第15話 椅子の想い出
女1「あ、やっと……見つけた。」
少し、息を荒くしながら言った
彼が目の前にやって来た。
男1「こっちだよ」
きっと雨が降っているんだ。
私はそう感じた。
男1「どうしたの、ほら行くよ」
女1「ごめん、ちょっと安心してね」
女1「まぁ、人が多いから見つけられなくてさぁ……」
女1「このまま見つけられなかったらどうしようかと思ってたよ。」
男1「でももう大丈夫だよ」
ここは、暖かい。
何が起きているのかは分かった。
男1「とりあえず、人も多いから早く行こう」
女1「うん」
夢……か
男1「それにしても、人随分と多いね」
男1「予報が晴れだったから、混むとは思ってたけど思っていたよりも混んでる」
女1「だね」
そういえば、確かに人が多かった。
思い返せば色々巡って食べてきた数々の名物はとても美味しかったな〜。
男2「おーい、もう集合してるぞ~」
男1「え、早くない!?」
女1「まさかの遅刻!?」
長いと思っていた距離も、案外早く着いたんだっけ。
けれど、案外時間も立っていたのか、その時は状況を見て結構焦った。
道に迷ってしまったこともあるけど、それでも時間には余裕があったはずだったのに。
先生「おーい、全員集まってるか?」
女1「うぇっ……」
男1「あの先生か……」
男1「あの先生、気が早いから仕方ない」
確か担当の先生が急遽変更になったんだっけ。
慣れないことをする時によく発症するあの「腹痛ティーチャー」の駆け込みラッシュにより、「気早いし先生」が代わりの担当になったんだよね。
先生「お前ら遅いぞ!1時間早く来い!」
いや、無理だって。
正気か……。
女1「無茶だって……そんなの……」
気早し先生「何か言ったか?」
女1「何でもないでーす」
気早し先生「ごちゃごちゃ話してないでさっさと並べ」
男1「最初は台の上で偉そうにしてるだけとか思うかもしれないけど、まぁ仕方ないよ」
男1「ちゃんとしてればあんな感じじゃないしさ」
女1「何かありがとう」
男1「それじゃあ、またね」
女1「うん、またね」
女教師「……」
生徒2「そういえばあの先生さっきからチラチラ古黒先生のこと見てない?」
女1「あんな先生いたっけ」
生徒1「こっちも大丈夫です」
気早し先生「よし、全員集まったな」
1人の駆け込みティーチャーを除いて
気早し先生「古黒先生から話があるそうだ」
気早し先生「それではお願いします」
生徒2「来た来た」
気早し先生「そこ!」
生徒2「は〜い」
あの先生妙に怖かったんだよね……
古黒先生「皆さんもう集まってるって?」
古黒先生「お〜早うございますねぇ」
古黒先生「そんな皆様おはようございます」
皆「……」
生徒3「夏の様〜消え行く風の 滑り台」
生徒3「悲しみの一句」
気早し先生「そこ!」
生徒2「は〜い」
気早し先生「……」
女1「え、そっち?」
いちいち声が大きいんだもん
古黒先生「今日はとても良い天気ですので、てんき良く過ごしましょう」
何か暑苦しいというか何というか……
生徒3「晴れてても みんなの心 曇り空」
生徒1「そこ!」
先生2「は〜い」
男2「何だこの茶番は、笑いでお腹いてぇ」
女1「あれ、気早いし先生は?」
生徒2「あー、気早し先生は駆け込み中」
古黒先生「皆さんご存知こくろの教科を担当する古黒と申します」
そもそも1時間前って早過ぎやしない?
ボソッ
「いや、初めて聞いたし氷点下並み」
古黒先生「今……氷点下並みって言いましたよね……」
女1「あれ、まさかきれた?」
古黒先生「うひょ〜天下並み!私とても嬉しいでございます」
早く来て迷子にはなったけどそれでも30分前に着いた訳だしいくらなんでもねぇ
女1「はぁ……」
男2「腹いてぇ……ちょっとトイレ」
生徒2「なら私も行こー」
生徒3「天と地で 腹壊す皆 我も行く」
男1「これが噂の授業風景か」
あの先生まさか1時間前から居たとか……
ってあれ、氷点下話終わってた
古黒先生「……ですので間違えないよう気を付けて下さいね」
女1「というか結局何の時間だったのこれ?」
女1「最後まで聞く気になれなかった」
男1「だから他のクラスの国語の宿題忘れが多発するのか」
生徒4「椅子取りゲームやるんだとさ」
女1「え、伝えたかったのそれ!?」
ボソッ
生徒5「くだらな」
次回予告
古黒先生の親父ギャグによる謎な言動。
この後に待ち受ける椅子取りゲームに何があるのだろうか。
????「それがあなたの定め」
全てが壊れる序章だったのかもしれない
第16話 椅子取りゲーム