闇金
香里園の繁華街、飲み屋の連なる店が並び夕方には人で賑わうこの通りも、非常事態宣言での制限の為か人がまばらだ。
雑居ビルの一角にその店はあった。
即日融資、3万円からと書かれたチラシを見ながら、ゴリと愛は中に入ると。
「いらっしゃいませ!ご融資でしょうか?」
事務服を着た黒ギャルに迎えられた、ド派手なピンク色のネイルの石が目に入る。
「融資じゃ無いんだ、店長さんは居るかな」
警察手帳を開いて写真とバッヂを見せる。
「店長〜お客様です〜w」
事務所の間仕切りのパーテーションの向こうから男が姿を見せた。
「警察の旦那が何の御用で?」
頭がオールバックで縦縞のスーツを着た、いかにもな店長の目の前に催促状を見せると。
「話良いかな?手間は取らせんよ」
返事を聞く前に中に入ると、パーテーションの向こう側にあったソファセットに勝手に座る。
無言で店長も座ると懐から煙草を出して吸い出した。
「煙草が吸えるのは有難いな…最近は何処も禁煙席だらけでねえ」
ゴリも煙草を出すと吸い出した、肺に溜めた煙を吐き出しながら。
「その催促状の持ち主に用があってね、ウチの管轄での話なんだが」
任意なんでね、世間話だと思ってくれていい、ゴリはそういうと店長に。
「アンタが流したんだろ?ここの他は銀行系の固い店ばかりでね」
金融車だとしても正規のルートで市場に流れる筈だと言い、店長を見ると。
「流した先が知りたいんだよ」
店長はゴリを睨みながら。
「ウチがやった証拠なんて…」
それに被せる様にゴリが。
「無いよ?…でもここで教えてくれないと後でそっちが困るよ?」
白いクラウン、ゴリがそう言うと店長がピクリと反応した。
「こっちの事件に使われた車両が、万が一ここから流れた物だとして」
今言っている証言と食い違って居たら?この店も絡んでると思われる可能性がある、それを聞くと店長が顔色を変えながら。
「俺は関係無い!車は外国に流れる予定だったんだ」
それを聞くとゴリが猛禽類の様な目をしながら。
「何処の国だ?積み込む港は?」
…新潟…それしか知らない。
吐き出す様に店長が呟いた。