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いつも読んでくださってありがとうございます!
生徒会、松学際、家を往復するだけの日々。文化祭まで二週間を切った。
「アッキー大丈夫~?」
「はい。大丈夫です」
今日は広報の花蓮さんの手伝い。直前期になったので、松学祭のビラ配り等をすることになっていた。
「じゃあ今日もお願いね!」
僕にそういってさっさと出かけてしまう。花蓮さんの無尽蔵な体力はどこから出てくるんだろうか。
「僕も急がないと」
人をうらやんでいる暇など全くない。僕はダッシュでビラ配りを頑張ることにした。
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「明人、ここの計算をミスしているわよ」
「え?マジ?」
「マジよ」
沙紀が僕に書類を渡す。見てみると、確かにミスをしていた。
「気を付けなさい。時間は有限なのだから」
「ごめん・・・」
流石にこの時期になると沙紀もふざけてこない。猫の手も借りたいくらいに忙しいので仕方がないのだろう。
踵を返して、自身の仕事に取り掛かる。
(ああ~やっちゃったなぁ)
最近くだらないミスばかりしてしまう。自分のミスを思い浮かべていると、手が動かなくなった。
(これは良くない傾向だ)
僕は少しリフレッシュすることにした。
「すいません、ちょっと頭を冷やしてきます」
「はいは~い、あっ、明人君」
「はい?」
彩華さんが僕を引き留める。何かあるのだろうか。
「時間は気にしなくていいからね~切り替えられたと思ったら戻ってきて」
「・・・ありがとうございます」
内心を見抜かれていたらしい。彩華さんはニコニコと笑っていた。僕は上司に相当恵まれていた。僕はお言葉に甘えて、ジュースを買いに行った。
「うう~私も明人にああいうことを言いたいわ・・・」
「余裕がありそうね、沙紀。そういうことなら仕事を増やすわよ?」
「なんでもありません」
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僕は久しぶりに中庭の自動販売機の前に来ていた。
コーヒーを一杯買って、ベンチでボーっとする。それだけでも頭が冴えてきた。
(うん。これならまた頑張れそうだ)
夕方になりかけている空を見ていると、さっきまでのことがどんどんどうでもよくなる。十分くらいそうしていただろうか。
「よし、行くかな」
「おっ、岩木じゃん」
僕を呼ぶ声が聞こえてきた。出鼻をくじかれた気がして少しイラっとした。振り返ると松山がいた。
「さっきぶり、それじゃ」
僕は面倒に巻き込まれるのが嫌なので逃げることを選択した。昔に比べて、逃げるという選択肢を取れるようになった分、僕は成長したのだろう。
「待て待て。逃げんなっての」
松山が僕の肩を掴んでくる。
「俺、今回の文化祭の有志に出るんだわ」
「へぇ」
松山は目立ちたがりだから、それ以上に感想などあるわけがない。
「軽音と手を組んで、俺がボーカルをやることになったんだよ。俺は断ったんだけど、あいつらがしつこくてな」
「はぁ」
(松山は軽音部として出るのか)
凄く鼻につく言い方をしてくる。
「それで現生徒会を倒して、俺が次期生徒会長になる」
生徒会のジンクスを知っているようだ。理事長の息子なら当然か。
「俺を否定して、キモパンダを取った生徒会なんて人を見る目がなさすぎる。歴代生徒会で最悪の役員構成だよ」
僕のことを恨みがましく見てくる。自業自得というか公正な試練だったという事実すら忘れているらしい。
「だから、俺がこの学校の生徒会長になって沙紀を取り戻す!」
僕に向かって力強く決め台詞をいう。
「まっ、俺が出る時点で勝ちは確定だけどな(笑)勉強と庶務戦はラッキーが続いて負けたが、歌はどれだけの人間の心を動かせるかだからな。もう誤魔化すことはできないぞ?」
「まぁベストは尽くすよ」
「おう、せいぜい頑張ってくれ。沙紀にもよろしく伝えておいてくれ」
「分かった」
「それじゃあな。また後で生徒会室に行くからな」
恰好を付けて、背を向けてひらひらと手を振ってくる。
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「ーーらしいですよ」
僕は松山との一部始終を伝えた。案の定生徒会室にはまたかよとかうんざりするという感情がごちゃまぜになっていた。
「もう、優君ってなんなの・・・」
「アレは災害です。もう無視しましょう」
「私は家の付き合いがあるから無理だよ・・・」
彩華さんは手で顔を覆ってしまった。沙紀は今にも唾を吐きそうな顔をしていた。
「流石に同情。あんなのと幼馴染の彩華。そして、義兄妹になる沙紀。考えただけで鳥肌が立ってきた・・・」
「あんまり好き嫌いはしないけど、あれだけはもう無理」
「そうね、武力行使をしてでも、この部屋にはいれたくないわ・・・」
生徒会の面々からは最悪の酷評を頂いている松山。これなのにまだ好かれていると勘違いできるんだから、やっぱり病気なのではないだろうか。
僕は自分のスマホで、『嫌われている 気が付かない 脳の病気』と調べた。結構いっぱい出てくるから、僕はなんとなく心配した。
すると、教室のドアが開かれた。
「失礼します」
松山が来た。一瞬死ぬほど嫌な顔をした生徒会面々。すぐにアルカイックスマイルと仕事をしていますアピールをする。
が、僕と沙紀は凍ってしまった。
「なんで・・・」
そこには松山と、
「こんにちは」
「こんにちは、え~とどなたでしょうか?」
彩華さんが第三者の来訪に応える。
「私は水本沙紀の母親の水本美紀子と言います。いつも娘がお世話になっています」
人当たりの良さそうな笑顔で、美紀子さんと松山が来訪した。
『重要なお願い』
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