エルフの女神
と、意気込んだはいいものの、そもそも自分に魔法が使えるとも思えないし、剣など触ったことすらない。
そりゃそうだ、今まで地球に住んでたんだから。
「その、俺は魔法を使えるんかな?」
目の前のエルフの人にそう質問をすると、む?確かにそうだな。とその質問に納得し、一度考えてから。
「この世界に愛されている、君なら使うことはできるんじゃないかな。」
もし君以外に異世界の人間がいたとして、その異世界人が使えるかは、また別だが。
と一言追加して、また考え込む。
「君がまだ目を覚ましていなかったときの事なんだが、この世界の普通の人間と言う種は通常、この里にいる妖精さん達には好かれない、が、しかし私が倒れている君を発見したのは、妖精さん達が君に群がっている所だったから。
君はまず魔法を使えるだろうな、それに身体能力に関しても大幅に上がっている可能性もある。」
どれくらい上がっているか、それにどんな魔法が使えるかは、正確に調べてみんとわからんが。と一言追加した。
若干期待してなかったんだけど、まさか身体能力もなんて。
その話を聞いた俺は魔法を使えると言う事実と、身体能力すら上がっている、と言う話に胸が高鳴ったのは否定できないが。
妖精さん、って言うのはやっぱり、ファンタジーのアレ、って考えればいいのかね。
「あ、いくつか教えてほしい事があるんだが。いいかな?」
ベッドから体を起こしただけの状態から、胡坐に変えて、俺がずっと腑に落ちなかった事を聞きだす。
「ん?なんでも、質問してくれ。」
「君の名前と、どうして会ったばかりの俺にそんなに優しくするのか。悪い奴なのかも知れないぞ?そうじゃなくても、優しくしたって、特に見返りがあるとは思わないだろ?此処にきたばっかだし。」
名前知らないと喋りにくだろ?と、一言加え、それに、重症だったはずの俺に回復の魔法とやらをしてくれ、それから色々な事を教えてくれる。
疑っている訳ではないが、純粋に疑問として俺の心に残った。
「ああ、それは確かに・・・そうだな・・・。これ以上優しくするのはやめておこう・・・。」
と、急に真面目な顔を作り、右下を向き、暗い顔を・・・。
あ、これ嘘だ、演技ですわ。
だって滅茶苦茶、ニヤけてるもん。
この人滅茶苦茶面白いな。
「おい、ニヤけてるぞ。」
ふむ?と顔を戻し、口を開ける。
「おや、もうバレてしまったか。」
ニコッと顔を戻し、滅茶苦茶良い笑顔をこちらに向け、立ち上がって、姿勢を正し、頭を下げながら言葉を紡ぐ、
「名乗り遅れた。エルフ騎士団団長、エルフィス・エルアートだ。以後お見知りおきを。」
そう格好良く言い切り、姿勢を戻し、こちらに微笑みを向けるエルフの女の人、いや、エルフィスはやはり、女神のように思えた。
今日の一文
「ん?なんでも質問してくれ。」(ん?今なんでもry)