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金融

 ゴリは犯行に使われた車両、白いクラウンの足取り調査の班に抜擢された。


 住之江署の喫煙所で煙草(マルボロ)を吸っている隣に、同じ班のメンバーが缶コーヒーを飲んでいる。


 一条 愛 大学出たての幹部(キャリア)候補生の婦警で今回が初の事件(やま)になるらしい。


「スンマセンねぇ…最近は警察車両も禁煙車両ばっかりなもんで」


 ゴリが恐縮しながら急いで吸うと。


「会議…長引きましたからねぇ」


 愛は苦笑しながらブラックの缶コーヒーを飲み干すと、近くのゴミ箱に缶を入れる。


「車検証に載っている販売店から行きますか?」


 ゴリも煙草を一斗缶の吸い殻入れに入れると、捜査車両の鍵を取り出した。


 犯行に使われた車両は、枚方の販売店の名義になっていたので、新御堂筋から外環状線170号線に出ると北に向かう。


 枚方は大阪でも北部に位置し、京都にも程近い、ひらパーと呼ばれる遊園地、枚方パークは菊人形で有名である。


 販売店に着くと犯行車両の担当だった店員に話を聞く。


 車を買った客は香里園に住む自営業の男性、居酒屋チェーンの店長だったが新型インフルエンザの拡散を防ぐ自粛要請で客足が減り、ローンが未納になっていた。


「ローンは完済されてはおりません、車の所有は店になるのですが」


 どうやら店の維持のためにヤバイ筋が金利の高い金を借りていたらしい。



「車を押さえに行ったら車も、お客様も不在で」


 連絡も取れなくなっているらしい。


「金融車ですか?」


 ゴリがそう聞くと、愛がキョトンとした顔で。


「金融車と言うのは?」


 ローンが未納になっている、もしくは持ち主の知らない所で勝手に売買されている車の事を金融車と言い。


 名義変更が出来ない為にトラブルなどが多いとゴリが説明をすると。


「勝手に売り買いって…それ」


 そう、犯罪である。


「昔はローンが払えない、販売店が押さえる、いわくつきの車として販売するの流れが最近になって」


 闇金から金を借りる、財産を押さえられる、車のローン?知らんがな。


「そのまま海外に売られたり、すぐに畳める怪しい中古屋で安く売られたり」


 しかし買っても名義変更は出来ない、本来の持ち主にバレるからである。


「盗難車と変わらん…が、店が被害届を警察に届けるまで警察(うちら)も把握が出来ないから後手に回る」


 そう言いながらゴリは消えた居酒屋チェーン店の店長も、この世に居ないかもしれん、そんな予感がした。

 


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