多才(笑)
~貴様、何者だ…!?~
麦「(…うわ……っ?また、筑摩から変なURL送られてきてるよ…?gametsukurou?ゲーム作ろう、ってことか?)」
二日後。
筑「むーぎさん。ゲーム、やってみました?」
麦「…あぁ」
筑「どうでした?」
麦「はい/いいえの二択で話が分岐するシミュレーションゲームをチョイスしたのは高評価だ。小説を書く者としてストーリーで勝負できるからな。タイトルは“ハイドランナー"。ストーリーは親友の恋愛を影ながら見守り、実らせるという学園恋愛モノだが、ひと味違う内容が一層に面白かった。親友の顔を立てたり、ヒロインの気持ちを伝えたりとする中間・中立視点で展開される物語が斬新かつ予想できなくていい。逆に、中立であるがための余裕からか色々な妄想が出来て、なお面白い。分岐やヒロインの数も丁度良く、絶妙なバランスだった。タイトル通り、影ながらあっちこっちで頑張る主人公に感情移入できてよかった」
筑「…まさか、全キャラ、全分岐。俗に言う、全クリしたんすか?」
麦「はっきり言おう。最高傑作だ」
筑「ありがたき幸せ(笑)」
◇◇◇◇◇
~ある意味尊敬~
麦「ホント、天才だな…めっちゃいい作品だけど、筑摩が作ったってなるとなぁ……ジェラシーかな…??」
筑「素直に面白いって言ってくださいよ(笑)」
麦「いや、だってさ……。なんだろう、この友人を、純粋にスゴいと認められない気持ち…」
筑「作んの楽しかったですよ。時間は掛かりましたが」
麦「何なんだろ…?」
筑「(これは精神不安定期か?)」
麦「俺、実は凄い奴を目の前にしてるのかな?」
筑「(あ、これ、不安定じゃなくて自分を見失い期だ)」
麦「お前、天才だな」
筑「素で言われると照れる(笑)」
◇◇◇◇◇
~嘘……だろ…?~
麦「お前の書く恋愛モノ。主人公視点、ヒロイン視点、第三者視点のどれも面白いけど本当に恋愛経験値低いのか?信じられないんだけど」
筑「まぁ、そんなにないですね」
麦「何歳の時、何回付き合ったことある?」
筑「…幼稚園の時、七回……」
麦「…それだけ?」
筑「…はい」
麦「もう。おれ。何も言えねぇ」
筑「それが今の人格形成に繋がってるんすよ」
麦「…なおさらお前のこと認めたくなくなったわ」




