第1話 最初の恐怖
1人の男が行方不明になった。
その男はとある噂のとある館に住んでいた。
しかしその男の友人は音信不通となって不思議に思い、家を訪ねたが、鍵は開いていたものの、その男はどこにもいなかったと言う。
さらに数日後その友人も行方不明になった。
ところが最初の男の方は匿名の通報により、近くの洞窟で2人組の男に運ばれている所を警察官が見つけ、その男は殺害されていた事が分かった。しかし友人の方は手がかり1つない。
友人の方は、その館の噂が何か関係しているのだろうか?
そして、その友人は男についての証言をした時、少し様子がおかしかったそうだ。
これも1つの噂、飛び交う情報は曖昧なもので、行き違いも激しいもの。真実を知っているのは本人だけなのだろう。
2人の男性と1人の女性が山道を歩いている
男2「まだなのか~?」
男1「もうすぐで着くはず」
ハキハキと歩く男達の後ろを下向きに歩く女性。
男1「大丈夫か?」
女1「ありがとう、大丈夫よ」
みんなの表情には疲れが見え始めていた。
その表れとして、段々と会話が続かなくなっていた。
男2「あそこか?」
遠くの方で薄っすらと光が見え始めた。
男1「あれがそうだよ」
女1「今日はぐっすりと眠れそうね」
男2「いや~にしても久しぶりに登ったから疲れたわ」
女1「私も」
次第にみんなに笑顔が戻ってくる。
男1「いつも何かしらトラブル起きるけど今回は大丈夫そうだね」
珍しく何事もなく登山の終わりを迎えていようとしていることに、驚きつつも特には気にしていなかった。
男2「前に登った時なんか他の登山客に人違いされて顔引っ叩かれてたもんな」
男1「あれは本当痛かったよ」
男1「見知らぬ女子と歩いてたからって話らしいけど、いくらなんでもね……」
登山あるあるの勘違い浮気被害である。
女1「似てるからって叩く前によく顔を見てからするべきよね」
うん。
男1「まぁ、世界には同じ顔の人が3人いるっていうしさ、それほど似てたんじゃないかな」
男2「あの後の謝り具合も面白かった」
軽く酸欠だったらしい。
女1「他人事みたいに小馬鹿にしながら言ってるけど、登る前からトラブル連発してたの誰だっけ?」
男2「え、あ、何のことだろう……」
初手のトラブルメーカーだ。
初手ということであって、登ってしまうと忘れて棚に上げ、他人の失敗を笑ってくるタイプ。
男2「あ、ほらもう着いた」
女1「話そらして……」
男1「やっと着いたね」
古びた旅館だ。
3人は入口の引き戸を開け中に入る
男2「ここで合っているのか?」
女1「それにしても、結構古く見えるね」
男1「思っていた所と違うけど」
男1「でも地図だと……ここなんだよね」
男2「そうだよね」
???「いらっしゃい」
女「!」
男1「!」
男2「!」
男1「今、声が聞こえなかった?」
突然、姿は見えないが声が聞こえた。
しかし、近くから聞こえたはずだが明らかに姿が見えなかったのだ。
男2「そうだよね……」
女「で、でも……誰もいないよ」
男1「やっぱりここやめよう、間違えたかも知れない」
男2「そうだね……」
女「早く出よう」
戸を開き、外を見る
男2「あれ?道が……1つしかないよ」
来た道が消えていた
下りの道しか残っていなかった
女「え?どうして?」
男1「これはまずい状況だね……」
嫌な予感しかしなかった
???「何がまずいのですか?」
その声と同時に不気味な姿の老人が立っていることに気付いた
3人の見る限り、その姿はとても生きているようには思えなかった
女「ゆ、幽霊!?」
男2「早く逃げよう!」
ガシャン!
突然扉が閉まった
男1「ど、どうしよう……」
いきなり三人は体を動かせず金縛り状態になってしまった
男2「う……うぅ………」
気を失ったように倒れこんだ
女「た……す……け…て…」
力の出る限り、叫ぼうとしているも、上手く声が出せない
???「ふふふ……もう逃げられませんよ……」
不気味な声でそう言い、笑いながらこちらに近付いてくる
次回予告
謎の正体と3人の運命は果たしてどうなるのか?
第1章第2話 噂の部屋