検問
八尾から南に抜けるには、中央環状線を走るのが手っ取り早い。
片側3車線のこの道路に黒のアルファードの姿があった。
八尾と藤井寺の境界線になる川、大和川。
数十メートルの川幅を誇る一級河川を超えた先には、壁の様に防音板が貼られている。
逃げる脇道の手前に複数台のパトカーを横付けして、バリケードを作ると黒のアルファードを待ち構える。
パトカーのサイレンの音が近付いて来ると、坂の上から黒のアルファードの姿が見えた。
バリケードの手前、50メートル辺りで急ブレーキを踏むと、ゴムの焼ける匂いをさせながらUターンをした瞬間。
坂道で荷重が掛かった左側のタイヤが軋んでオーバーステアーになる。
その瞬間、右側のタイヤが宙に浮くと車体が宙に舞う!
そのまま車体の左側側面が、アスファルトにめり込むと坂道を下り始めた!
アスファルトと車体の間に火花を散らしながら、バリケードのパトカーに突っ込んで行く!
慌ててパトカーの側にいた警官が逃げ出した瞬間、車体が滑りながらパトカーとぶつかる!
ガンッと音を立てながら、パトカーが左右に別れると、やっと止まった。
その時、上になっていた右側のスライドドアが開くと拳銃を手に、目出し帽を被った男が肩まで身体を覗かせる!
そのまま男は警官達に発砲をして来た。
パンッ!パンッ!パンッ!
発砲音がする度に、パトカーのフロントガラスが割れ、ドアに穴が開く。
「正当防衛射撃開始、犯人を拘束しろ!」
現場指揮官が発砲許可を出すと、あちらこちらから発砲音が聴こえて来る。
タァン!タァン!っと38スペシャル独特の音が辺りこだまする。
その中にゴリの姿があった。
腰のホルスターからニューナンブを引き抜くと、パトカーのボンネットに肘を固定して立射で構える。
右手の親指で撃鉄を起こすと、カチリっと金属音が辺りに響くと慎重に狙いをつけ出した。
照門と焦点に重なる用に、目出し帽の胸を狙うと、息を吸ってからゆっくり吐き出す。
吐き出す最中に引き金を絞る。
引いてはいけない、ゆっくりと絞ると途中で抵抗がピークになる。
息を止めてその奥にある抵抗を絞りながら解放する。
タンッ! 軽い音と共に銃身が跳ね上がる!
次の瞬間、目出し帽の男の喉に赤い花が咲いた!
喉を押さえながらアルファードの車内に消える男を見て、現場指揮官が吠える。
「突撃!確保しろ!」
次の瞬間、雄牛の様な声を上げてジェラルミンの盾を持った機動隊員がアルファードに取り付く。
窓ガラスを叩き割り、閃光手榴弾を投げ込む。
目を絡ませる光と、破裂した音量で耳を一時的に麻痺させると、アルファードに取り付いた。
窓ガラスを割って中から運転手を引き摺り出すと、そのままアスファルトに押さえつけて拘束する!
上から入ると、中で動けない様に体重を乗せて拘束する!
「クリアー!」
「クリアー!」
「救急車を!」
「危険物の有無を調べろ!」
その声を聞きながらゴリは、無性に煙草が吸いたくなった。




