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「冗談も休み休みにしろ。てめぇらの気色悪い陰謀と思い込みに巻き込まれてやるほど私たちは暇じゃねぇんだよ。さっさと帰れやモンペ&カス」
彩華さんは笑顔で言い切った。松山はもちろん美紀子さんもわなわなと震えてしまっていた。
「あ、あなた年上の女性に向かってなんて口を聞いているのかしら」
今にもキレてしまいそうな表情をしていた。口では冷静な言葉を紡いでいるようでも所々に怒りがにじんでいた。
「こんな口を聞くなんて、両親の顔を見てみたいわね」
やれやれと呆れたポーズを取る。
「私は大人にはちゃんと敬語を使いますよ?」
「ブフっ」
沙紀が口を抑えていた。笑いを堪えているようだけど、僕からすれば完全にアウトだ。
「わ、私が大人じゃないとでもいうのかしら?」
「ええ。夢見る少女みたいですよ。いい歳したおばさんがそんなんじゃ沙紀ちゃんが可哀そうですよ?ね?」
「はい!」
凄くいい返事。この上なく楽しんでいることは予想できる。さっきまでわなわなと震えていた美紀子さんはスンとも動かなくなって下を向いた。
そして、笑顔になって顔を上げる。その表情を見ただけで僕は震えてしまう。
「夫に言って、貴方たち生徒会全員を解雇してもらいます」
「なっ」
ついに切り札を使ってきた。堂々と不正をしようとする美紀子さんに僕は恐怖を感じずにはいられなかった。
松山はここぞとばかりに会話に入ってきた。
「美紀子さん、沙紀だけは残してくれ。岩木に洗脳されているだけで、彼女は俺が救うよ」
松山は沙紀の方を見てウインクをする。
「可愛い息子からのお願いは断れないわね。それなら沙紀だけは残してあげる」
「ありがとう」
美紀子さんと松山が会話をする。異次元の話すぎて、もう僕らは会話に入れない。だけど、どれだけこっちが正しいことを言っても権力には勝てない。
悪政の根幹を垣間見た気がした。
「え~と、もしかして私たちを辞めさせる気ですか?」
凜さんが会話に入っていた。すると、余裕の笑顔でこっちを見てきた。
「ええ、そうです。礼儀もなっていない生徒会なんて学校の恥です。貴方たちには学校の顔としての意識が抜けているようなので、代わってもらいます」
その代わりというのは松山のことだろう。さっきからいやらしい顔でずっと笑っている。
「まぁもし、そっちがそれ相応の謝罪をするつもりなら、許してあげないこともないですよ?」
「何をすればいいんですか?」
凜さんが尋ねる。
「そうね~あなたたちができる最大限の謝罪となると、地面に頭をつけるあれかしらね~」
「っ」
「さあどうしますか?」
美紀子さんは余裕の表情でこっちを見てきた。女王の奢りすら感じる。が、
「それならうちの家が松山学園に寄付しているお金をすべて取りやめますね?」
彩華さんはニコニコしながらそう言った。美紀子さんはそれに対して、嘲笑を浮かべた。
「はっ!たった一軒寄付が消えたところで「それは不味い・・・」え?」
松山が会話に入ってきた。
「御堂家はうちの学園に一番寄付をしてくれている家だ。それが消えると・・・」
松山が顔面蒼白になる。
「なっ、それじゃぁ・・・!」
美紀子さんが彩華さんを見ると、彩華さんは邪悪な笑顔を浮かべた。
「強権を行使すれば私たちが言うことを聞くと思いましたかぁ?」
「っ!あんた・・・!」
「残念でした(笑)夢を見せてしまってごめんなさい。馬鹿みたいにドヤ顔しているおばさんの表情が滑稽すぎてつい」
「っ~~~~」
絶対的に上だと思っていた自分が実は格下の立場だったと気が付いて顔を真っ赤に染める美紀子さん。流石に寄付筆頭の家を相手に正面から戦えるほど、勇気はなかったのだろう。
「これで分かりましたか?そっちに勝ち筋なんて最初からないんですよ」
「小娘が・・・!」
「はいはい、そんな小娘にマウントを取られているおばさん乙って感じです」
「っ~~~~」
今にも飛びかかろうとする勢いだった。松山はそんな美紀子さんを初めて見たのだろう。若干震えていた。丁度彩華さんも松山の方を見た。
「優君もさ、明人君に負けたのが悔しいのはわかるけどいい加減現実と向き合ったら?」
「え?」
松山は自分が攻撃されるとは思っていなかったのだろう。
「テストで負け、庶務戦で負け、最愛の沙紀ちゃんは取られたんだよ?」
「ち、違う!それは岩木が!」
「まだそんなことを言うんだ・・・」
彩華さんは、はあ、とため息をつく。大変な幼馴染を持って大変そうだ。
「正直、メルヘンお花畑脳の優君とそこのヒステリック害獣ババアに付き合ってたら、時間がもったいないんだよ」
「メルヘン・・・」
「ヒステリックですって!?」
僕以外の生徒会役員は大爆笑していた。もう彩華さんが負けるとは思っていないのか空気が弛緩していた。
「だからさ、優君。賭けをしよう」
「賭け・・・?」
「うん。私たちが勝ったら、二度と明人君と沙紀ちゃんに関わらないこと。そして、私たちにもね。逆に、そっちが勝ったらなんでも言うことを聞いてあげるよ」
「なんでも・・・」
松山は沙紀の方を見た。沙紀は僕の方に熱視線を送ってきていた。
「優斗!受けなさい!それでこの無礼な女狐を潰してやりましょう!」
「あっ、うん」
彩華さんにやられたことが物凄く悔しいのだろう。顔が般若みたいになっていた。
「勝負内容はどうする?後でごねられたら面倒だからそっちが決めていいよ?」
こうすることで不正だと疑われないようにする姿勢らしい。
「それなら有志のバンドで勝負よ!!!優斗くんもそれでいいわね?」
「あっうん」
松山というよりも美紀子さんが主導になって決めてしまった。
(松山をこんな風に黙らせるなんて凄いな・・・)
「決まりですね。それならバンドでどっちが優れているか決めましょう」
こうして戦いの火ぶたが切られた。
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