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「負けた時は土下座もしてもらいますからね!」
「は~い」
「靴も舐めてもらうわよ?」
「ん」
「後はもちろん優斗にもよ?」
「はいはい」
「っ~~~~~~~~~」
美紀子さんはさらに条件を付け加えた。それに対して、もう相手にする必要もないと分かったのか、生徒会メンバーは仕事をしながら流していた。
その様子を見た美紀子さんはキレる寸前だった。この場において話す価値もないと判断されたのがよほど頭にきたのだろう。
「美紀子さん、落ち着いて」
松山はそんな美紀子さんを見て、おろおろしている。すると、思いついたように彩華さんが美紀子さんに向かって声を上げる。
「もうなんでもいいですから。文書にでもして私たちに送ってください。どんな勝負でも引き受けますから」
「っっ小娘が!」
「パソコンを貸すのでさっさと作ってくれるとありがたいで~す」
彩華さんがノートパソコンを美紀子さんに貸す。
「な、なんで私がそんなことをしなきゃいけないのよ!」
美紀子さんが喚くが、彩華さんが松山と美紀子さんを同時に見て笑顔で言った。
「貴方たちは嘘つきで信用がなりません。こういうことをしないと簡単に約束を反故にしますからね」
「わ、私が嘘を付くと!?」
「ええ、娘である私が保証するわ」
「沙紀!!!」
沙紀が堂々とうんと頷く。自明の理でしょう?といった感じだ。こんな様子を見ていたら、僕も美紀子さんへの恐怖が薄れてきた。
なんとなく哀れだ。
「はい。そういうことなんでさっさと作ってください。私たちは契約書を作らない限り、勝負をしませんよ?」
「っ~~~優斗!さっさと作りなさい!」
「は、はい」
「待ちなさい」
松山にパソコンを押し付けようとするが、そこに沙紀が待ったをかける。
「母さんが作りなさいよ」
「な、なんでよ!?」
「義兄さんが作った文書じゃ信用ならないわ。現に、私と明人は何度もそれで裏切られているのだしね」
「沙紀!義兄に向かってなんて口を聞いているのよ!こんなにいい子が他にいるわけないじゃない!」
「はいはい。好きなだけ吠えればいいわ。だからあんたが打て」
「っ」
美紀子さんに打たせようとするが、中々打たない。どうしてだ?と思っていると凜さんが会話に入ってきた。
「もしかしてパソコンの操作がわからないんですか?」
「っ」
顔を真っ赤にしていた。図星を直撃で突かれたような顔をしている。凜さんを睨むがどこ吹く風といった感じの態度でテキトーに流している。
「パソコンの操作ができない人が私たちをクビにしようとか笑えますね~」
花蓮さんが伸びをしながら、美紀子さんに言う。
「ん、まず自分の能力のなさを認識すべきかと」
由紀さんが続けて言う。美紀子さんは本当にパソコンを打てないのか、ずっと固まったままだった。
(家にいた時はパソコンすら使えないのかと馬鹿にされたのに・・・)
僕は美紀子さんに幻滅していく。沙紀が言っていた、美紀子さんは何もできないという言葉が思い出された。
そして、沙紀がとどめを刺す。
「そういえば母さんってパソコン教室を開いていたわよね?」
「っ!」
良い笑顔・・・沙紀はここぞとばかりにトドメを刺してきた。
「へえ~それは気になるな~これから凄いテクニックを見せてもらえるのかな~」
「はい、期待して大丈夫かと。私がその教室を見た限りだと、しっかりしていました」
「へえ~」
「でも不思議なことに何かをずっと見ていたんですよね」
沙紀が僕の方を見てきた。何でこのタイミングでとは思ったがすぐに正面を向いた。
「まさか誰かに無償でパワハラまがいなことをしながら、作ってもらった指示書をさも自分がつくったかのように発表していたわけではないわよね?」
「さ、沙紀!あなた、母親に向かって・・!」
美紀子さんはもうここで勝ち目がないと悟ったのだろう。さっさと荷物を片付けた。そして、
「大人を舐めたことを後悔させてやるわ!」
捨て台詞を吐いて教室から出て行ってしまった。残された松山もゆっくりと荷物を片付ける。
「年上の優しい女性をイジメるなんてこの生徒会は本当に終わってるね。正直、幻滅したよ。御堂さん」
松山は僕らの方を見て、心底嫌そうな顔をしていた。彩華さんのことすらもう敵だと思っているらしい。
「はいはい」
「僕のことを好きだというから甘く見ていたけど、あなたは最低ランクに落ちたよ」
「寝言は寝て言えや。メルヘン畑の寄生虫カス野郎が」
「彩華、落ち着きなさい・・・」
彩華さんがブチ切れるが凜さんが止める。
「沙紀は解放させてもらう。正義はこちらにあるからね。女神だって僕の方に微笑むに決まっているさ」
沙紀の方を見て、最後に僕を睨む。そして、荷物を持って生徒会室から出ていった。
「とりあえず塩と換気をしようか」
異論のある人は一人もいなかった。
『重要なお願い』
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