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松学祭の前日、僕らの仕事はようやくひと段落した。
「ふぅ~終わったぁ~」
彩華さんが生徒会の椅子に座りながら伸びをする。一仕事終えた充実感からか空気が弛緩していた。
「お疲れ様、彩華。だけど、本番は明日からよ?」
「分かってるよぉ、凜ちゃん。だけど、今日くらいはだらだらさせて~」
「仕方ないわね~」
会長、副会長のやり取りに癒される。僕としても生徒会に入って初仕事だった。まぁ思いのほか大変な仕事だったけど。
それでも最後までやり切れたのは嬉しかった。
「こら明人、凜さんも言ってたでしょ?本番は明日からよ?」
「沙紀、説得力皆無」
由紀さんからツッコミが入る。沙紀は机に突っ伏しながらそんなことを言っていたのだ。だらだらしている筆頭が何を言っているんだという感じだった。
「会計の仕事はもちろん、実行委員の手伝いにバンドの練習、やることが多すぎて頭が死ぬかと思ったんですよぉ、本当に明人がいなかったらどうなっていたんだか」
「確かに!誰かさんは庶務なしでこの激務を乗り越えようとしたんだから、頭おかしいよね!」
「あんまり言われると泣いちゃうよ!?」
「でも事実」
「そうね。明人がいなかったら・・・想像もしたくないわね・・・」
僕がいない生徒会、元々は五人で回していたと考えると物凄くおかしい。
卒業式、体育祭・・・文化祭に匹敵するようなイベントは他にもあるはずなのだが、この人たちはどう乗り切ったのだろう。
「私だけのせいじゃないでしょ!!」
「でも、庶務の任命権は彩華さんにあるんですよね?」
「明人君まで私をイジメるの!?」
「いや、そういうわけでは・・・」
彩華さんが信じていたものに裏切られたようなそんな表情をしていた。
「有望そうな子を探しては断られて、やっと見つけたと思ったら、そこの四人にダメ出し&いらない宣言されてきたんだよ」
「え?」
僕が四人を見ると全員さっと目を逸らす。そういえば僕が生徒会に入るときもだいぶきついことを言われていたような気がする。
「だって仕方ないじゃん!!彩華が連れてくる子って沙紀以外、全員ワンチャン狙いの男だったじゃん!」
「うっ、それは」
花蓮さんがうがーっと唸りながら反撃する。そう言われると、他の三人もうんうんと頷く。
「女子生徒に声はかけなかったんですか?」
僕は当然の疑問を投げかける。この学校は共学だ。優秀な女子生徒だってたくさんいるはずなのだが・・・
「・・・生徒会のレベルが顔面偏差値が高すぎて無理って断られ続けた」
「ああ・・・」
彩華さんがショボーンとしながら言うが僕も納得できる。
確かにうちの生徒会は全員レベルが高い。能力値で言ってもすべてが標準以上だ。だからこそ劣等感を感じてしまうのは仕方がないと思う。
で、そうなると男子生徒しかいないわけだけど、今度は顔とスペックが高すぎる生徒会役員に近付きたいと思う輩が多いと。
「なんというかお疲れ様です・・・」
僕には労うことしかできない。なんというか最初の方でピリピリしていた理由がようやくわかった気がする。
「うう~、ありがとう明人君・・・本当、沙紀ちゃんなんかにはもったいない男の子だよ」
「おい、どういう意味かしら?」
沙紀が彩華さんにツッコミをいれる。
「結果的に明人が入ってくれたから万事OK」
「ね~、アッキー以外の、特にアレが入ってきたら、私は生徒会を辞めてたよ~」
「ん、同感」
由紀さんと花蓮さんが僕を褒めてくれる。アレというのは松山のことだろう。松山って滅茶苦茶モテるはずなのに、うちの生徒会からは嫌われまくっているんだよなぁ
(まあ僕もいじめられていたから好きか嫌いかで言ったら嫌いに入るけど)
「そういえば彩華が松山君を好きって話は「それ以上しゃべったら殺すよ凜ちゃん?」すいません・・・」
笑顔の圧力に屈した凜さん。
絶対的に自分の内心を悟らせない彩華さんは松山関連になるとブレブレだ。というよりキレる。隣にいる沙紀もいじろうとしていたらしいが大人しく引き下がった。
「ああ~もう!!気が抜けすぎ!!」
「彩華から始まった」
「そうだよ!」
冷静なツッコミが入る。
「すいませんでしたぁ!!本番は明日なんです!!このまま何事もなく終われるように頑張ろう!はい解散!!」
「お~」
「もうちょっと気合をいれてよぉ・・・」
彩華さんが気の抜けるような締め方をする。
このまま何事もなく、明日が迎えられますように
『重要なお願い』
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