森の散歩道
エルフは皆、妖精や、精霊達を慕っているので。
敬称として、妖精さん、精霊さん。となっている。
妖精達はあまり深く物事を考えないので各自口調があり、ちょっと乱暴な口調をしている子は口調が乱暴なだけで別にエルフを見下しているわけではありません。
とあるエルフside~
ここは『大国アルフヘイム』、私の住んでいる国だ。
と、言うより私達エルフ(妖精、精霊、エルフ三種の総称)が住んでいる国だ、かな。
私達の住んでいる国はこのアルフヘイムだけ、1つしか国がないんだ。
人間や魔人はもっと沢山町や国があるそうだがな。
む?1つしか住んでないの?とか思ったか?これでも精霊さんが妖精さんを合わせると住んでいる数だけならどこよりも多いのだぞ?
あぁ、そうそう、聞いてくれ、今日は何時もの通りに森に散歩に行きつつ人間やドワーフなどが入らないように森の警戒をしていたんだがな、面白い物を見つけたんだ。
━━時は少し遡り、とあるエルフの散歩道。
「なんだこいつ?」
「死んでるのか?デス?」
「コイツ人間臭いのになんか嫌いになれないですわ?」
「こいつ人間か?」
「人間です?デス?」
「人間ですわね。」
エルフが散歩していると、そんなひそひそ声が聞こえてくる。
その声の正体はもう分かっている。
こんな色々な喋り方をする種族なんて、早々には見つからない。
だけど、いまいち何をしているのかは分からない。ひそひそ声もはっきりは聞こえないらしい、ひそひそ声で無く、普通に喋ってくれていれば、エルフの耳である程度遠くまで聞こえてはいるだろう、だが、今は距離も遠い上、更に、小声で喋っている。うまく聞こえなくても疑問はないだろう。
まぁ、ひそひそ声を出している正体は知らない訳ではないのだし、声を掛けてみよう。驚かせないように、ゆっくりと近づいて、そのひそひそ声のカワイイシルエットに声を掛ける。
「何をしているのですか?妖精さんたち?」
「あ、エルフだ!
「エルフです、デス?」
「エルフですわ!」
別にエルフに驚いてるわけではないのだろうが、同時に、違う口調で喋るので何か驚いてるような口調になっている。
妖精達は続いて、倒れてる何かに、指を挿しながら口を揃えてエルフに言葉を投げる。
「おい、エルフ!これを見ろよ」
「これみてみてです?デス?」
「これを見てほしいですわ!」
妖精3人同時にそこから移動しながら、引き続き指を挿してエルフの反応を楽しみにしている。
妖精達に示唆されて、そこに倒れている人影をエルフは目視する。
「人間が、倒れてる……?」
血まみれの『人間』が倒れている。
エルフは妖精達に失礼がないように、どんな事でも驚く振りはするつもりではあったが、エルフはそれが無くても素で驚いてしまった。
なんと言っても、ここ数十年、いや、下手すれば数百年は人間がこの森に入った、なんて報告は受けていない。
いま、エルフが行っているのは本当は散歩などではなく、人間が紛れ込む、ドワーフが故意に侵入する、などの警戒の為の、言わば巡回、なのではあるが。
それでも、ここ最近に人間が入った、いや、入れた、なんて報告は受けたことがないし、見つけたこともない。これは、余り必要の無い警戒なのである。長年の敵、ドワーフですら、ここ数十年は入っていない。
と、ここまで考えたところで、妖精さんたちがエルフの方を見ていることに気がついた、その顔にはっきり文字が書かれている、何か反応はないのか!?と。いや、比喩なのだが。
やっぱり妖精さんたちはカワイイな。そう、エルフが思うのも無理もない不満顔だった。
今日の一文
「おいエルフ!これを見ろよ!」(こいつをどう思う?)
「凄く・・・大きいです。」