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剣と魔法と特撮ヒーロー!!  作者: 鮭皮猫乃助
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壊れ気味錬金術師は、人生楽しく過ごしたい。

 和人達がゴブリン・ロードに襲われてから一週間後、真琴は新たに小隊を編成し、引き続き簡単な依頼をこなす指示を出した。

 経験を積むためとLv上げが目的だ。


「渡辺もそろそろ戦闘に参加しろ。」


 美空はこの国の料理Lvの底上げと、スキル:天才の持つ経験値2倍があるため、戦闘が免除されていた。

 しかし、さすがにそろそろLvを上げないといけない。


「yes!,ma'am.隊長殿!」


 美空がびしっと敬礼する。


「お前にとっては最初だからな。気心の知れた者が良いだろう。幾島の小隊と行動しろ。」


 いつものメンバーに、剣士:剣道部、岡部信治を加えた五人だ。


「遥ぁ~、宜しくお願いしますね~♪」

「うぇ~い、よろしく~。」


 美少女二人がキャッキャしていると、男子はどうしても、鼻の下がのびる。

 そんな二人の格好はこの世界で異質だった。

 遥は基本的な吟遊詩人の出で立ちに、あのマントを羽織り、吟遊詩人に一般的なリュートではなく、背中にギターを背負っている。まるでスナ○キンだ。


「遥、ギター何て弾けたっけ?」


 長い付き合いだが、和人は遥がギターを弾いているところを見たことが無い。


「練習したんよ。リュートっだとしっくりこなくて。」

「今まで歌唱使って無いのもそれが理由?」

「そんなとこ。支援必要な敵とも会わなかったしね。」


 特に言及する事でもないので、和人はそれで納得した。

 美空は着心地重視のシャツにホットパンツ、膝丈まであるロングブーツを履き、脛まである濃紺のノースリーブコートを羽織っている。


「んふふ~♪この日のために面白アイテムも作りましたからね、使うのが楽しみです!」

「でもあんた、この間ギルドにいたよね?」


 遥は一週間前、美空がギルドで紙束を見ていたのを思い出す。


「賞金首リストを見てました。人も魔物もバッチリです!憧れてたんですよね、賞金稼ぎ(バウンティハンター)。」


 美空は見た目に寄らずアグレッシブである。日本では出来ないアレやコレを満喫する気満々ようだ。


 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


 ギルドに到着し、掲示板から依頼を探す。

 皆のLvが6~8に対し、美空はLv1のままだ。それを考慮しつつ選んでいると、


「これにしましょう!」


 美空が選んだのは、グレイハウンド20匹の討伐だ。

 俊敏で獰猛、群れで行動しそこそこ賢い。皆でサポートすればいけなくもないが、Lv1には荷が勝ちすぎている。


「おい美空、獣とはいえ魔物だぞ?舐めてると痛い目に合うぜ?」


 慎太郎が注意するが、


「問題ありません!もしかすると、あなた達より私の方が多く仕留めるかもしれませんよ?」


 美空はウインクしながら前衛組を指差す。

 慎太郎と信治は少しムッとした表情になり、信治が美空に勝負を持ちかける。


「面白ぇ、なら俺が勝ったら俯せで膝枕させて貰うぞ!!」


 あまりにも直球な欲望に遥がドン引く。

 男二人はむしろ感心した。


「その欲望に忠実な姿勢、嫌いじゃないですよ?好きでもないですが。なら私が勝ったら、後で私の手伝いをして貰います。」


 気軽に要求を飲む美空に遥が詰め寄る。


「ちょっと美空!グレイハウンドって結構強いんだよ!?」

「大丈夫ですよ。もし負けても減るものでは無いですからね。では、行きましょう♪」


 負ける気がしないのか、深く考えていないのかは解らないが、一行はギルドを後にした。


 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


 王都から少し離れたグレイハウンドの生息地に近づくと、早速5匹のグレイハウンドが唸りを上げて現れた。


「支援頼む!行くぞ信治!」

「おう!膝枕が俺達を待ってる!!」

「頼む!巻き込むな!!」


 前衛二人が軽い漫才と共に駆け出した!


「スキル:歌唱!ゆぅけぇぇぇ風の如くぅぅぅぅッ!」


 それに合わせて遥がギターを掻き鳴らし、歌い始めた!


「まさかの特ソン!?だからギターなの!?」


 そう、遥の熱い情熱(パッション)を歌い上げるには、優しいリュートの音色では足りなかったのだ。

 和人が突っ込むが、効果はちゃんとある。皆の気力と敏捷が上がった!

 そこで今までゆったりと構えていた美空が動いた。

 腰を落とし、コートの裾を払い上げると、その下に隠されていた腰から両腿まで伸びたホルスターから二挺の銃を抜き放った!


「踊るぜ、ジルバだ!」


 どこぞの二挺拳銃(トゥーハンド)の様に、美空が不敵な笑みを浮かべる。

 その手に握られたリボルバーでもオートマでもないその銃を見たオタ二人が目を輝かせた!


「「バ○オ○ード!!」」


 美空の手に握られていたのは、超○子バイ○マンの武器だった。その銃から連続して放たれた赤い光が、瞬く間に4匹のグレイハウンドの命を撃ち抜いた!

 一匹倒した前衛が呆然としている。

 しかし、遥の歌声に呼ばれたのか、かなりの数のグレイハウンドが集まってきた。

 相手は俊敏なだけに、遥にはこのまま歌って貰いたい。和人と美空が遥を守りつつ、前衛をサポートする。

 しかし、その攻撃を掻い潜り、二匹のグレイハウンドが後衛組に飛び掛かってきた!

 美空は慌てる様子もなく、軽く手首を振る。銃身から赤い光の刀身が伸び、ソードモードに切り替えると、華麗にその二匹を切り裂いた!


「「―――ッ!それ欲しい!!!」」


 美空の銃はオタ二人の心も撃ち抜いた!


 ―小僧…この間見せた蹴りへの拘りはどうした?…―


 和人の心にスルトの突っ込みが響く。


 ―それとこれとは別だよ!―


 そこからしばらく、美空は右手を剣、左手を銃で戦っていたが、乱戦に縺れ込んだ時、二人の特オタが見たことの無い機能を追加した!

 そう、ソードモードのグリップを合体させ、ツインソードモードにしたのだ!


「「ふあぁあぁぁぁぁぁぁッ!?」」


 特オタ二人はもう涙目だ!!

 そして美空は、群れの中へ身を踊らせると、まるで【L】の名を賜りし軍人の様に、華麗にグレイハウンドを切り伏せていった。

 終わって見れば、美空37匹、前衛16匹と美空の圧勝。


「んふふ~♪私の勝ちですね~。」


 美空がホルスターに銃を収めながら勝ち誇る。


「ずりぃよ!銃なんて反則じゃねえか!!」


 納得しきれない信治が食い下がるも、


「彼を知り己を知れば百戦して危うからず。私の得物を知りもせず、勝負を持ち掛けた時点で勝敗は決まってたんですよ。それにコレ、銃ではなく、魔力回路です。使っているのは間違いなく魔法ですよ?魔法を圧縮して高速で放つプログラムと、剣の形で固定するプログラムがされているんです。簡単に言うと、イメージを固定化させる道具ですね。」


 試しに慎太郎が使ってみると、確かに光魔法の白い光が出た。それを見た信治が、完全に敗北を認める。


「では約束のお手伝いです。信治君、グレイハウンドを捌いて下さい。」


 皆が首を傾げる。魔物の部位は素材になるため、解体はいつもしている。


「やっぱり異世界といえば魔物食ですよね。」


 涎を垂らしながら美空が呟いた言葉に、皆が凍りついた。マンガやラノベではよくあるが、今自分達が居る世界ではほぼ聞いたことが無い。


「まさかあんた…グレイハウンド選んだ理由って…」


 遥が震える声で訪ねる。


「食べられそうだからですよ?」


 美空が、何を今さらみたいな顔をする 。


「大丈夫ですよ。王城の図書室で本を読み漁ってたら、鑑定スキル付きましたから。食用の可不可は解ります。美味しいかどうかは解りませんけどね。」


 美空のお手伝いとは、信治にグレイハウンドの味見をさせることだ。可愛い顔してやることがエグい。


「頼む!土下座でも何でも…」


 信治が謝罪しようとするが、美空はその言葉を断ち切る。


「何ならあ~んしてあげますよ?」

「喜んで食おう!!!」


 信治の解体する手に力が入った。

 信治は美空に惚れていた。その女のあ~んなら、例え毒でも信治は口にするだろう。


「楽しんでるなぁ…」


 遥はその様子を生暖かい目で見ていた。

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