旅の始まり 5
夜、月が丸い、とっても
家、生まれから一度も離れたことない家、オヤジが亡くしたあと、この家にいるのは、俺と筋肉たちしか居ない。一人じゃないなのに、何故か、ちょっと寂しく気がする。
窓の側に立って、心の中、感慨を満ち溢れている。
「懐かしいな~~、あの時の事」
小さいな家、何処にも思い出の痕跡がある。
三才、その時、胸筋の成長を初めた。
五才、その時、始まりの6バック。
七才、その時、背筋で枝を挟んで折った。
笑いある、悲しいもある。
「ハッハッ、九才時の筋肉痛は本当に危なかった~~」
床の一角、ひとつ、埃いっぱいのダンベルがあった。
あれは、おやじのダンベルだ。
これを見ると、色々おやじの事、色々おやじの言葉を思い出した。
トレーニングをやり過ぎるの時。
「筋肉は苛めすぎると、駄目だぞ」
筋肉の未来の話をする時。
「いつか、出会うざ、君が筋肉で守りたい人」
腕筋の訓練を乗り越えるとき。
「鍛えた筋肉は、名前を呼ばないと力が出せないぞ~~」
思い出の欠片、美しい思いも、つらい思いも、良いも悪いも、今さえ全部、懐かしい思いになっていた、苦しい筈の思いさえ、いつの間にか、懐かしいの思い出になった。
このような気持ちに過ごして、故郷最後の一夜。
朝、空が白む。
[時を来た」
荷物を背る、扉の外に出て行った、扉閉じる前に、拳を腰前で握って。
「ふっーーーーホァ!」
両腕は胸先に円を囲み。
「ありがとうございました!」
胸拡張を別れの挨拶をして、長年の感謝を表した。
家を後にした、村の外に行く。
「早くーーーー」
「おっーー」
遥かなナナの声、遥かな返事を返す、追いつく前に、振り返す、も一度遥かに故郷を見る。
最後の郷愁を飲み込んで、前に向かって、足を踏み出す、そしてーー
俺と筋肉、旅に出る。