家宅
販売店を出た足でゴリと愛は枚方警察署に向かう。
例の白いクラウンの持ち主は香里園在住の30代の男性とわかった。
「香里園だと枚方警察署の管轄なので家宅捜査令状を取りに行きましょう、あとは挨拶は通さないと」
勝手に枚方署の管轄で嗅ぎ回って向こうの捜査の邪魔になったりしたら、クレームが来るとゴリが言うと。
「…なんか暴力団と変わらないような……」
愛の台詞に苦笑しながらゴリは。
「警察組織なんて何処も変わらんですよ、それに楽です」
楽とは?っと聞いてくる愛にゴリは。
「家をガサ入れしたら何処から金を借りていたか直ぐに解りますから、それ以外だと時間が掛かります」
それ以外の方法だと、行方不明の店長の居酒屋チェーンのエリアマネージャーに、店の店員の住所を聞いて1人1人に聞き込みをする必要がある。
「それは次の段階ですね、万が一その中に今回の犯人の関係者がいた場合」
嘘の情報を教えて逃走する可能性がある。
「人は嘘を吐く、真実を少し混ぜて後は自分の都合の良い記憶とすり替える」
それが故意なのか、その嘘を真実だと思い込みたいのか。
「関係者の全てに聞き込みをして矛盾を探す、刑事の仕事の九割は嘘の中の真実を探す作業です」
途方もなく時間の掛かる手作業は人海戦術に頼るしか無い。
「だから捜査本部が要る訳です、枚方警察署にも応援を頼む様にお願いしましょう」
その方が楽ですから、そう言っているうちに枚方警察署に着いた。
無線で捜査本部に連絡をしておいたので令状は直ぐに取れた、枚方警察署の署員も連れて現場に向かう。
2階建てのアパートの玄関のポストを見ると、郵便物が入り切らずに床に落ちるまで溜まっていた、何ヶ月も留守らしい。
管理人に部屋を開けてもらうとまずは鑑識が中に入る、しばらくすると中に入る許可が出た。
頭に捜査帽とシャワーキャップ、白い手袋に足には靴カバーをして中に入ると借金の催促状を探す。
真っ当な銀行やサラリーローンの中から、香里園に店を構える高利貸しの店の証書が見つかった。
総額で三百万円、銀行やクレジット会社も合わせれば五百万を超えるだろう。
「まずはここから始めますか」
ゴリがそう言いながら闇金の催促状を睨んでいた。