理由なき抵抗
より特撮っぽさを出すために始めた次回予告、最近その次回予告がうまくまとまらずに投稿ができないというジレンマを抱えています。アホか。
「すまぬ、話が湿っぽくなってしまったな。では、おんしらの話を纏めるとしようか。」
メアリーは組んでいた足を解き、椅子に深く座り直した。
「おんしらの世界の吸血鬼はおそらく疫病の象徴となっておるらしいな。日光、流水、それにニンニクやハーブは瘴気を祓う高い効果があるからの。」
「瘴気……その言葉は私達の世界にもありますが、この場合は穢れではなく菌のことの様ですね。」
先程までのちゃらんぽらんな感じの無くなったメアリーの言葉に、美空が解説するかのように頷いた。
「吸血鬼に噛まれた者は眷族となり、正気を失い狂暴性が増す。しかしおんしらの世界ではその伝承だけがあり吸血鬼は存在していない。そんなところじゃろ?」
「していないとは言い切れませんが、私の知る限りでは確認されていません。」
メアリーも美空もとても楽しそうだ。
「眷族となった者を殺してもその亡骸を放置しておくと、また同じ様な者が現れ人を襲い始める。なのでその亡骸を焼いて処分する。それがおんしの言った事の実のところなのであろうな?」
「ええ、私もおそらくそうだと思います。」
理亜も萎縮した様子は消え、楽しそうに頷いた。
「ならばおんしらの世界の吸血鬼の正体は伝染病と推測され、その病はこの世界にもある。して、その病の名は?」
「「狂犬病です。」」
「うむ、言葉のニュアンスから見て同じ物と見て間違いないじゃろ。まあこちらの世界では狼憑きと呼ばれておるがの。」
メアリーはパチパチと手を叩き、続いてゆかりとエイミに顔を向ける。
「おんしらの言ったことはもっと簡単じゃ。伝承があると言うならば、それを元にした娯楽小説等もあるのじゃろ?」
「あ、はい。」
「その影響じゃ、物語の主軸となる怪物は飛び抜けて美しいか飛び抜けて醜い方が良い。でないと読者を引き込めぬ。地味な見た目の者がいくら事件を起こしても、なんとなくつまらぬじゃろ?」
「な、なるホド……」
妄想を嗜みとするオタク達は妙に納得してしまった。
「そしてそれに襲われるのは美しい方が断然良い。地味な者ではやはり映えぬし、醜い者が眷族となり化物と化してく様など想像しても不愉快じゃからな。穢れた存在が穢れを知らぬ乙女を穢す、安直ではあるが故に万人に理解されやすい。それだけの事なのじゃよ。」
『はぁ……』
吸血鬼は狂犬病でありその容姿についてはただのエンタメ性を求めた結果、和人達は納得はしたが少しがっかりしてしまった。
それでもなぜか抗いたかった和人は、吸血鬼の有名なイメージを思い出す。
「多くのコウモリを操ったりコウモリに化けたりするっていうのは?」
「和人、コウモリってのはね、自分は病気にならないくせに、体ん中であらゆる菌を増殖してばらまくとんでもないヤツなのよ。」
「そして黒い体に夜行性、更には西洋の悪魔を彷彿とさせる容姿、種によっては他の動物の血を吸う、吸血鬼のイメージを結び付けるにはこの上ない存在なのです。」
「はぅ……」
理亜と美空に言いくるめられ、和人はがっくりと肩を落とした。和人にこの二人を舌戦で言い負かす事など出来るわけが無い。
「ところで先程病原体という言葉を使ってましたけど、病気の原因が見えない程小さな生物であることが知られているんですね?」
この世界の文化レベルでは考えられない事に美空は疑問を抱いたのだが、その答えは思いも寄らない事だった。
「ああ、150年ほど前に私が見つけたのじゃ。」
「「え?」」
美空と理亜が目を丸くするが、和人は馬車でのクラリスの話を思い出した。
「ああ、そう言えばメアリーさんは高名な学者でもあるってクララさんが言ってたっけ。」
「クララ?」
「王女ではなくお友達としてそう呼んで頂いているのです。」
「おんしも相変わらずじゃの。まあ私は学者などと唄った事は無いぞ?ただ人より永く生きておる分多くの物を知っているだけじゃし、それに永い時間の暇潰しに色々やっておるだけじゃ。」
そう言うとメアリーは美空に興味深気な目を向けた。
「時に美空よ、先程私の頭を射抜いた物を見せてくれるかえ?」
「いいですよ。あ、先程はすみませんでした。」
美空は先程の非礼を詫びながらメアリーにバイ◯ソードを差し出した。
「構わぬよ、ああ、出来れば中を見せてくれるかえ?」
「はいどうぞ。」
美空は割り箸でも割るようにバイ◯ソードをぱかりと縦に割った。
「おや、おんし錬金術師か?」
「え?メアリーさんくらいになれば鑑定くらい使えますよね?」
メアリーと美空は意外そうに見詰め会った。
「なに、おんしら程度では警戒するに値せぬだけじゃ。それに、相手の事をゆっくり知っていった方が楽しいからの。」
「素敵な考えです。」
メアリーはバイ◯ソードを受け取ると、真剣な表情で解析を始めた。
「ふむ……使われているのは固定、圧縮、加速か……初歩の魔法陣の術式を書き換えるだけでここまで仕上げるとはな……何より少しずつ術式を書き換えた魔法陣を重ね合わせて増幅に近い効果を得るとは……これはおんしが?」
「いえ、私はこう言う物を作りたいと言うアイディアを出し外装を作っただけです。これを全て完成させたのは理亜なんですよ。」
「ほう?」
メアリーは理亜に好奇の目を向けた。
「ただの無礼な小娘かと思っていたが、どうやらおんしは中々の才を持っておる様じゃな?」
「ありがとうございます!!」
理亜再び土下座。赦されたのだ。
「ふむ、おんしに私の遊び場を……」
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
突如大地が割れるかの様な音が鳴り響いた。
「な!?なんじゃこの音は!?」
狼狽えるメアリーに、歌鈴がばつの悪そうに腹を擦る。
「すみません、お腹減っちゃつて……」
「お、おんしは腹の中で何か飼っておるのか?ティアマトが甦ったかと思ったぞ?して、おんしらは一体何をしておるのじゃ?」
クラリス達は旅の途中で何度も聞いていたので慣れていたが、メアリーはチビッ子にしか見えない歌鈴の鳴らした腹の音に驚嘆した。
そして謎のポーズで立ち並ぶオタク達に更に驚く。
和人達は反射的に思い思いのジョ◯ョ立ちをしていたのだ。美空に至ってはわざわざマギーさんを呼び出す手の込み様である。
狼狽えるメアリーになぜか凪晴が頭を下げた。
「気にしないで下さい、こいつらはただの病気みたいなものですから。」
「おんしかて同じ様なものじゃろ……しかし美空よ、おんし召喚獣まで持っておるのか?ずいぶんと多芸じゃの?」
「あなた程ではありませんよ。それにこれ和人君に貰った物ですし。」
「ずいぶんと豪気じゃな和人よ、そうそう得られるスキルでは無いというのに。」
「いえ、凄く欲しそうだったし、僕よりも美空の方が上手く使えるんじゃないかとも思ったので。」
まさか代わりにもっと良いスキルを魔王に貰ったなどと言える筈も無く、和人がそれっぽい理由を並べると、メアリーは嬉しそうに頷いた。
「うんうん、ますます気に入ったぞ。やはり今度閨を共に……」
「お断りします。」
今度はちゃんと断れた。即答されたメアリーはわりと本気で落胆する。
「私のどこが不満じゃと言うのじゃ……取り合えず今は食事にしようぞ?カリラ、用意は出来ておるかえ?」
「はい、整っております。」
「では食堂へ行こうか、皆ついて参るが良い。」
立ち上がり歩き出したメアリーとカリラに続き、和人達が応接室を出るとどこからともなく肉の焼ける芳ばしい香りが漂ってきた。和人達が応接室に通された時から準備が始まっていたのだろう。
「貴族様の食べてるお肉……楽しみだな……」
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………
鼻をヒクつかせながらよだれを垂らす歌鈴の腹が再びうなり声を上げた。
無理もない、その香りを嗅いで平静を保っていたのはクラリスとハンナだけで、他の者はみんな表情を弛ませていた。
食堂の前に立った時、メアリーは軽く振り返り不適な笑みを浮かべた。
「時におんしら、王都では魔獣食が広まり出したらしいが、魔獣食に嫌悪はあるかの?」
『そもそも魔獣を食おうと言い出したのはこいつです!!』
和人達は一斉に美空を指差した。美空は得意顔で自らを親指で指差す。
「今ではより美味しい魔獣を求めて戦っていると言っても過言ではありません!!」
「それはさいわいじゃ、実は私も昔から魔獣を食しておっての。これから出すのも魔獣の肉じゃ。」
それを聞いたクラリスが顔色を変えた。
「メアリー様!?初耳なのですが!?」
「おんしが聞かなかっただけじゃろ?それに美味しい美味しいとよう食べていたではないか。」
「そ、それはそうですけど……」
「メアリー様、それは一体どういう事でしょうか?」
「ひっ……!?」
怒気を孕んだハンナの声が響き、クラリスの目に涙が滲む。メアリーの口角が楽しそうに大きく吊り上がり、弾むような声を出す。
「クラリスはの、たびたび修道院を脱け出してはうちに遊びに来ておったのじゃ。得に食事時を狙ってな。泊まった事も何度もあるぞ?その度に次の日の朝、オーガの様な表情をしたシスターが連れ戻しに来ていたがの。」
クラリスの顔がどんどん青くなるにつれ、ハンナの笑顔はどんどん凄味を増してゆく。
「姫様、後程少々お話を致しましょうか。」
「…………はい。」
力なく項垂れたクラリスを見て笑いながらメアリーが扉を開けた途端、爆発的な香りが広がった。
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
和人達の腹が堪らず一斉にうなり声を上げ、早く食わせろと言わんばかりに口内によだれが溢れ出す。
逸る気持ちを押さえつつも少し早足で和人達が長いテーブルの席に着くと、食堂の奥の厨房らしき場所から数名のメイド達がワゴンを押して現れ、静かに料理をサーブしてゆく。
見ただけだもそのふわふわ感が伝わる焼きたての丸パン、彩りの美しい温野菜サラダには何やら芳ばしいドレッシングがかけられている。仄かに湯気の立ち上る緑色のポタージュは火傷しない熱さにされているのだろう。しっかりと調味液に漬け込まれながらも全く鮮やかさを失っていないピクルス、和人はこれがあるとかなり嬉しい。
期待感が高まる中、カリラが最後の料理を乗せたワゴンを押してきた。先程から周囲に立ち込める香りの爆心地、極厚のステーキ!!
冷めない様心遣いでポテトピュレの敷かれた皿の上に乗せられた圧倒的存在感、飴色の焼き色がついた表面は滲み出る肉汁でてらてらと輝き、その暴力的な香りが形になったかの様な湯気がもうもうと上がり続ける。ボートに注がれ隣に置かれたソースも反則級の良い香りを放っていた。
しかしなぜか置かれた料理が一組多い。
「ハンナよ、おんしも座るが良い。」
クラリスの後ろに控えていたハンナが驚きの表情を浮かべた。
「そんなメアリー様!?私などが姫様と席を並べ食事など……」
「王族の側仕えなら料理をする事もあるじゃろ?カリラの料理は必ず参考になる。良いから食せ、ここでは私が法じゃ。」
メアリーの言葉になぜか美空がピクリと反応したが、ハンナは気付くこと無くただ狼狽え続ける。
「良いではないですかハンナ、一緒に頂きましょう?」
クラリスの言葉に遂に観念したハンナは深々と頭を下げた。
「承知致しました、それでは私もご相伴させて頂きます。」
ハンナがクラリスの隣に腰を下ろしたのを見てメアリーは嬉しそうに頷いた。
「待たせたの、追加の用意もあるから遠慮などせず存分に味わうと良い。」
『いただきます!!』
和人達の手が一斉に肉に伸びた。
フォークを突き立てると弾ける様に肉汁が溢れだし、ナイフを当てると常温のバターの様にするりとナイフが落ちてゆく。一口大に切られた肉を目の高さまで持ち上げて、和人は頬をだらしなく緩ませた。
―絶体……間違いなく美味しい!!―
確信と共に和人は一口に肉を頬張った。
肉が崩れた
溶けるでも無い、ほぐれるでも無い、崩れたのだ。
程よく焼かれ肉汁、脂、ゼラチン質によって繋ぎ止められ、ギリギリ肉の形を保っていた肉塊は、噛み締めようとした歯に触れると、まるでドミノが崩れるかの様にはたはたと崩れていった。そして崩れたドミノは旨味、香り、食感が絡み合い、ひとつの芸術を描くかの様に広がってゆく。
『うめえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!』
『おいしぃいぃぃぃぃぃぃぃい!!』
男女共に張り上げた声はまるでスタンディングオベーション。しかしまだ物語は幕を開けたばかりなのだ。
無我夢中で肉を切っては口に運ぶ和人達は、その様子をざっと見渡し厨房へと戻ったカリラに気付かなかった。
このまま肉を食べ続けたら意識が溶けてしまう、そう思った和人はサラダに手を伸ばした。リセットするつもりで食べた温野菜サラダだったがそうはさせてくれなかった。
一見しんなりしたレタスはシャキシャキした食感が残り、アスパラのホクホク感、コーンのプチプチ感を、人参をベースに作られたスパイシーな香りを纏った酢が仄かに効いたドレッシングと共に飲み干すと、肉への懐かしさが込み上げて来るのだ。
和人が再び肉をひと切れ頬張ると、先程よりも肉の風味がはっきりと感じられた。初めて食べる肉だと思うのだが、どこかで食べた様な覚えもある。
和人は首を傾げながらピクルスをかじった。しっかりと中まで味が染みていながらも、ぱりぽりしゃくしゃくとした食感が実に楽しい。胡瓜にパプリカ、タマネギの風味と食感の違いを存分に味わい飲み込むと、喉を通るときに微かな柑橘の香りがふわりと掠め、じんわりとした旨味が舌に残る。そしてまた肉が恋しくなった。
謎の反抗心、相手の策略に乗せられて堪るかと和人はパンに手を伸ばす。温かさが残るパンを手に取り千切ると、パリパリと音をたてて皮が裂け、白い肌が露になると共に香気をたっぷりと含んだ湯気が立ち上る。和人は自然と顔を綻ばせながら、皮を多めにひと千切り口に入れた。
焼きたてのみが持つパリサク食感の皮、湯気が逃げ切っていないから味わえる本当の意味のしっとり感、余計な物を使っていない小麦粉、酵母、水、塩のみの潔い味わい。その意味がメインを引き立たせる為だと和人でも解る。先程よりもずっと肉が恋しくなる。
―くそぅ!負けて堪るかぁっ!!―
和人、謎の悪足掻き。食べる手を止められない時点で負けているのだが、和人は肉ではなくスープにパンを浸した。しかしそれはトドメの一手だった。
スープは豆とほうれん草のポタージュ、和人の舌では解り切れないが、何かの豆のコクのある味わいにほうれん草の青く苦味のある爽やかさ。パリサクのパンと共にじゅわっと溢れだした味はそれだけでも満足できそうなのだが、和人は一片の物足りなさを感じた。それは脂の旨味。
―僕は何と戦っていたんだろう……―
無駄な抵抗を諦めた和人は、今度は肉にソースをたっぷりかけて頬張った。
すりおろされ生のまま入れられたタマネギの辛味と風味、微塵切りにされ鼈甲色になるまで丁寧に炒められたタマネギの深い甘味と香り、魚醤とアンチョビのクセの強い旨味と塩分が、サラダやピクルスにも感じたスパイシーな酸味によって生臭さを出すこと無く、完全にひとつにまとめあげられていた。そしてそのソースは肉の味とぶつかること無く、肉、魚、野菜の旨味が渾然一体となり、その味を更なる高みへと押し上げてゆく。
―あぁ……もうダメだ……―
完全に降伏した和人はあとはただひたすら食べるだけだった。
和人が丁度料理を一巡食べたところで、早々に肉をたいらげた歌鈴が勢い良く手を挙げようとした。
「すみません!おかわ……」
「どうぞ召し上がり下さい。」
歌鈴の言葉が終わる前に新しい肉が置かれた。
「え……?」
「こちらお下げ致します。」
歌鈴は一瞬メイドの背中を呆然と見送ったが、すぐに肉を切り始めた。それに気付いた和人が辺りを見ると、次々とおかわりを申し出ようとする者達の前に焼きたての肉が置かれてゆく。少し遅れて一枚食べ終えた和人の前にも新しい肉が置かれた。しかし、時を同じくして食べ終えた少食の理亜の前には、軽いフルーツとハーブティーが置かれた。そこで初めて和人はカリラがいないことに気付く。
―まさかカリラさん、僕達の食べる早さと量を予想してそれに合わせてお肉焼いてるの!?―
それはとんでもない技術と勘である。それに気付いた和人は、この最高の肉を更に最高の状態で食べてやろうと考えた。そして悪魔的な考えが舞い降りる。
「美空、マヨネーズくれる?」
「ほい。」
テーブルを滑って届いたマヨネーズを受けとると、和人は丸パンを真横に切り、上半分にマヨネーズ、下半分にポテトピュレを塗り、サラダ、たっぷりとソースを纏わせ切り分けた肉、そしてピクルスを挟み込んだ。
ステーキバーガーの完成である。
周囲の注目を一身に浴びながら、和人は完成したそれにかぶり付いた。
意識が途切れた
「あ……あれ?」
気が付くと和人の手には何も無かった。あまりの美味さに和人は無我夢中で食い尽くしていたのである。
『美空!!こっちにもマヨネーズ!!』
既に食事を終えた筈の理亜まで叫んでいた。
「美空よ、そのソースを私にもくれぬか?」
「はい!」
美空はまるでカードゲームのディーラーの様に、メアリーを始め全ての席にマヨネーズの小瓶を滑らせた。
「あの、メアリーさん。一応ですけどそれ火を通してない卵ですよ?」
「構わぬ、その程度で私がどうにかなるわけ無かろう。」
美空の忠告など知らぬように、メアリーはひと匙マヨネーズを嘗めた。
「ふむ、卵と酢と油、塩とスパイスを撹拌させ乳化させたソースか。カリラ、これを再現しその上で超えられるか?」
「かしこまりました。」
一瞬でマヨネーズを解析したメアリーは、いつの間にか傍らに控えていたカリラに小瓶を渡した。
カリラはその場でマヨネーズをひと匙嘗めると、一瞬驚きの表情を浮かべ再び和人達を見渡した。既に和人達は七つの大罪の一つである、暴食を犯す勢いで貪り食い始めている。カリラはもう一度肉を出すタイミングとその量を考え直した。
「この歳になっても、新しい発見があるものなのですね。」
「そうじゃの、いくつになっても異世界の文化には驚かされるわ。」
そう言って二人は楽しそうに微笑み合った。
≪次回予告≫
~♪(略)
肉、肉、肉………
まるでジブリアニメの食事風景の様に和人達の口の中へ消えて行く肉……
灰と化す美空……
努力などでは縮まらぬカリラとの実力差に、美空の叫びがこだまする。
「それでも百二十分に反則級じゃ無いですかぁぁぁぁぁぁっ!!!」
そして明らかになる歌鈴の意外な才能、こいつ、ただのダイソンでは無かった!!
「では歌鈴が食い終えたら私の工房に案内しよう、」
足を踏み入れたメアリーの工房の中、理亜の瞳に狂気が宿り、オタク共が騒ぎだし、ついでにあの事件の真相が明らかになり、クラリスの悲痛な叫びが響き渡る!
「あああぁぁぁっ!!やっぱりぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」
メアリーから突き付けられた挑戦状、真っ向から受け止める遥、おっぱいに全てを捧げた凪晴の思いが絡み合う!
【次回】エイレーン
「私の取って置きを見せたげるよ。」