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3.風呂入って歯を磨いて寝よう

 久々にナフィへとやってきた。

 正直凄い疲れた。

 ただでさえ遭難してて疲労困憊なのに、夜明けまで作業してたからな。

 客車の中は非常に空気が重く、睡眠がどうしても浅くなってしまった。

 何度も心の中で思った。ナフィでいっぱい寝ようと。


 ナフィに到着してまず向かったのは服屋だった。

 俺とトロープはもちろん、ナナも自宅が全壊したので着替えが無かった。

 本来は宿に行ってまず部屋を取るべきだが、今部屋に行ったらそのまま寝てしまう自信がある。


 服屋の後は銭湯へ向かう。

 気持ち良かったのは言うまでもない。

 文化の極みとはよく言ったものだ。

 だが、俺としては歯を磨けたのが一番助かる事かな。

 口臭は女性と一緒にいる上でどうしても気になる事だからな。

 別にナナに言われた事を気にしている訳ではない。気にしてないからな。


 重い顔をしていたナナが、かなり爽やかな顔をしている。

 そういえば、こいつも日本人だからな。


「どうだった? ここの銭湯良いだろ?」

「まぁ……良かった」

「何だよ、微妙な反応だな」

「いやー、温泉はもっといい男と2人で来たかったなーって」

「酷い……」


 何だ、こいつ少しずつ毒舌になってないか?

 本来の性格に戻ったってことは良い事だが。


 宿はどこにするか考えたが、前回泊まった所でいいかなと思った。

 急な人数の変更にも対応出来ていたし、サービスという点でも信用できる。

 懐かしいなー。マイに会ったのがここだった。

 今ここにいるメンバーが、あの時1人もいなかった女性というのが凄い妙な気分だ。


「最初、マイと会ったのがこの宿なんだよなぁ」

「へぇ、そうなんですかー」

「マイってどんな子なの?」

「えーっと……茶髪で短髪で弓を使う、元気で素直な子だよ」

「へぇー、あんな感じ?」

「あぁ、そうそうあんな感じ……」


 宿の入口で手をブンブン振っている人がいた。

 明らかにマイだった。


「ユゥーハさまぁーん!」

「マイ!? なんでここに?」


 駆け寄ってくるマイ。

 ピンポイントでここが分かったのか?


「はぁ……ユーハさまだー」

「クンカクンカするな。風呂は入ったけど、5日間遭難してたんだし」

「えー、入ってなくても大丈夫ですよ? むしろ入ってない方が……」


 マイがへっへっへと笑う。

 顔を見なくてもわかる。

 ナナがドン引きしている事を。

 だが、これがマイなんだ。色んな意味で素直なだけの子なんだ。





 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~





 色々と話したい事はあったが、説明はナナとピートに任せて先に眠る事にした。

 ちゃんとした布団はどれぐらいぶりだろう。

 本当に、本当に疲れた。


 目が覚めると、まず目に入ったのは凄い睨んでるカー君だった。

 凄いよく眠れた。

 寝心地が良かったというか……。


『おいそこの野獣ED』

『何だよその呼び方やめてくれよ』

『いいからベッドから出ろ。いいから』

『はぁ? 何でだ……』


 ベッドを改めてみると、トロープがいた。

 アイエエエエ、トロープ、トロープナンデ?


『アネさん、おめーさんがいると安心して眠れるって言うからよ』

『あぁ、洞窟だと寄り添って寝てたからな……』

『今日だけだからな! それ以上触ったら容赦しねぇからな!』

『そうか……』


 俺の腕に抱きつくように、トロープが寝ていた。

 さっきまで俺の腕に絡みついていたってことは、胸が当たってたんだよなぁ。

 うーん……。

 えいっ。


「お、柔らかい」

『おいコラてめぇ! 何アネさんの胸触ってるんだよ!』

『騒ぐなよ、トロープさんが起きちゃうだろ』

『だーもー!』


 バサバサと翼を動かすカー君。

 ざまぁ見やがれ。




 全員集合したので、説明を聞く事に。

 こちらから説明したい事も山程あるが、まずはなんでマイがここにいるのかを知りたい。


「ライトベルさんですよ」

「ライトベルが?」

「はい。ここの宿に居れば絶対に会えると」

「そうか……」


 あいつの無茶苦茶な能力は今に始まった事じゃない。

 奴ならやりかねんな。


『補足をするとな、ポートの奴が根回しをしたんだ』

『ポートが?』

『奴の声はライトベルにも聞こえるからな。休暇に入る前に、おめーさんがここに来るだろうって事をこっちと彼女に伝えたんだ』

『なるほど……』


 ポートの入れ知恵だったか。

 あいつ地味に仕事してから休暇に入ったんだな。


「あ、そうだ。マーシュのポータルがとうとう修理に入ったんですよ!」

「へぇ?」

「完成の目途は明後日のようなので、明後日皆でマーシュへ一度帰りましょう。えっと、そちらのナナさんもそれでいいですか?」

「へ? あ、はい」

「ちなみに、お前はどうやって来たんだ? フマウンのポータルからか?」

「いえ、マーシュのポータルから来ました」


 ……ん?

 何か話がおかしいな。

 マーシュのポータルはまだ修理が始まってすぐじゃないのか?


「あぁ、修理途中のポータルには試運転ってのがあるんですよ」

「試運転?」

「どの程度ポータルが修復するのかってのを検査するんです。それに便乗して来ちゃいました。本来は小枝とかで試すものなんですが」

「……それって危険じゃないのか?」

「はい! 一緒に持って来てた愛用の弓が折れてしまいました! でも、問題ないです!」

「……凄いねこの子」


 ナナも思わずそう呟いてしまうマイクオリティ。

 何というか、一歩間違えれば普通に大怪我とか最悪死にそうな話だが。

 まぁ、無事だったからいいけどさ。


「それと、これをお渡ししてくれと」

「これ? ……おぉ、結構な額」

「ユーハさまが多分お金に困ってるだろうって、ライトベルさんが持たせてくれました」

「あとは一泊の宿代ぐらいしかなかったからな。これは助かる」


 マイもちょうど弓が壊れたらしいし、俺もナイフをかなり消費してしまった。

 そしてナナは自分の武器らしい武器がない。

 ちょうどいい機会だ、今日辺り武器を買いに行こうじゃないか。





 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~




 皆でお買い物ということで、


『なぁ、カラス』

『おう、なんだよ』

『ずっと気になってた事なんだけどさ、俺たちを襲ったオーガいたじゃねぇか』

『あぁ』

『あいつ、おかしくなかったか? お前もポートもいたんだぞ? 探知できない訳ないだろ。というか、あんなのいたら気づくだろ普通』

『確かにな』


 ずっとずっと、その事が気になっていた。

 確かに俺達は油断していたかもしれない。

 だが、それ以前にポートは洞窟の中にゴブリンがいないと断言できる程の探知能力を持っているのだ。

 それが、あんな大物を見逃すはずがない。

 となると……。


『実は同じ事を考えていた。あのオーガは、精霊魔法がかかってたんじゃないかってな』

『やっぱりかー』


 オーガに精霊魔法がかかっていて、気配を消してたとしたら説明はつく。

 あの魔法自体が割と強力な為、そこまで強力な使い手でない可能性もある。

 だが、やっぱり犯人はあいつだろう。

 俺には感じられないが、マーシュでもナフィでも妨害したあいつが。

 となると、ピンポイントで俺らを狙ってきているのだろうか。


『……ところでよ、こっちにも聞きたい事があるんだ』

『何だよ』

『お前、洞窟の中でアネさんと何があった? アネさんが男にあんなデレデレなの初めて見たんだが』

『へー?』

『……何だよ野獣ED』

『いやー、お前って男として見られてないんだなーって思ってさ』

『んなっ!』

『男として見られれば、自然と自信って付くものだよな!』

『お、お前……』

『大丈夫、手は出してねぇよ。いーまーはーな!』


 俺の挑発を聞いて暴れるカー君。

 だが、お前はしょせんカラスなのさ。


「こら! カー君! 暴れちゃダメじゃない!」

「か、かぁー……」


 ちょろいもんだぜ。

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