魔王「あれえ?なんか杖、逆っぽくね?」賢者「あ、確かにそうですね」
「あれえ?この杖さ〜精霊石っつーの?先っちょについてんだけど、これよく見たらアタシの杖じゃないわ」
魔王が賢者に向かってそう言い放つと、賢者は自分の持っている杖を眺めながら口を開いた。
「確かにそうですね、よく見るとこっちの先には暗黒魔石がついてます」
「あー、これから戦うのになんだけどさ、杖、入れ替えとかない?」
「うーむ、どうしたことか、私はこの杖でも実力を発揮できるので、いいです」
「おいおいおい、賢者ともあろーものが、魔王の杖を使っちまうなんて良くないと思うね。アタシなら精霊石のついた杖でとどめを刺すよ、流石に」
「そうですか」
「え?マジでこのまま戦うつもりなの?流石に違くない?ダメだよね、フェアじゃないよね?さっきほらアタシが全回復させてあげたじゃん?しかもこの杖の追加効果っていうの?なんかお前さ、さっきからリジェネしてね?」
そう魔王が賢者に指をさすと、確かに賢者の周りには淡い緑の光がぽわぽわとただよっていた。
「なんかそれは違うと思うなアタシ、フェアな戦いをしようと思って回復させたのに、そっちだけリジェネしてるのってズルくない?」
「自分にヒールをかけてみたらどうですか?」
「うっわ、マジか、お前天才かよ〜」
魔王と賢者の最後の決戦は四半世紀続き、そして今、この瞬間も呪文を交わし合っているという。