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前世の記憶 はじまりの絵本

 

 昔、昔のお話。

 神々は美しい世界を作ろうと『ニレディアン国』をお創りになりました。

 自然豊かな大地、豊富な恵みの海。深い森に荘厳な山々。色とりどりの花が咲き乱れ、神の住まう世界と似た国ができあがりました。

 次にそこへ住まう小さき生き物や、大きな生き物を創り出すと、最後に神々の下部となってこの国を管理する人間をお創りになりました。


 人々は神に感謝の祈りを捧げ、勤勉に幸せに暮らしていました。


 しかし、100年、200年と時が経つにつれ、怠けたり、盗んだりといった悪事を働く者がでてきました。

神は神罰をあたえたり、神に仕える神官を通して警告を発したりしていましたが、一向に後を絶ちません。悪事が蔓延ると、正直に生きている人々にも影響を与えます。信仰が弱まり、享楽の世界へと堕落してしまうからです。人々の信仰が弱まると神力も弱まってしまうため、困った神々がさらなる対策を相談していると、闇を司る神エレーダが声をあげました。

曰く、悪事を働く前に悪の感情を無くしてはどうかと。


 なるほど、いくら正しく生きよと説き、戒律を厳しくしても、うっかり魔が差すことや、間違えてしまう事があります。前もって防げるならそれに越したことはありません。


 それは良い考えだと神々は早速『怒り』『憎しみ』『不満』『嫉妬』など、悪の感情を抱いた人間が悪事に移す前に、エレーダが創り出した悪の石に悪の感情を集め、閉じ込めることにしました。


 悪の石は見る間に悪の感情で黒く染まり、一見成功したかに見えました。

 しかしそこでエレーダが悪の石から力を得て、神々を裏切り、神界を支配下に置こうとしました。


 農民は大地の神を崇め、漁民は海の神を崇め、騎士は戦いの神を崇めといった感じで、様々な神が崇められてきましたが、闇の神を崇める者が居なかったのです。


 そのことに鬱積を抱いていた闇を司る神エレーダが、己を崇めさせるために、悪の感情を利用しようとしたのでした。

 元々強大な力を持つ神であっただけに、神界における神々の争は熾烈を極めました。しかし人々の祈りの力もあって、一人きりのエレーダはやがて劣勢となり、悪の石を持って神界から逃げました。


 それから1000年後、悪の感情が極限まで溜まった石の力により、再びエレーダが反旗を翻しました。

 エレーダはニレディアン国の山奥で静かに力を蓄え、彼を悪の神「魔王」と崇める一派まで人間界に蔓延らせていたのです。


 魔王となったエレーダはまず、人間界を手中に収めんと侵略を開始しました。

 その圧倒的な力に、善良な人々は為す術もありません。

神々もエレーダを倒そうとしましたが、神界と違い神力が全て出せないため、敗れてしまいました。

 

ついにニレディアンは魔王エレーダとそれを崇める魔族となった人間が謳歌する、暗黒の世界となったのです。


神々が再びその力を取り戻し、勇者と共に魔王を討ち果たしたのは、それから100年あまりも先の事でした。


 それ以降、500年~1000年毎に悪の力を極めたエレーダは復活し、この世の覇者になろうとニレディアン国を業火の炎で焼き尽くさんとするのですーーーー




 パタンと絵本を閉じる音が響く。

「さて諸君」

 王国騎士団の総師、大公殿下が王宮広間に居並ぶ一千あまりの騎士を見渡す。


「この絵本は洗礼式の時、かならず覚えさせられる本だ。この内容が理解できていない国民は、赤子を除いておらん。では重騎士師団長、魔王を討ち果たす方法は」


「はっ、神に選ばれし魔力の高い人間と神の化身が融合し、勇者と呼ばれる存在となり、神の剣にて討ち果たします」


「そうだ。勇者とは魔力の高い、神の器になれる人間だ。そして神殿にまつられし勇者の剣が扱える者だ。しかし最後の魔王復活であった50年前から、魔力の高い人間は産まれなくなった。理由を申せ竜兵師団長」


「はっ魔王との戦いで神々が深く傷つき、神力を回復中の為、人間に加護を与えられないと言われております。それ故より一層祈りを欠かさず、神に強い神力が戻るよう努力すべきと」


「その通り。エレーダは神故、倒しても復活する。人間に悪の心が芽生えるかぎり。その為正しく生きねばならぬ。神に祈りを捧げねばならぬ。しかしこの50年、我々は戦争ばかりだ。ニレディアン国は今や30の国と地域に分裂し、今だ各地で戦闘中だ。その結果を皆の者、心して聞くが良い!魔王が復活した!」


 騎士達のどよめきで王宮が揺れた。


「30の国に分かれても、それは人間の都合。ここがニレディアン国の王都として、神の神殿がある事には変わりは無い。陛下は今日、皇太子様へ譲位なされる。そして明日、先代王であり最高神祇官ダレイオ様と共にこの大陸に住む全民に告知する。魔王を倒す為に今一度神殿にて祈れと」


 ここで大公殿下が騎士達をゆっくりと見回す。


「譲位する意味はわかるな、魔法師団長」


「はっ、神祇官ダイレオ様と陛下の魔力を合わせ、全民へ意志を伝える『舞華の儀』をなさるおつもりかと……」


「そうだ。分裂、戦争の歴史はもはや半世紀。神殿もなく祈るのをやめた者たちもいる。すべてのものに神託を伝えるため、触れた者に意志を伝える花を空から降らせる。初めて魔王が出現し、勇者を求めるため神が神官を通さず生き残った者たちへ行った伝説の神技だ。お二人の生命力すべてを使って行われる。すべては神が創られし二レディアンに住む民の為、神の御心に報いるためだ。また同時に勇者一行が神託によって選ばれたとも宣言する。絶望で殺戮や略奪など、これ以上魔王に力を与える訳にはいかぬのだ」


 たった50年で魔王が復活するなんて、誰が予測したであろう。人間は高をくくってきたのだ。今戦争をしてもすぐに復活する事は無いと。魔王との戦いで荒野となった大地に生きるため、私利私欲で争ってきた。生きるために必要悪だと、見ぬふりをしてきたのだ。王国騎士団も専守防衛を掲げ、民を守るために戦っていると、本質から目を背けてきた。全てのツケが生きている間に回ってくるとは知らず。


「魔力の高い騎士、技量に優れた騎士は申し出よ。神殿に悪の石と対極にある神の石がある。祈りの力を集める石だ。その石を削り、欠片を飲み込むのだ。神力に融和性のあるものなら魔力が上がる。一昨日、魔王復活の神託が下った時点で、王族15名が試した。神の器は厳しく、まだ公にはしていないが、王妃以下12名が亡くなった。生き残ったのは皇太子殿下、皇太子殿下のご子息キリー王子、ジルノミア王女のみ。我は王族が全滅したときに、この国を最後まで動かす為に飲まなかった。殿下が生き残られた故、先陣を切って民のため、神の御心のままにこの命を捧ぐ。勇者一行以外の騎士団は我に続け、露払いとなって、魔王の潜むナラカの森で命を散らすのだ。魔族を一人でも多く倒し、勇者が魔王にたどり着けるように。臆病者は今すぐ去れ、止めはしない。己の村に戻り震えながら祈れ。勇者一行が敗れれば魔王にこの世は滅ぼされる。神に神力が戻るのは、絵本の通りなら早くて50年先だ。命が潰える場所が変わるだけだ」


「恐れながら総帥」


「発言を許す 近衛師団長」


「ありがたき幸せ。キリー殿下は勇者の力を得たということでしょうか」


「いや、神力との適合性があっても魔力が上がるとは限らぬ。王女は魔力はわずかばかりの上昇で、かろうじて生き残っている状態でしかない。キリー王子は魔力はあがったが、勇者の剣は抜けなかった。それでも我々の10倍は魔力がある故、勇者一行として魔王討伐に向かってもらう」


 ーーーニレディアン世紀5050年 冬 

 

 魔王復活ス










前世話 1話で終わらなかったorz

詰め込みすぎてダイジェストみたいですが前世なので現世の行動に繋がる背景が匂えばいいなーレベルですので(^0^;)


ちなみに国軍組織ですが

総帥の下に 近衛師団・重騎士師団・竜兵師団・魔法師団があり

それぞれの師団に分隊が2,3つきます。

近衛、陸、空、魔法軍です。竜騎士=中世の重騎士ではなく文字通り竜に騎乗する空軍設定

海軍が漢字で表すにはどうしても思いつかなくて。いいのないですかねー。

魔魚兵とか海神兵とか変だしw

魔法兵団は基本50歳以上の人間しかいないので高齢化に悩んでいます。このままだと消える運命。

竜に騎乗できる騎士も魔力がわずかばかり高いだけでも貴重なので少数。

現在魔石を動力に機械化を研究中。くるか産業革命

また国王が普通軍のトップにつきますが、

50年前の戦後処理で内戦続きで国が分裂したので、神に祈るのを優先して国王が長男に譲位して、次男を国軍トップを任命。自身は神官トップにというどうでもいい設定が原因です。

まあ色んな基礎史実おりまぜのオリジナル設定なので深くつっこんでは負けです兄さん。



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