はじまり
ここは神流川。泥沼の戦いの中。
「氏直っっつぉおおおお!!!ぅうおおぉお!」
騎馬武者が一人駆け抜けた。決死の突撃である。周りなど見えていなかったのだろう。周りの声も届いていなかった。もう、誰にも止められなかった。
「ぐはっ!!」 ドスンっ
その死は。
上野の国 厩橋城
俺はいつも考えていた。例えば、どうすれば強くなれるんだろうかとか、どうすれば勝てるんだろうかとか、どうすればおなごに好かれるんだろうかとか。そんな思慮深い性格なんだが、――
「馬鹿じゃないの?」
「うわっっ!」
「あんたただの脳筋でしょ。そんなこと考えてないで早く行きなさい。殿が呼んでるわよ。」
「驚かすなよ、、、」
こいつは相。いわゆる幼馴染だ。いつも付きまとってくるんだよな。殿の重臣の娘なのにうるさいっていう欠点を抱えてる。もしかして
「お前俺のこと好きなの?」
「ばっっゕ##「じゃ、いってくるー」ないの!ちょっと待ちなさい!」
ふっふーいー⤴⤴あいつなに驚いてんだ?俺たち幼馴染だろ?
城主の部屋
「桑介そろそろお前も元服だな。養父として儂が烏帽子親になろう」
「ほんとですか!」
これから俺の侍ロードが始まるわけか。くっくっく、ついにきたな
「ところで好きなおなごとかいるのか?相のことはどうおもってる?」
「え!愛ですか?そりゃあ、もちろん(友達として)好きですよ?」
「そうかそうか うむうむうむ(順調だな)」
「ねーねーなんの話してきたの?」
「そりゃあ、いろいろだよ。お前のこと好きなのかって聞かれたから、(友達として)好きって答えたぐらいかな?」
カっァァあ~~
「何言ってのよ!」
「おい!叩くなよ。いてーな」
こんな日々が続くと思ってた。
1582年6月
本能寺の変 織田信長死す
元服の儀
「桑介、今日からお前は儂の益の字をとって長益と名乗るといい」
「ははっ!」
ここまで来たか
信長様が死んだことで俺の元服が早まった。これからどうなるかわからない。町のみんなも不安な顔をしてる。俺がやるしかない。なぜか相のことがよぎった。会いに行くか
いつもここら辺にいるんだけどなー。どこいった?
「それでねー」
相の声が聞こえる。男としゃべってる。ズキッなんだこれ。鉢会いそうになった俺なぜか逃げてしまった。なんなんだ?
戦に備えて刀を振る。あれから相のことばっか考えてる。調子が狂う。
「何ぼーっとしてんの?」
「うわっっ!」
「なに驚いてんのよ。殿が呼んでるわよ。じゃ、私仕事あるから」
「ちょっ、まてっ」
「どうしたの」
「昨日の男は誰だ?」
「え、急に何?なんでそんなこと聞くの?」
えっ、なんでだ?