表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/47

潜伏

犯人側の話になります

 タワータイプのパソコンからログインした記録を消しながら、ヤン少尉は手元に置いてあるチョコをボリボリと齧っていた。


 潜伏している府営住宅の中では、ケン中尉は2発発射した拳銃(ブローニングHP)分解(フィールド)整備(ストッピング)を、マー軍曹は腕立て伏せなどの筋トレをしていた。


 パソコンの記録(ログ)を消すのがひと段落する頃には、すっかり身体が凝り固まる。


 パーカーを羽織りながらヤンは自転車の鍵を取ると。


「食事買って来ます!」


 そう言って玄関から飛び出して行った。


 それを見て、マー軍曹が渋い顔をして。


「また…()()ですかね?」


 不足した(アンモ)弾倉(マガジン)に足しながらケンが。


「この間は…トロピカルでパイナップルが挟まってたな」


 うんざりした顔でマー軍曹が、カルビ丼が食べたい!


 っと愚痴るのを見ながらケンは声を出さずに笑っていた。


 自転車に乗って15分、駅前の商店街の中程に米国(アメリカ)に本社があるファーストフードのハンバーガー屋に着くと、ヤンは外からカウンターをそっと覗いた。


 カウンターの真ん中のレジに彼女が居た。


 黒髪のロングヘアを帽子(キャップ)の中に収め、明るく接客している胸の名札には。


 (リン)っと一文字書かれている。


 ヤンが中に入ると(リン)が軽く手を振った、そのまま彼女の前に行くと持ち帰り(テイクアウト)で注文をする。


米国(アメリカ)の西の地方の名前のバーガーに、照り焼きバーガー、フライドポテトのLサイズをそれぞれ3個ずつ注文すると、(リン)注文(オーダー)を厨房に伝える。


「最近、沢山買うねぇ!」


 笑顔でそう言うとヤンが。


「親戚の叔父が2人出て来てるんだ、ウチに泊まって宿泊代を節約してる」


 何の商売?、そう聞く(リン)に。


「朝鮮人参の粉末の販売、自分の農場で育てて加工までしてるから、安いよ」


 勿論、嘘だ。

 本当は祖国()から定期的に麻薬(ヘロイン)が入って来る。


 漁船で日本海に電波発信機(GPS)を付けて、複数纏めた目印(ブイ)と共に流す、ついでに銃火器や偽の旅券(パスポート)など間諜(スパイ)に必要な物は全て送られてくる。


 そんな事を考えている間に注文(オーダー)が揃った。


 現金(キャッシュ)、たぶん偽金で支払いを済ませると。


「また来てね!」


 そう言う彼女の笑顔を見ながら。


 あと何回ここに来れるだろう?……


そう考えると、祖国()に帰国するのを躊躇う自分が居た。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ