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くりーむふぉーすてぃー  作者: 9lim4st
2022年06月
2/6

何故、中二病になったのか

 私は子供の頃から泣き虫で、その頃から怪我ばっかりしていた。

 元々身体は弱かったけど、だからと言って同級生に虐められる事は特になかった。


 そして小学生時代。私は兄の手によって、一度生死を彷徨う程の事故が発生してしまったのである。

 それは祖父との魚釣り。場所はテトラポット。

 原因は兄がテトラポットから滑り、目の前の私を突き落としたのだ。

 その後。兄は親に怒られてから謝罪し、私は命に別条はなかった。


 だが中学生時代に私は気付いてしまった。

 そう。私はその事故の後遺症で左腕全体が使えなくなってしまっていた。


 その代わり。その事故の後、私は夢の中で不思議な体験をした。

 真っ白の何もない世界で、一人の黒いフードを被った子供が白い球体を静かに眺めていた夢。

 その子供は私の友達でも、身内でも、顔見知りでもない赤の他人だ。

 それに私が挨拶を交わしてみても、その子供は私の言葉を全く理解出来ていないようだった。

 そして私はその子供が何故か孤独に見えてしまい、手を繋いで一緒に遊んだ。

 と言ってもそれは私の独断専行だ。

 本当に何もない世界を冒険して、その子供をどうにか楽しませたかっただけだった。


 その後。夢から醒めて現実世界で起きると、私はまたあの子供がいた、あの世界に行きたがっていた。

 次の日の夢で私はまた真っ白の何もない世界に来た。

 だけどあの黒いフードを被った子供はいなかった。

 そしてその頃から私は、怪我をする程の事故が全くなくなっていた。


 そして私は中学生になり、ふとある事に気付いた。

 それは夢で起きる事が現実でも起きるという未来視、言わば超能力にでも目覚めたのかと思い、私は中二病を発症した。


 中学生時代後半では友達がいるのにも関わらず、私に初めてのエア友達が出来る。

 そしてそのエア友達は私にいくつかの質問をして来た。


『夢はあるか?』

「夢はない」

『人生は楽しいか?』

「そこまで楽しくない」

『人間として生まれて、何で楽しくないんだ?』


 その頃の私は夢が現実になる未来視で蝕まれ、どうも人生がそこまで楽しくなくて死にたかった。

 でもそのエア友達にも話せなくて、一週間過ぎたある日。

 私はそのエア友達に全てを話した。


 事故の後遺症で左腕全体が使えなくなってしまったこと。

 夢の中で不思議な体験をしたこと。

 全ての夢が現実になる未来視のこと。

 そしてその未来視のお陰で死にたいこと。


 そしたらそのエア友達は私に何と言ったと思う?


『俺は人間が嫌いだ。都合の良い勝手な解釈をして、自由に行動している姿を見て。俺も人間みたいに生きたかった。お前の人生が下らなくて本当に死にたいなら、その人生を俺に見せてくれ』


 そう言われて私はそのエア友達、(いみ)と約束した。

 忌に私の人生全てを見せて共有する約束を。

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