暗号
ケン中尉は急いで仲間の待つ拠点に向かった。
団地の5階まで駆け上がると息が切れる。
ドアを素早くノックする、3回、続けて2回。
ドアチェーンが掛かった状態でドアが開いた。
マー軍曹がケンの顔を確認すると、一旦ドアを閉めてからチェーンを外す。
「状況は?」
中に入るとケンはまずそれから聞いた。
「ニュースの事以外は…ヤン少尉が新潟のソーシャルネットサービスから情報を吸い出ししています」
ネットの海は広大だ、そして情報が走る速度も速い。
テレビのニュースは後追いでしか無い。
「俺は本国に送る報告書を作る」
そう言うとケンは、一冊の本を取り出した。
ライ麦畑で捕まえて、ハングルで書かれたその本と同じ物が本国の作戦司令室にもある。
その中で必要な単語を探すと、ページ数、上からの行数、右からの数を二桁の数字で書き出して行く。
二桁の数字が並ぶ暗号はコンピュータのプログラムにも見える。
この方法だと、基本となる本が無いと解読は不可能だ。
〈作戦は失敗、ワクチンは取り戻されました、チームBは全滅、指示を乞う〉
暗号を送ると、これからの事を考える。
ここに居ると捕まる可能性がある。
チームBの行動予定が警察に漏れた、それが何処からなのか?
「一旦、ここから出て様子を見る方が無難かもしれん」
誰にも知られず、出来ればケンだけが知る隠れ家。
「ヤン少尉にこの部屋に監視カメラを仕掛ける様に言っておいてくれ」
俺は短期で借りれる物件を探して来る。
そう言うとケンは外に飛び出した。




