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僕たちは第二音楽室に案内された。そこで軽音楽部は練習している。
「ねぇ明人、今からでも帰らない?猛烈にめんどい」
沙紀が全員に聞こえるように言ってきた。
「いくらなんでも失礼すぎるよ・・・」
誘ってきた松山を前にして堂々とめんどいと言ってのける沙紀のメンタルは鋼だと思った。
「大丈夫よ。そこの汚物は都合の悪いことは聞こえないようになっているから」
確かに前を歩く松山に変化は見れない。沙紀は松山の扱いを覚えたらしい。
「流石だね~サキサキ!これは付き合うしかないんじゃない?」
「なんですかぁ?」
「すいません・・・」
ガチトーンで言う沙紀の瞳孔はブラックホールみたいだった。その暗黒の瞳と太陽みたいな笑顔の落差で流石の花蓮さんもやりすぎたと思ったのか本気のトーンで謝る。
「お、俺と沙紀が付き合うなんて///俺たち義理とはいえ兄妹なんですよ///」
松山が反応するが、
「未来永劫ないから顔をあかくするんじゃねぇよ。義兄妹でそんなことになるわけがないだろうがカス」
「・・・」
「何?どうしたの明人?」
「いや・・・なんでも」
特大のブーメランが沙紀に刺さっていると思ったのだが、言わぬが花か。
「そういえば、岩木」
「ん、僕?」
「お前しかいないだろうが」
「あっそう」
松山が沙紀もいる空間で僕に話しかけてくる。沙紀に対するあてつけというわけじゃなさそうなので驚く。
「お前、沙紀とボーカルをやるんだろ?」
「うん」
「ぷ」
口元を抑えて笑う松山。僕、じゃなくて沙紀がキレそうになる。
「何か言いたいことでもあるの?」
「いや・・・沙紀の隣に曲がりなりにも立つ奴がお前って(笑)沙紀が可哀そうだろ(笑)」
もう隠すことすらしない。僕を馬鹿にしているのだけはよく伝わってくる。沙紀が何かを言い返そうとするが、彩華さんが止める。
「そうなんだよね~明人君のレベルを上げるために優君の歌声をお手本にしようかなって思ってね~」
彩華さんがそんなことを言う。
「なるほどな。御堂さんも悪い人だな~」
「仕方がないよ。沙紀ちゃんと並べるのって優君だけだからね~」
「よ、良く分かってるじゃん」
松山が彩華さんに褒められて調子に乗っている。彩華さんは松山を上げるだけ上げる。確かに男の声でお手本という存在はいなかった。敵情視察も含めて僕からしたら、結構ありがたいかもしれない。
「そうね、確かに明人にはもっとうまくなって欲しいから松山くんの提案は願ってもいないことかもしれないわね」
「さ、沙紀まで。仕方ねぇな!本当は心を折ってやろうと思ったんだけど、沙紀が言うなら、岩木のお手本になってやるよ」
「あ、ありがとう」
沙紀の言葉がトドメになって、松山は陥落した。
「うちの生徒会長と会計はどうしてこうなのかしら・・・」
「ん、性格の悪さでも学校一」
凜さんと由紀さんが何かを言っていたが僕たちの耳には何も届かなかった。
『重要なお願い』
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