長物
ケンは外に出ると、そのまま八尾にある酒場手毬に向かった。
営業にはまだ少し速い時間、店の扉を開けると店員が紙袋から檸檬を出して傷を調べていた。
「長物と車が欲しい」
そう言うと店員が手を止めて。
「今だと散弾銃かカラシニコフなら」
そう言うとケンの方を見て。
「鹿弾が100、弾倉が3つと実弾が100」
鹿弾はOOが2つあることからダブルオーとも呼ばれる。
ベアリングの様な球が5、6個入っており、主に鹿猟などで使われる。
標的が人でも変わりは無い。
「カラシニコフの種類と産地は?」
カラシニコフは主に東側諸国でライセンス生産されている、もちろん祖国でもだ。
「モンゴル自治区内での生産品、AKMで大阪の暴力団に入る予定がキャンセルになってね」
組長が死んで、納入先が無くなったと言うと。
「両方100万円…どうします?」
ケンは少し考えてから。
「両方貰う、あと追加で弩級、これは矢は海外の狩猟用と出来ればスリングショットも」
日本国内では弓矢には反しが付いていない、ただ刺さるだけでは致命傷にはならない。
矢鴨を見ればわかる、そのまま飛んで餌まで食って生きている。
両方、共に無音の飛び道具として軍隊でも使われている。
「車はワゴン車ならデリカの15年落ちですが四駆です」
ケンがそれで良いと了承してから。
「情報が欲しい、人が少なくて身を隠せる場所の」
店員は少し考えてからカウンター下からタブレットを取り出した。
暫く操作してから、ケンに渡す。
「去年、熊が出て閉鎖されたキャンプ場があります」
見れば和歌山のキャンプ場に熊が出没し、猟友会が駆除に失敗。
「動物愛護だの麻酔を使えだの」
言いたい放題で邪魔した結果、猟友会が手を引いたと記事になっている。
「熊がまだいるじゃないか」
ケンが思わずそう言うと、店員が苦笑いしながら。
「だからですよ、人っ子1人居ません」
ガスや水道、電気はまだ通ってるはずです、そう言ってから。
「鍵とチェーンはあると思うので切断する道具があれば」
中に入れるはずです、そう言うのを聞きながら、ケンは買い物リストを考えていた。




