見知りおきを」「ご丁寧にありがとうございます。これからよろしくお願いします。」蒼也はそのように返すとお辞儀をした。「では本日はこのくらいでお開きにして。退院したばかりですし一旦自宅に、帰ってもらって大丈夫で…」「ただいま〜!」いきなりドアが勢いよく開くと蒼太の同じくらいの年齢の少女が入ってきた。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。是非続きも読んでいただけると幸いです。