4.性欲と後悔と決意と
互いの息がかかるまで、2人の顔は近づいていた。
だが、キスはしない。
マイとの約束らしいからな。
もう互いのムードは高まりあっている。
ポートにさっきから呼びかけても返事がない。
恐らく、エロい雰囲気になったらポートが出てこれないという制約に引っかかっているのだろう。
つまり、それに相応するだけのムードという事だ。
俺も腹を決めなければならない。
しばらくして、マイが入ってきた。
やはりいつもの寝巻だ。
だが、目が覚悟をしているものになっている。
リアはマイを一瞬見ると、ニコッと笑ってこう言った。
「我慢した甲斐があった……」
そして唇を合わせた。
俺の理性が吹き飛んだ。
「ユーハさん、くすぐったいですよ」
「こっちにもありますよ?」
「まぁそう慌てるなって」
リアとマイの寝巻の下から手を入れ、胸をまさぐる。
両手に花。紛れもなく両手に花だ。
そう、俺は最初こういうハーレムを想像してたんだ。
ようやく叶った気がする。
すべすべとした肌に、突起があるのを手で感じる。
あぁ、コレはアレか。アレなのだな。
自分のものとはまるで次元が違う。
美少女のものだと、自分を慕ってくれている女の子のものだと思うとこれまた格別だ。
「ユーハさん……んぅ」
「私、私もお願いします」
2人から次々とキスをせがまれる。
仕方ないなぁ、俺は1人しかいないんだ。
順番だぞ?順番。
「ふふふ、ユーハさんのユーハさんも触っちゃいますよー。……あれ?」
「どうした?」
「いやぁ、元気ないなぁと思って」
ふっふっふ、それは仮の姿。
俺は変身を残しているのさ!
計算ではそろそろリミッターが解除される時間。
マイが風呂に出てから、もう10分は経過してるからな!
「……あれ?」
「どうしましたか?」
もう10分は経過してる……よな。
おかしい、俺の息子がEDから回復してない。
どういうことだ……?
たしか条件は、マイが風呂から出てから8分……。
いや、待てよ?
「なぁマイ、今日湯船入ったか?」
「へ? いえ、急いで来ようと体だけ洗って来ました」
そ、それだ……。
コレでは息子が解放されない……。
こんな予感はしていた……。
どうせこんなオチだろうと……。
……寝よ。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
目が覚めたら、リアもマイも布団から出ていた。
昨夜は悪い事をしてしまった。
貧血とかが色々組み合わさって、立たなかったと説明はしておいたが……。
恐らく気にしてしまってるだろうなぁ……。
《恐らく気にしてしまってるあろうなぁ……じゃないですよ! この腐れEDの馬鹿DT!》
(ちょ、起きて早々酷いな)
《あんなの女の子のプライド傷つけまくりに決まってるじゃないですか! 2人とも鏡をチラチラ見ては悩んでます!》
(くっ……でもリミッターが付いてたし……)
アレが付いてる以上、俺は息子を起動させられない。
ならば、仕方ないじゃないか。
《かぁー! 情けない! ワタクシ……いえあたしゃー情けないよ! 湯船に入ってないだけなら、マイさんに頼んで改めて湯船に一瞬入って貰えば良かっただけのことじゃないですか!》
(……あっ)
《あっじゃないです! 改めてお風呂に行かせる方法が思いつかないとか言わせませんよ? 素直にリミッターの事を話して入り直して貰うとか、お風呂場プレイするとか手はあったんですよ!》
ぐうの音も出ない正論だ。
確かにその通りだ。
何で俺はそこまで頭が回らなかったんだ。
《結局ですねぇ、ユーハさん……いやこの腐れEDさんは肉食的な心が足りないんですよ》
(ひどいあだ名だ……)
《かの偉大なハーレムの先人、K.Mさんなら絶対にこんなミスしませんでした! あちらはガッツりと交わってるのに、こっちはEDハーレムなんて言われて……およよよよ》
(……すみませんでした)
《謝るのはワタクシにじゃないですよ! 腐れアホ馬鹿EDさんよぉ! と言いたいですが、まずは謝罪です。このままでは感想に「腐れアホ馬鹿EDさんの馬鹿!」とか「結局EDハーレムなんですね」とか「いいから早く『色欲』書けよ」とか言われちゃいます》
(申し訳ないです……ほんとすみませんでした……)
《それと! あの2人にもちゃんと謝ってください!》
(昨夜一応……)
《あんなんじゃ足りません! 土下座ですよDO・GE・THE! リミッターの事もちゃんと説明して、全面的に俺が悪かったと言って反省してください!》
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
結局、俺はその後場をセッティングしてくれたトロープさんにも土下座した。
ついでに何故かカー君とスランにも土下座をした。
確かに、俺は心のどこかで本当に本番していいのか? という疑問が常に付きまとっていた。
どんなに罵られようが、ぽんこつと言われようが反論できない。
この世界に来て以来一番後悔し続けている。
あまりのショックに、朝食の記憶も抜けた。
その辺りもずっと謝り倒していた気がする。
2人は許してはくれたようだが、やはり自分のせいだと思っている部分が見え隠れする。
本当に申し訳ない。
気が付いたら、ロントと合流する場所だった。
やばい、ここまで記憶が飛んでいたのか。
「あ、ユーハさんの魂が帰ってきました」
「おかえり、ユーハ」
「あ、あぁ……ただいま」
他の人から見ても分かるレベルだったのか。
よっぽど枯れた見た目だったんだろうな……ハハハ。
《ユーハさんが、ユーハさんがとうとう自分を卑下し始めた!》
「そういえばローちゃん、ご両親は?」
「タイミング悪く、遠洋に出てるようだった。多分キエルさんのとこの大船に乗せて貰ったんだと思う」
「あらー残念ね。じゃあ昨晩は1人で?」
「あぁ、まぁ」
「今晩はウチに泊まりましょう! 客室ならいくらでも空いてるし、何なら一緒の部屋で久しぶりに寝ましょう!」
「うー!」
客室いくらでも空いてたのか……いや、そんな気はしてたけどさ。
ロントのご両親というのも会ってみたかったが、残念だ。
「それより、今日はどうする?」
「クエストに久々に行かないか? 結構メンバーしっかりしているし」
そういえば、前衛2人に俺に弓、あとトロープさんか。
大型モンスターぐらいなら狩れそうなメンバーだ。
「さっきギルドを覗いてきたんだが、ゴブリンの討伐ってのがあったんだけどどうだろう」
「ゴブリン! いいわねー!」
「あれ? てっきりパトロールに行きたがると思ったけど」
「私とトロープが、2人で一番最初に受けたクエストがゴブリン狩りだったんだよ」
「懐かしいわねー、戦士と魔法使いの人と一緒だったのよね」
へー、そんな過去が。
何かファンタジーっぽいな。
「あの時、ローちゃんが「ゴブリン切ったら楽しかったから、人間切ったらもっと楽しいかな?」って思ったからこそ、今のローちゃんがいるのよねー」
「同じように「人間の血ってどんな噴き出し方するんだろう」って思っちゃったトロープに言われたくないな」
あぁ、そのゴブリン狩りが全ての元凶だったんだな……。
「あの、私はリアさんと一緒に買い物したいので……」
「えっ!? ……あっ……」
マイが一緒に行かないと言うとは!? と思ったけど、こいつリアと一緒にセクシーな下着を買おうとしてるのか。
旅に出る時は、地味で使い捨ての下着ばかりだからな……。
やっぱり、凄い気にしてるようだ。
《ユーハさんが女の子へこませたー》
(ぐっ……)
《いいですか? 今日は、今日こそは絶対に抱いてあげてくださいよ?》
(わ、分かってる……)
ここまで来たら、後には引けない。
今夜は言い訳なしで2人を抱いてやる。
それで、EDだの童貞だの二度と言われないようにしてやる!




