憎しみの連鎖
初めまして。
この度小説家になろう。にて初めて小説を書かせていただきました。
flymerと申します。
この作品は主人公シンラが人間と魔族の和解を望み仲間とともに、世界に取り巻く怒りや憎しみを
無くして行こう。という作品です。
初めて書いた作品ですので読みづらい部分や感情表現など、至らない部分があるかと思いますが
私も主人公であるシンラ同様、日々成長していきたいと思っておりますので、どうかご容赦のほどよろしくお願い致します。
薄暗い森・・・・
誰も入らず寄り付かない・・・
そこは魔の物が住みつく森・・・
僕はそこに捨てられていた。
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スレン:「おはよう!母さん!」
元気よく言うスレン。
それとは対照的に母親のエルガは静かに返した。
エルガ:「おはよう。スレン。」
エルガはスレンに近づき頭にポンと手をのせて撫でた。撫でられたシンラは笑みをこぼしそれを見たエルガは微笑んだ。
スレン:「ちょっと待っててねお母さん
今朝食を作るから。」
そういいながら台所に向かったスレンだったがテーブルの上にすでに出来上がった料理が並べられていた。
スレンはそれを見て眉をひそめた。
エルガ:「そうそう少し体調が良かったから
料理作って待ってたのよ。さ、食べましょ」
エルガがそう言いながらテーブルへと足を進めるがスレンは座ろうとはしなかった。
エルガ:「どうしたの?早く食べましょう?」
エルガがスレンをテーブルに招き寄せるがスレンは立ち止まったまま口を開く。
スレン:「お母さん体調悪いんだから家事とか
僕がやるって言ったじゃん!病気が治るまで
は安静にしてなくちゃ!」
少し涙ぐみながらエルガに言った。
エルガは2年ほど前から病気に伏せており、悪いときは歩くのも儘ならないときも少なくないそのときからスレンは狩りで食料調達するだけではなく、家事もするようになった。だんだんと弱っていく母親をスレンは心配で仕方がなかった。
エルガ:「ごめんね。少し体調が良かったから
あなたにご飯を作ってあげたかったの。」
エルガはスレンの元へ向かい背中を撫でた。
スレン:「でも、ここ最近長い時間立って
なんていられなかったでしょ、少し体調が良
いいからってそんなことしなくていいじゃん
か!」
うつむきながら喋るスレンをみてエルガは腰を落とす。
エルガ:「母親という生き物はね子のために
できる限りやってあげたくなるものなのよ
でも、スレンが嫌ならもう作らないから。
だから一緒に食べよう?」
弱々しいからだから放たれる言葉はいつもスレンの心を包み込む。
心地良い。。
胸の中心から暖かさが広がる。
はずなのに、なんでだろう。もやもやする。
何かがそれを邪魔してる。これはなんだろう。
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スレン:「じゃあ行ってくるね、お母さんは
無理しないでよこになっててね。」
スレンが扉に手を掛けながら言った。
エルガ「スレン、いつもありがとう。
気をつけて行ってきてね。」
そう言うとスレンは勢い良く外に飛び出した。
森を進むにつれ獣臭が強くなるマナの濃度も濃くなっていく。マナが濃い場所には魔獣が集まる、そんな魔物を狩って暮らしている民族の村の端にスレンとエルガは暮らしている。
スレン:「もう少しだ。」
スレンがそう呟くと同時に前方から声がしてきた。
???:「遅れてんじゃねーよ!スレン!」
???:「本当よもう置いて行こうかって話してた
んだからね!」
目の前にいたのはこの村で唯一僕と話してくれるかけがえの無い友人、ジークとサーシャだった。
スレン:「2人ともごめん!」
2人に駆け寄りながら謝ると
ジークがため息を吐きながら言う
ジーク:「本当お前はいっつもおせーな!
まったく今度こそは置いてこうとしたぜ。」
呆れた表情をするジークにサーシャがニヤけながら声を上げた。
サーシャ:「なーにいってんの、あんたさっき
"スレンの魔法がないときついなぁあ"
とか言ってたくせに~」
ジークの脇腹をツンツンしながらいつものようにジークのスーパーデリケートゾーン保護バリアを破壊するのであった。
「今日は北の日だ!絶対北に大物がいるぞ!」
自信満々に言い放ったジークにサーシャが反論した。
「じゃあ東ね!ジークの鼻は頼りにならないから」
腕を組みながら吐き捨てるサーシャになんだと!?と言ったジークは、お前はどう思う?
みたいな表情をして僕に振りかえった。
「んー今日は南かなこの時期はワイバーンが冬眠から
目覚めるから確実に食料に出会えるね。」
僕が呟くと2人はギョッとした表情をした。
「きたぞ・・年に数度あるワイバーン祭りが・・」
「本当ね・・そろそろ私たちも命の覚悟を
しといたほうが良さそうね・・・・」
2人は互いに顔を見つめて囁いた。
どこか苦し紛れにジークは覚悟を決めたかのような顔つきで大きく息を吸って言った。
「よっしゃ!やるか!!では諸君、私に続き
今日も元気よく食料調達だー!!!」
と、元気よく発したその時だった・・・・
「やはりか。ジーク。」
サーシャの後ろに立つ木から誰かが言った。
その男はゆっくり歩いてこちらに向かってくる。
ジークはその容姿を見て驚きを隠せないようだった。
「親父………。」
木に隠れていたのは村長のガルドさんだった。
「あれほど人間などと一緒に行動するなと言っただろ
う、ましてやお前は私の息子。それでは村長とし
ての信頼がなくなってしまうだろう。
罰としてお前はしばらく外に出るな。
それにサーシャ。お前が人間なぞと一緒にいたら父
さんが悲しむであろうに……。
さっ2人とも家に帰るぞ」
そう言いながらガルドさんはジークとサーシャの腰に手を回し連れ帰ろうとした。
「待ってください!!!」
これでもうジークともサーシャとも話すことができなくなると思うと口からは勝手に言葉が出ていた。
「僕は人間であろうと、母さんの息子です!
僕は母さんもジークもサーシャも大好きなんです!
だからお願いです。どうか狩の時だけは2人と一緒に
いさせてください!」
するとガルドさんは睨みを効かせて僕に振り向くと声を荒げた。
「忌々しい人間が。ここにいられるだけありがたいと
思え。エルガが必死にお前を庇わなかったら
とっくのとうに人族のお前なぞ斬り殺している」
その言葉を聞いたジークがガルドさんを両腕で押し血管を浮きぼらせながら激怒した。
「なんでそんなこと言うんだよ!
シンラが何か俺たちにやったのかよ!
違うだろ!シンラは弓も上手いし鼻も効く
魔法だって俺たちより何枚も上手だ!
狩の仕方も俺たちに教えてくれる!
それに優しい!
アンタがただ人間が憎いってだけで
シンラを決めつけるな!!!」
ジークは息を荒げてガルダさんを睨みつけた。
僕はジークが言ってくれたことが嬉しくて涙が出てきそうになった。
しかし、そんな感情もガルドさんが次に発した言葉で跡形もなく消え去った。
「貴様!!鬼人族の村長の息子でありながら
人間を庇うのか!?エルガと同じように!
エルガもエルガだ!夫を人族に殺されたのにも
関わらず人間を助けた挙句育てるなどと!」
ガルドさんは続けて声を上げていたが僕には
もうすでに言葉は入ってきていなかった。
母さんの家族が……殺された…?
人間に……殺されたのか……?
ジークとサーシャが心配そうに僕を見つめる。
ガルドさんはまだ声を荒げていたが遮るように言った
「ガルドさん………ガルドさん!!!
僕失礼します。
ジーク君と狩に出て、すいませんでした。」
立ち去る僕にジークとサーシャが叫んだ。
「シンラ!!明日いつもの場所でまってるからな!」
「今日教えてくれるって言ってた魔法
明日教えてよね!!!」
そんなこと言ったらまた怒られるじゃないか僕は君たちまでも村から見放されるところ見なくない…。
「もういいよ。君たちとはもう友人でもなんでもない
よ。人間の僕なんて放っておいて早く帰りなよ。
明日も狩には行かないから。
これでさようならだよ。」
僕は込み上げる涙と、破裂しそうな胸胸の痛みを抑えつけながら家へと向かった・・・・
(「憎しみの連鎖」end…)
第一章1話「憎しみの連鎖」
御愛読誠にありがとうございます!
決して交わることない、人間と魔族。
両者の間には深い溝があり、それを埋めるのはとても難しいことです。
シンラはこの先、鬼人族の村でうまくやっていけるのでしょうか。
次回は「平和の生まれかた」です。
お母さんである、エルガの優しさが胸にくるお話となっておりますので、お手に取ってみてください。
これからもどうぞよろしくお願い致します。