表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/20

入寮&入学式



領地から出発して翌日には王都に到着した。

魔動車のおかげで疲れ知らずの私は、魔法学園の敷地内を窓から見渡す。


門を潜れば、沢山の花壇にベンチ、女神像の噴水がキラキラと輝く広場があった。

憩いの場に相応しく緑豊かな広場には、何人かの生徒達が思い思いに過ごしている。


広場の奥に、赤煉瓦で建てられた四階建ての大きな校舎があり、寮は広場の左右を挟むように男女の寮が別れている。

校舎の裏には大きな闘技場もあるらしい。


全寮制で貴族が住む為、寮にもかなりお金が掛けられているみたいだ。

確か伯爵以上が個室で、それ以下は二人部屋だったかな。


うちが伯爵で良かったと心底思っていると、いつの間にか寮の前で魔動車が止まった。

この魔道車は、王都にある屋敷に置かれるので、直ぐに学園から離れていく。


早速、侍女のメアリを伴って寮に入っていけば、入ってすぐ右側の部屋から三十代くらいの理知的な女性が出てきた。


「ようこそいらっしゃいました。私、女子寮の管理人のスザンヌと申します。お名前を伺っても?」


「アンジェリーナ・ヴィッセルと申します。これからお世話になりますが、宜しくお願い致します」


優しく微笑む寮の管理人に名乗れば、スザンヌは微笑んだまま頷いた。


そして、鍵と書類を渡された後、簡単に寮内の説明をしながら、二階にある個室の部屋に案内される。


一階と四階が二人部屋で、二階と三階が個室になっているらしい。


各部屋にはシャワーやトイレ、キッチンが設置されている。

一階にある食堂でも食事が出来るようだ。


案内してくれたスザンヌと別れて、部屋に入れば結構な広さがあった。

入って右側の扉を開ければ、使用人用の部屋がある。


兄が用意した物は既に綺麗に整えられていて、何不自由なく過ごせる空間になっている。


「思ったより広いんだね。家具もセンスが良いし」


「そうでございますね。カイン様が張り切って家具やドレス等選んでいらっしゃいましたから」


ポツリと呟いた言葉を拾い、メアリがニコやかに答えた。


「たった数年しか過ごさないのに張り切り過ぎだよ」


その兄の様子が容易に思い浮かんで、思わず苦笑してしまう。


「カイン様はアンジェリーナ様を溺愛してますから」


ふふふ、とメアリは楽しそうに笑った。

溺愛、全てはその一言で納得出来てしまうのが何とも面映ゆい。



私は必要書類を全て記入し、入学案内の書類に目を通す。

その間にメアリが作った御飯を食べて早めに休む事にした。




*******




新入生が講堂に集まり、入学式が始まった。皆、真新しい制服を着て緊張した面持ちをしている。


女性は白のブレザーに赤いリボン、膝上の赤いチェック柄のプリーツスカート。

男性は白のブレザーに青いネクタイ、そして青いチェック柄のズボン。


何だか王制ファンタジー世界では、物凄く違和感がある気がするけれど、深く考えるのは止めよう。うん。



私は特に緊張する事もなく、暇なので授業について考え始めた。


午前中は通常のクラスで魔法の勉強。午後から専攻する学科で授業を受けるようになっている。


確か入学式の後、魔力量や魔力制御の試験があり、その結果でクラスが決まると入学案内に書いてあった。

ただ専攻は好きに選べるようになっているらしい。



攻撃魔法や剣術、武術、強化魔法での戦闘を得意とする魔術騎士学科。

主に男性が多いけれど、女性も意外と居るみたい。


全属性魔法、空間魔術、結界魔術を得意とする魔術士学科。

こちらは男女半々位かな。


治癒魔術、医術、魔法薬学を得意とする治癒学科。

うん。女性に人気ね。後は草食男子。


錬金術や、付与魔法、魔法陣作成を得意とする魔道具学科。

こちらには主にオタク気質が揃います。



そんな感じで。

とりあえず、魔道具作りは得意だし、魔法陣に必要な魔法文字は漢字なので勉強する必要性なし。


あ、この世界の言語は日本語だけど、普段の文字は何故かローマ字で、魔法文字が漢字、と摩訶不思議なんです。


治癒学科は……小さい頃から森で実戦してたので、怪我しては自分で治癒して、を何度も繰り返し。師匠は見てるだけでした。

そのお蔭で、心臓さえ動いているなら治せる自信があります。多分。


後は魔術士学科と、魔術騎士学科。

どちらも捨て難い。両方は無理なんですかね。

後で先生に訊いてみよう。そうしよう。



そんなこんなで、いつの間にか学園騎士団の自己紹介が始まっていた。

学園騎士団は全部で六人。


あれ? ああ、忘れてました。


学園騎士団は六人中三人が攻略対象者です。

後の二人は新入生と、教師だったかな。

どうやら、ヒロインも新入生みたいですね。


時期が思いっきり被ってるようで。

乙女ゲームのせいか、例年より新入生が多いみたい。



とりあえず簡単に乙女ゲームの内容を。覚えてる限りですが。


攻略対象者は五人。第二王子に上級貴族の子息達と、身分を隠している王弟の教師。

対象者達は皆、女性不信だったり、女嫌いで、逆ハールートは有り得ない仕様です。

逆ハーは 嫌いなので、そこは安心ですね。


そしてヒロイン。

明るく元気な美少女男爵令嬢。治癒特化で膨大な魔力量はテンプレ。


確か入学式の前に、攻略対象者の誰かと出会い、そこからゆっくりと恋が始まるとか何とか。


という事は、既に攻略対象者の一人と出会ってるようで。相手は誰でしょうね。


まあ、本音はどうでもいいけど。私に面倒がかからなければね。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ