表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/20

私の真剣な想い



王都で最近話題になってる事を、昨日メアリが調べてくれてたんだけど。


ある高位貴族が反逆行為を行って、それに賛同していた者達も一斉に粛清されたらしい。


これって、もしかしてアル達がやってた事だよね?


何か知らないうちに話が大きくなってるような。

元々はアルに娘を嫁がせたい貴族が、邪魔なマリアを抹殺してやる、みたいな話だったよね。


何でいきなり国家反逆罪?


メアリに詳しく訊いてみたら、王太子を暗殺しようと何度も暗殺者を送り込んだり、自分の娘を嫁がせて、アルを王にしようと阿呆な事企んでたとか。


もしそれが本当なら、アルにとっては迷惑な話だよね。

まあ、本当の所は訊かないとわからないけど、メアリと影が調べた事だから概ね間違いはないだろうね。


とりあえず問題がなくなったなら、それで充分だけど。



という事で。一ヶ月振りに庭にやって来ました。

ちょっとドキドキしてます。


でも、私もマリアも想いを伝えるって決めてたけど、二人きりになれなきゃ無理なんですが。

公開告白なんて無理だから。どんな羞恥プレイですか。


庭には、アルとレイエスが既に居たけれど、エイデンの姿が見えない。


「マリアにアンジー。久しぶりだね。元気そうで良かったよ」


アルが爽やかに挨拶して、私達もそれに応える。マリアは不満も零してるが。


「本当に久しぶり。全然元気じゃなかったよ。それより、エイデンはどうしたの?」


マリアが不思議そうに訊けば、アルは愉快気に笑った。


「エイデンは、婚約者と過ごしているよ」


「え? エイデンって婚約者居たの? 知らなかった」


アルの言葉に吃驚して、つい大声が出てしまった。

マリアはどうやら知っていたみたいだけど。乙女ゲームの設定か。


でも、全くそんな素振りはなかったよね。いつも眠そうにここに居たよね。


「一応、二年前に婚約はしてたよ。けど、エイデンが女嫌いだからね。でも最近は打ち解けてきたようで、今日からはもうここには来ないよ」


多分ね、と愉しそうに付け足すアル。


婚約者と上手くいき始めた所なのか。


もしかして、アルとマリアの恋が実るから、他の攻略対象者の恋も進むようになった。って事かな。


そう考えるとちょっと恐いよね。何だか全て決められてるみたいで。

ま、もし本当に決められてるなら、私の家は既に没落しちゃってるから。してないって事は、いくらでも未来は変えられるって事だよね。うん。


レイエスに視線を向ければ、いつもと違って大人しい。

ただ真っ直ぐに私だけを見ている。

久しぶりにレイエスの顔が見れて、嬉しくて心臓が煩い。


「レイエス、どうしたの? 大人しいね。風邪でも引いた?」


喜びを押し隠して問いかける。

レイエスは、まだ一言も声を発していない。

熱でもあるのかと心配すれば、レイエスはいきなり私の手を握って歩き出した。


「え? ちょっと! どうしたの」


慌てる私の言葉も黙殺して、手を引くレイエス。


「アンジー、また後でね」


マリアの暢気な声に後ろを振り返れば、笑顔で手を振っていた。

アルは……噴き出しそうなんだけど。



とりあえず、手を引かれるままレイエスの隣に並ぶ。

横顔を見上げれば、どこか焦ってるような顔で心配になる。


繋がれた温かいレイエスの手を、きゅっと握れば更に強く握り返された。

繋がれた手にドキドキしてると、目的地に着いたのか、部屋に押し込まれた。周りを確認すれば、レイエス専用の個室だった。

レイエスもすぐに入って、後ろ手に鍵を閉める。

無機質な音が無人の部屋に響いた。


「アンジー、ごめん」


どうして謝るんだろうと思った瞬間、私はレイエスの腕の中にいた。

引き締まった胸が頬に当たり、レイエスの長い腕は、私の背中と腰にきつく巻きついている。顔を私の髪に埋めるようにされて、ちょっと擽ったい。


「レイエス? ……大丈夫?」


私の耳に聴こえるのは、レイエスの息遣いと、激しい鼓動。

もしかしたら私の心臓も煩くなってるかもしれない。


「……やっとアンジーに会えた。会いたかった……ごめん、もう少し抱き締めさせて」


ぎゅっと抱き締めながら、掠れた声を出すレイエスに、つい笑ってしまう。私だって会いたかったんだから。


私も腕をレイエスの背中に回して抱き締めれば、意外にも広い背中にドギマギする。


「そうだね、久しぶり。お疲れ様、かな?」


「うん。疲れた……告白した次の日から一ヶ月も会えないとか最悪だよ……アンジー、俺の気持ち忘れてないよね」


耳元で低く囁く言葉に心臓が跳ねた。色気を垂れ流すレイエスは心臓に悪い。いつか、これに慣れるんだろうか。うん、無理かも。


「俺に会えなくて少しは寂しかった? 少しは俺の事、考えてくれた?」


レイエスが話す度、耳に息がかかって顔に熱が上る。

お願いだから耳元で喋らないで。頭が真っ白になったら困る。


レイエスに伝えたい事あるんだから。頑張れ私。


「うん……凄く寂しかったし、レイエスの事、いっぱい考えたよ……私は、レイエスが好きだよ」


私の告白に、レイエスの身体がビクッと震えた。

背中に回していた手を胸に当てて少しだけ離れれば、レイエスの表情がよく見えた。

レイエスは、驚愕に目を見開いて私を凝視している。


「私はレイエスが好き、大好き」


目を合わせて、もう一度はっきりと伝えれば、徐々にレイエスの頬が朱に染まっていく。


レイエスも赤くなったりするんだな、可愛いな、なんて思ってると、レイエスの右手が私の頬に優しく添えられた。


ほんのり頬を朱に染めたまま。それでもレイエスの鋭い視線が、私の瞳を真っ直ぐ射抜く。


「本当に? 嘘じゃないよね」


疑いの言葉に一瞬眉を寄せそうになったが、仕方ないかとすぐに思い直した。


一ヶ月前に告白されてから、一度も会ってないし、レイエスからしてみれば急に感じるだろう。

疑うのは信じてない訳じゃなくて、ただ恐いんだと思う。

その気持ちは私にも分かるから。


だから。


「レイエスに告白された時、凄くドキドキして、真っ直ぐな気持ちを向けられて、凄く嬉しかった……レイエスと会えなくなって寂しかったし、もしレイエスの隣に私以外の女性が居たら、なんて考えただけで凄く腹が立った。ただの想像なのにね」


想いを全て言葉にして伝える。伝えなきゃいけないと思ったから。


よく言葉より行動が大事なんて言う人もいる。

確かに行動も大事だけど、言葉にしなければ伝わらない事も沢山あると思うんだよね。

だから、私は伝える。レイエスに私の想いが届くまで。


「私は、とっくにレイエスに落ちてたの。気付くのが遅くてゴメン……私はレイエスが凄く、凄く好きなの」


言い切った途端、唇が柔らかい物で塞がれた。

レイエスの顔がすぐ傍にあって、口付けられた事に気付く。


数秒で離れた唇はまだ近くにあって、二人の吐息が混じり合っている。


間近にあるレイエスの翡翠色の瞳が、幸せそうに細められた。


「……アンジー、ありがとう。俺を好きになってくれて……凄く幸せだ。愛してるよ、アンジー」


想いの篭ったレイエスの言葉に、私も幸せな気分で微笑んだ。


どちらが動いたかもわからないくらい、自然に二人の唇が深く重なった。






次で完結です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ