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先輩方の演奏を聴いて僕と沙紀は自然と拍手をしていた。
「ふう~どうだった?」
「最高でした!」
彩華さんの質問に僕は即答した。これ以上ないくらい凄いと思った。
「そこまで食いついてもらえたなら安心だね~」
花蓮さんがはにかむ。その表情には安堵の感情も混ざっていた。由紀さん、凜さんも同じような表情をしていた。
「私たちも来年はこのレベルに仕上げないといけないと考えると、結構ハードね」
「確かに・・・」
生徒会の仕事をしながら、自主練でバンドの練習をする。これは超人じゃないとできないなぁと思った。
「それじゃあ、今度は二人にも参加してもらおうかな~」
彩華さんが笑顔で僕と沙紀に言ってきた。
「はい」
沙紀はもうすでに準備ができているようだった。マイクを取っていつでも準備OKらしい。
「え~と、≪青天井≫っていう曲ですよね?」
僕は聞いたことがある曲じゃないと歌えない。
「そうそう。聞いたことある?」
「はい」
昨日沙紀に一回聞かせてもらった。そんな僕を見て、沙紀は何か言いたいことがありそうな表情をしていたが、口を噤んだ。
「それじゃあ、ボーカルもいれていってみようか~!」
「「「おー」」」
そして、彩華さんの音頭から曲がまた始まった。
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「明人と沙紀、うますぎ・・・」
由紀さんがベースをだら~んと持ちながら驚いていた。他三人の先輩方もそうだった。
「いや~凄いね~、沙紀ちゃんがうまいのは知っていたけど、明人君までここまでとは」
「ありがとうございます」
思わずお礼を言ってしまう。
「ここまでの完成度ってことは裏で練習でもしたのかしら?」
凜さんが僕と沙紀を先輩として労おうとしているのだろう。凄い優しい笑顔だったが、
「私は練習していましたが、明人は違いますよ」
「はい?」
「明人は昨日私が歌った曲を一回聞いただけで完コピしたんですよ」
沙紀が僕のことを頭をおさえながら言ってくれた。が、
「それは沙紀の歌がうまかったからだって言ったじゃん」
謙遜とかではなく、事実だ。沙紀の外さない音程、抑揚、ビブラートなどなど、沙紀が完璧に近いレベルで歌ってくれたから歌えたのだ。
なんなら後出ししている分、沙紀には完敗しているとさえ思っているくらいだ。
「褒めたって何も出ないわよ///」
沙紀が赤面する。
「ほぇ~天才だね~」
花蓮さんが僕と沙紀の会話を聞いて感じ入った声を出した。
「でもさ」
「はい?」
「二人とも初めて曲を合わせたっていう割には、物凄く息が合ってるじゃん!なんか兄妹みたいだね!」
「あはは」
核心を突かれすぎて乾いた笑いが出てしまう。
「兄妹と言えば、沙紀ちゃんはこれから優君と義兄妹になるもんね~」
沙紀が凍った。僕も当然凍る。
「そういえばそんな噂を聞いた」
「ね~二年生の間で話題になっているらしいね~」
由紀さんと花蓮さんが面白がって話を膨らませようとする。沙紀の顔は見たくない。めっちゃ怖そうなオーラを発しているのはわかる。が、救世主現る。
「でも、あれと義兄妹って・・・ちょっと同情しちゃうわ・・・」
凜さんが沙紀にとって最高に欲しい一言を与えた。
「凜さん、ありがとうございますぅ!!!!」
「ちょっ離れなさい!」
「いいえ!離れません!他三人が私に対して当たりが強すぎるんです!凜さんだけが私の味方です!」
「は~な~れ~な~さ~い!!!」
「嫌です!」
ワーワーギャーギャと盛り上がる。
「はいは~い、雑談は終わりだよ~続きやろう。時間は止まってくれないよ」
「彩華さんがそれを言うんですか・・・」
「ん~?」
「いえ、なんでもないです」
ツッコミをいれたら凄い笑顔で睨まれたので、速攻で避ける。
そこから僕たちは一時間ほど、練習した。
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「疲れた・・・」
ずっと演奏していた先輩方が生徒会室でダウンしていた。重そうな楽器をずっと使っていたのだ。疲労は僕らボーカルよりも圧倒的に大きいだろう。
時刻は18時。そろそろ下校の時間だった。
「これから文化祭まで時間があるときは練習するからね~」
これ以上練習する必要ってあるのだろうか。結構レベルが高いと思うんだけど。
「アッキー、妥協はダメだよ!絶対に一位を取らなきゃいけないんだから!」
僕の内心は見透かされていた。
「軽音部が毎年ライバル。強敵故に私たちにサボっている時間はない」
「なるほど・・・」
僕は自身の甘い判断を払拭する。僕は基本的には何もできない。たまたま何とかなっていただけだ。おごりはよくない。
「すいませんでした」
「いやいや。言い方は悪いけど明人君を人柱にして、みんな気合を入れ直せたから丁度良かったよ」
ニコニコと僕をフォローしてくれる彩華さん。なんとなくだが、ここまで仕込みなんだろうなぁと思った。
「こっかは基本的に空いている時間は練習、土日ももちろんね」
「はい!」
「後は三年生はこの文化祭がラスト。最後に負けて終わらないように頑張ろう!」
「「は~い」」
そうして、最高にハードな文化祭期間が始まった。
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