「ものかき」に生まれた不幸
「ものかき」に生まれたものはみな不幸である
書かずにはいられない
病めるときも健やかなるときも
雨の日も風の日も
熱射の日も霜の降る日も
穏やかな日も騒がしい日も
我らは書かずにはいられない
仕事のかたわら、その日暮らしのかつかつの生活をしながら
動かぬ体を引きずって
愛する人との交流の合間、浮き立つ心、歓びに溢れる心を抑えきれず
どうにか時間を見繕って
彼らは書かずにはいられない
明日の希望を喜びのうたを
過去の悲しみを狂わんばかりの絶望を
書いたからとて何があるというのか
わからぬままに今日も書く
ただそのように生まれたのだから仕方がないと
考えることもなく今日も書く
我らは生まれた ものかきに生まれた
そのかきむしるほどの不幸に我らは酔いしれ、今日も書く
これこそ至上の歓びと
愛のおもむくままに ただ心のままに
星降る野中で 想い人の腕で
哀れなるもの、ものかき達よ
狂いたるもの、ものかき達よ
お前たちはきっと、最後のひと息までもものかきであるのだろう
そして吐き出す最後の吐息は、来世でまた文字となるのだろうか
ものかき達よ
この不幸なるもの達よ
書き続けるお前の顔は誇りと狂気に輝いている
書かずにはいられない、どのようなときも
我らはそう生まれた
物書きに、生まれた