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プロローグ1

息抜きに適当に。


 警告灯に光が灯った。

 ぐるぐるとランプが回転し、機内が赤い光で充たされる。


「降下準備ッ!!」

「「「降下準備ッ!」」」


 巌のような外見をした大隊長の命令が出され、隊員による復唱の声が機内に響く。

 少しのズレもない完璧な唱和からは、隊員たちの練度を垣間見ることが出来た。

 その隊員の一人であるジョウ=クラウツ伍長も、直ちに機内に設置された搭乗員座席のシートベルトを外して、降下準備に取りかかった。


 背嚢を背負い、手持ちの武器を素早く点検。各種携行品に脱落はないか、ヘルメットの顎紐は弛んでないか、最終チェックを行う。

 機内──輸送機の中にいた各隊員が、最終チェックを済ませて機体後部へ向かう。クラウツもそれに続いた。


 ゴウゴウ、と扉が油圧式のポンプにより唸りを上げて開かれる。

 後部扉が開閉中であることを意味する警告ブザーが機内に響いた。

 扉の向こうに拡がるのは──闇。

 月明かり一つない、新月の夜闇だった。


 ビュウビュウと扉の中に吹き込む風は冷たく、そして激しい。

 機体の揺れ具合から察していたが、どうやら外は相当な荒れ模様のようだ。


「降下予定時刻まであと90秒!」

「よし! 準備は良いな、貴様らッ!?」

「「「サー、イエッサー!!」」」


 再びの唱和。準備が遅れているものはいない。

 隊員の一人が読み上げるカウントダウンを聞きながら、じっと暗闇の空を見詰める。

 横目に他の隊員の顔が見えたが、その時を待つ彼等の顔に動揺はない。まるで獲物を待ち続ける猟犬のような顔付きだった。

 おそらく、クラウツとて同じ表情をしているだろう。


 そして、降下のカウントが40を切ったとき、それは起きた。


 何筋もの光の柱。

 それらは俄に夜空に現れ、暗闇を切り裂き、そして次の瞬間暴虐を持ってクラウツたちに襲いかかった。


──ズゴンッ!!


 気流によるそれとは全く違う激しい揺れ。ついでに聞こえる爆音。眩く光る紅い炎。

 後部に開かれた降下扉の端から見えた爆炎には、破片が見えた。

 思わず、クラウツは爆炎が見えた方向に設けられた機体の窓を見た。

 そこには赤い炎に巻かれながら、内側から捲り上がるようにして二つに折れた兵員輸送ヘリの姿があった。


『──三番機被弾、墜落ッ!!』 


 激しく揺れる機内に、響くスピーカーの音声。

 クラウツの乗る兵員輸送ヘリのパイロットの声だった。

 それを皮切りにしたように、さらに夜空には数多もの光の柱が上り始める。


「降下予定時刻まではッ!!」

「あと32秒!」

「──ちっ、構わん。出るぞ!!」

「降下始めェッ!!」

「「「イエッサー!!」」」


 大隊長の命令を通達した大隊副官の声に従い、隊員たちがヘリから次々と飛び立つ。

 降下口の扉の先は、既に先ほどと違い俄に明るくなっていた。


「ヒューツ♪ 盛大なクラッカーだぜ!」

「いってる場合かッ!」

「なんだよ連れねぇな、相棒? ブルッちまったか」

「さあ、次!」

「じゃあ、おっ先ィ──イヤッホォオオォ!!」


 横に居た同僚の叩いた軽口に、クラウツはくそ真面目に返した。

 その隊員は降下補助の隊員に促されクラウツより一足先に夜空へと飛び出した。

 次は自分の番だ。


 機内最後尾、警告灯の明かりに照らされながら、脇に控える隊員の手を借りてクラウツは縁に立ち、そして勢いよく闇へと体を投げ込んだ。

ジャンルが違うものも書きたい。

ル○ティックル○リアンいつ更新するの?

ずっと待ってる……

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