プロローグ
短編の連載版です ジャンルがこれでいいのか謎(@_@)
『追え! 逃がすな!』
男達の怒鳴り声が迫る。
『チッ 見つかった』
『走れ』
ザンッと草を薙ぎ払いながら駆け抜ける
『二手に分かれよう 俺がひきつけている間にユリ様をお連れして逃げろ』
『はん カッコつけやがって 俺が一捻りしてやるぜ』
『キリー!』
『はいはい睨むなよ 仕方ない お嬢は任せろ』
ーーーはぁっはぁっはぁ
『撒けたようね』
建物の陰で二人は腰を下す。
胸元のペンダントを固く握りしめ神に祈る
『どうか無事でいて………』
荒い息を吐きながら月を見上げる
雲一つない夜空に浮かぶ赤い月
……この月の模様は見たことがある
女神の冠と呼ばれなにより二つある。地球ではない証
その刹那大きな爆発音と閃光があたりを包む
『マドーニ!』
この瞬間私はすべてを思い出した
『絶望のセレナーデ マドーニの運命は!スーパーアクションタイム!ネクストウィーク!』
ーーーテレビ番組を見て
えええええ なになになにぃぃぃ
あれってあれって前世の私よね そうよね そうよね キリーにマドーニよね!
n番煎じの異世界転生、テンプレ乙って異世界からこっちに転生したってこと???
ない、ない、ないと信じたい!
あーでもくっきりはっきり思い出しちゃった。
魔法のあったファンタジーな世界 月が二つあったメーテノアノ。
中世な街並み 住まう人々 自然の恵みあふれる大地 豊かな海。
そして魔王に侵略されて立ち向かった騎士。
なんで、なんで、なんで!
100歩譲って異世界転生を認めよう、前世覚えている系痛い子ちゃんでもこの際いい。
なんでその記憶の世界が子供番組として放送されてんのよ!
流れる銀髪 意志の強さを表したかのような鋭いブルーの瞳 鍛え上げた鋼の肉体 キリー第三王子
ふんわりとした金髪、王子を支え控えめながらここぞというときは引かない頑なな騎士 思慮深いグレーの瞳に優しさを隠した寡黙なマドーニ
そして真っ赤な髪と同じく燃えるような正義の光を纏いし姫騎士 ユリ
三人が神託により選ばれた騎士として、暗黒帝国へ魔王を打倒しに繰り広げる大冒険ファンタジーアクション
そうか、そうだね、すんごいまんまだね。wikiを読み漁って深いため息 今どきの戦隊は5人じゃないのかとか疑問は尽きないが置いておく。
「何々、原作は人気女流作家の吉原愛花。主役のキリー(本名 桐太20歳)とマドーニ(本名 円22歳)は実の息子。兄弟は物心がついた時から前世の記憶があると話し、二人はユリ姫に会いたくて存在を知らせるため芸能界入り。デビュー5年たつが一向にユリは現れず、今回前世の舞台を映像化することにより記憶が覚醒していないのなら目覚めてほしいと最後の望みをかけている」
ぐはーとそのまま後ろへ倒れこむ。
無理だ……絶望的だ……
日本人のくせして前世まんまの美形男子に対して私はアラサー30歳。おまけにチビデブ今日から無職。
お、終わってる。某男装の麗人のようだったユリと正反対。名乗り出られるわけないじゃん。
どうすりゃいいのー!!!
これでいいのか試行錯誤 ご容赦下さい 短編はややこしいから削除予定