エルフの拾い物
ちなみにこの世界の名前は『リストシア』 と言います。
いつか世界観乗せます。
カワイイな、と思ってても妖精達はいまだに不満顔なので解消しなくてはな、とふふっと一度笑ってから妖精達をもう一度見つめなおしてから妖精達に驚いたことを告げること共に、疑問を投げかける。
「これは驚いたな!!ところで、これは本当に人間なのですか?それでは妖精さん達は近づかないものなのでは?」
そう言うのは、妖精達は人間を好く物ではない、妖精達は魔力に惹かれて集まってくる。人間にも魔力が飛びぬけて多いものがいる、が、しかしこれは魔力の量ではない、質の問題なのである。
人間の魔力が妖精に好かれる、なんて事例はこの世界の歴史上『一度しか』ないのである。
これはこの状況を見た、エルフすべての疑問になるだろう。
何もこのエルフ1人が疑問に思ったから聞いた訳ではない。
「もしかして……、この人は勇者なのですか…?」
続けて疑問を投げかける。
そう、その一度の例外は、過去一度しか召還されたことのない、『覇王』が現れた時に、同時に召還させられた、『勇者』だけなのだから。
そんな問いに、妖精達は口を揃えて、小さい体で小さい胸を張って断言する。
「こいつ、勇者じゃねーな。」
「勇者じゃないです?デス。」
「勇者じゃないわね。」
妖精達になるべく目線を合わせるためしゃがんでいたエルフは、そのままの状態で少し首をガクンと落とし、頬杖をつく。
少しだけ、期待に満ちた胸をため息と同時にへこませるが、まだ、何の疑問も解決できていないので、妖精達との会話を続行させる。
「では、妖精さん達、この人間は何者なのでしょうか、立場上、悪者なら排除するか追い出すかしなければならないのですが……。」
こんな質問を投げかけてはいるが、実際に悪者ではないのだろう。
何故か、妖精達がこの者の周りに集まっていた、それだけで悪者である理由はないのである。
が、しかしいい人とも限らない、無意識に悪意を振りまく者の可能性もないとは言い切れないし、無意識に悪意を振りまかなくても、害をなすことが無い、とは言い切れない。
しかし、妖精達はまたも小さい胸を張って断言する。
今度は力強く、確信を持って。
「わからねーな、けど絶対俺に害なす奴じゃねーぜ、いいやつだ。」
「この人は悪い人じゃないです!!絶対いい人です!!!デス!!!」
「なぜかは分からないですけど、確信を持って言えますわ、この人は私達と、いや、この世界に害を為す人ではないですわ。」
その3人の妖精達に好かれてるこの倒れてる男は何者なのだろう。
妖精が普段、こんなに人間を、いやエルフにだって、自信を持って褒めちぎることはないだろう。
妖精達の、五感なのか、それとも第六感なのか、この感覚は勘ではない、もはや予言にすら到達するレベルの感覚なのだ。いい人には寄ってきて悪い人には全く、絶対に寄り付かない。
それに、世界に愛されていなければいけないので、そんな条件をクリアできるのはエルフでも厳しいのだ。(正直無理に等しい。)
物凄く大きい関門なのだが、それをすべてクリアした『人間』これは何者なのだろう………。
興味が沸々と沸いてきたエルフは、では、こちらで保護させてもらいますね。ありがとうございます、妖精さん。
と早々に別れを告げ、さて、事情を知った国の皆が驚く顔と、その驚く皆に説明をしなくちゃならない手間を考えて、すべてを楽しみに、若干にやけた顔で散歩道を後にするのであった。
ちなみに、多くのエルフ達は、軽く手当てはして、止血などはされているが、血に塗れた服の人間を担いで自分の屋敷に[にやけながら]帰っている事
に驚いた模様であるが。
今日の一文
「勇者じゃないです?デス。」(たらちゃんDeath☆)