真相
買って来たバーガーを見て、泣きそうな顔のマー軍曹にヤンが自分のポテトの半分を渡して和解した後。
支給された一日一本の350㎜の缶ビールを飲みながらケンが。
「明日は八尾に行ってくるから、帰りにカルビ丼を買ってくるよ」
それを聞いて、まってました!
とばかりにマー軍曹が。
「肉倍、ご飯大盛りでお願いします!」
食い気味にそう言うと、ポテトを鷲掴みで口に放り込む。
それを見ながらヤンが。
「金塊の換金ですか?」
缶ビールを飲みながらケンが頷くと。
「せっかく手に入れた賞与なんだから使える様にせんとな」
そう聞くと2人とも頷いた。
元々、上からの指示は10箇所全ての場所を第三者に教えて、日本の政府と警察を混乱させるのが目的だった。
ケンがその筋書きを書き換えた。
1箇所だけ自分たちで襲う。
勿論、余計な野次馬も無しでた、入念に下調べをして、裏路地に関してはヤンに任せて、自分は空のバックを捨てる場所を選んだ。
最初からバックには発信機が付いていると織り込んでいた、袋を底から開けたのも、上蓋を開けたら防犯染料や目印の煙など罠がある可能性を考えてだ。
金塊10キロを強奪して山分けするのも、2人ともアッサリ乗ってきた。
「日本に来ると、金の重要性が祖国にいる時より増しましたね」
美味い物も食えないですし。
そうマー軍曹が言えばヤンも。
「この先、何があるかわからんなら活動資金は多いほど良いですよ」
上層部が知らないなら、なお良しでしょう。
3人で結託して10キロの金塊は手に入った。
あとはこれを上層部にバレない様に換金するだけである。
「祖国のルートは使えんから独自で作るしか無い、別働隊のワクチンが船に着くまでに出来れば換金したい」
明日、八尾に向かうのはその為だ。
八尾にある酒場、手毬、そこに信頼出来る仲介屋が居ると話しには聞いていた。
「ヤン少尉とマー軍曹はここで待機、万が一の為に荷物だけは纏めて置いてくれ」
勿論、金塊9キロもその中に入っている。
1キロだけは見本として持って行くことにした。
護身用の拳銃と共に。