狙撃
チャンスがあれば撃て!
その命令が耳に付けたイヤホンから聞こえた瞬間、40フィートコンテナーの屋根で待機していた狙撃班が動いた。
狙撃手の小田が相棒の観測手に。
「距離は?」
そう聞くとレーザー距離計付きの双眼鏡を構えたまま。
「125メートル」
そう短く答えると小田は狙撃銃の照準器の距離を調整する。
豊和工業、害獣駆除モデルM1500。
射撃の熱で変形するのを防ぐ為に、通常よりも厚く長いヘヴィバレル仕様の銃身。
豊和ゴールデンベアを改良した銃だが元はレミントンのM700がモデルになっている。
米軍海兵隊の狙撃銃M40A1と同じ7・62㎜NATO弾を使いその信頼性は高い。
ボルトを操作して、5発入っている弾倉から薬室に送るとボルトを閉じる。
照準器を覗くとドアの後ろに隠れながら拳銃を撃つ犯人が見える。
十字を胸に合わせる。
射線がズレても頭か腹に当たる、小田はそのまま引き金を絞り込んだ。
地上では警察がワクチン強奪犯を取り囲んだまま、ジェラルミンの盾の後ろで、右手だけ出して応戦する。
しかし日本では撃ち合いなどはまず経験し無い。
お互いに撃つ弾は明後日の方向に撃ち込まれ、パトカーのボディやアスファルトで跳ねた跳弾が飛び跳ねる。
その時、一際大きい発砲音がした!
トラックのドア越しに撃っていた犯人が、倒れ込んで腹部を押さえている!
そして血溜まりが、倒れた下から広がり出した。
皆が広がる血溜まりに意識を奪われている。
その瞬間!再び銃声が聞こえると、運転席のフロントガラスに穴が空いて透明なガラスが真っ白に変わる!
胸を撃ち抜かれた運転手はその場で絶命すると、身体が前に崩れ落ちる!
そのままクラクションに身体を預けると、周りに耳障りなクラクションの音が響き渡った。
「状況終了…犯人は2人とも無力化しました」
相棒の観測員がそう無線に報告するのを、小田は他人事の様に見ていた。




