表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/188

9.秘密の呼び出しのような何か

「うわぁ、みなさん女性なんですねー」

「ハハ、男1人で肩身が狭いですよ」


 魔物使いの女性から、女性ばかりだから身に危険が及ばなくて良かったというオーラと、俺に対する白い視線を感じる。

 うわぁって言っちゃってるし。


 違う、俺が望んだ状況という訳ではないんだ。

 確かにハーレムなんだけど、説明しにくいけど何かが違うんだ。

 口に出したらすげー怒られそうな気がするから言わないけど。


「そうだ、せっかくですし自己紹介しませんか?」

「だな、えーっと俺から右回りという事で。俺はユーハ・アンチョビサンド、精霊使いをしてます」

《美味しそうですね》


 実は前世でも食べた事ないんだけどな。アンチョビ。

 美味しいのかな。


「私ですね、リアと言います。ご飯とか洗濯とか頑張ってます」

「この人数のですか、大変じゃないですか?」

「そうですねー、でも頑張ります!」


 よし、次。ライトベルだ。


「……ライトベル」

「……ってそれだけかよ! えっとこいつは呪術師やってる。人見知りだけど、多分一番活躍してる」

「はい、マーシュまでよろしくお願いしますね」

「……よろしく」


 次、ロントか。


「剣使いをしているロントだ」

「へ!? ローちゃん!?」

「は?」

「ローちゃーん!」


 魔物使いが急にロントに抱きついた。

 何だろう、知り合いだったのかな。

 ついでに「ヒメー」とか言いながらスランも抱きついた。

 ああいうノリ、嫌いじゃないぜ。

 ロントは困惑している。知らない人というより、思い出せない感じなのかな。


「2人は知り合いなのか?」

「えーっと……」

「私だよ私! いつも一緒に遊んだじゃん!」

「まさか、トロりん!?」


 トロりん?

 何か魚の脂乗った場所みたいな響きだな。

 確かに胸に豊満な脂が乗ってはいるんだが。


「知り合いだったのか?」

「あぁ、トーノの街のお隣さんで姉妹同然に育ったんだが……すっかり変わったなぁ」

「フフフ、ローちゃんも男っ気無かったのに、今や男について回るとは変わったわねー」

「なっ!」


 いやぁ、こういうやりとりいいなぁ。

 そりゃロントの故郷であるトーノの隣街がフマウンなんだから、知り合いがいてもおかしくはないな。


「いやぁ、ビックリした。全然変わったなートロりん」

「まぁねー、当時魔物使いもやってなければ、髪も長かったし茶色かったからね」


 髪の色が変わってたのか、そりゃ気づかんわ。

 どうやら彼女の家系の問題で、幼少期は茶髪だが次第に綺麗な金髪になるんだとか。

 老後は普通に白髪だそうだ。

 前世では小さい頃が金髪で、次第に赤くなってったりするのは聞いた事あるが。


「ということで、魔物使いのトロープです。こっちがゴールディングエンペラークロウのカー君です」

「ん? そのゴールディングってのは種族の名前か? 全然金色じゃないけど」

「いや、カー君の本名です」

「長っ」

「でもカー君がコレが本名だって言うんで」

「かー! かー!」


 何でゴールデンじゃなくてゴールディングなんだろう。

 んで、名前に『カ』が一文字も無いんだがそれも突っ込んじゃいけないんだろうか。





 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~





 その後の自己紹介は何事もなく終わった。

 トロープさんはそっとロントの隣に座った。


 旅は道連れなんとやら。

 俺たちの客車に同乗人がいるという事は、レッツマテリアル!

 当然トロープさんも出来るらしいので、この前ライトベルが買った例のブツを使って遊ぶぞ!

 というタイミングで、エレフトラが口を開いた。


「ちょっと待った、1つルールを提案したいんだけどいいかい?」

「どうした?」

「席替えを提案したい。マイの行動が、ちょっとユーハ寄りすぎるからねぇ」


 くっ、密かにカードをトレードする計画が狂ってしまった。


「じゃあ俺とマイを離せばいいってことか?」

「ブーブー」

「ふふ、私がユーハさん1人占め出来ますね!」

「いんや、リア。あんたもユーハと離れな」

「ぶぅーぶぅー」


 マイとリアがブーブー言っている。

 まぁしかし、これは戦法として有効かもしれない。

 それなら1つ俺にも考えがある。


「じゃあスラン、ロントと離れろ。せっかくなので、トロープさんもロントの隣以外でやってみませんか?」

「ほう、ここのマテリアルは妙に本格的ね。アウェーだと思ってたけど見直したわ」

「私はその条件を飲もう。スラン、それでいいか?」

「うー……」


 ロントが普通に振る舞っているが、眉間が若干皺が寄ったのが分かった。

 おそらくどちらかとやるはずの作戦が狂ったのだろう。


「じゃあユーハの隣は自分が行く事にするよ。スラン、ユーハの反対はあんただ」

「うー」


 ということで、俺の左右はエレフトラとスランという図になった。

 まぁこれはいい。

 エレフトラは俺の隣に座ると、小さな声でこう言った。


「ねぇ、あの魔物使いとカラス。知り合いじゃないのかい?」

「え? 全く心当たりないけど」

「そうかい」


 会話はこれだけだった。

 しかし、これは俺にとって警戒に値する会話だった。

 彼女は神の力が見える。

 つまり、この1人と1羽にも神の力が宿っているという事だからだ。


 そして、エレフトラはその事を伝える為にこの席替えを提案したとも言える。

 なかなか頭良いな。

 ついでに俺の財布をスろうとしなければ完璧だったのに。

 まぁいいか。とにかくマテリアるぞ!


《ユーハさん、トロープさんの印象は如何ですか?》

(トロープさん? 強いよね。序盤中盤終盤、隙が無いと思うよ。だけど、俺は負けないよ)

《この試合への抱負を、お願いします》

(えー、カード達が躍動する俺のマテリアルを、ポートに見せたいね)


 何てコメントしたらいいのかよく分からないやりとりを済ませ、いざマテリアルの戦いが始まる。




 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~





 一通りマテリアルが盛り上がった後、そっとトロープさんが手を挙げた。

 何だろうと思ったら、少し控えめな声でこう言った。


「すみません、ちょっと止めて貰っていいですか?」

「え? ……あぁ」


 トイレだろう。

 リアが荷物からトイレットペーパーのように使える植物の葉を何枚か取り出す。

 ……ん?

 トロープさんが俺の方を見てる? いや、アイコンタクトをしてるのか?

 一緒に外に出ろって言ってる。


「ちょっと俺も行ってくる」

「あ、じゃあ私も!」

「いや、そういうのいいから」


 リアが着いて来ようとするのをたしなめる。

 女性と連れションとかそういうのはちょっと……。

 というか、トロープさんは俺とこっそり話したいのだろう。

 リアがいると、ちょっと邪魔な可能性がある。

 先ほどのエレフトラの警告も気になるしな。




 外に出ると、予想通りトロープさんが俺を待っていた。

 肩にはカー君も乗っている


「えっと、どうしたんですか?」

「あぁすみません。どうもカー君がお話ししたいようなので」

「カー君が?」

「かー!」


 うお、予想外だ。

 カラスに呼び出しされるとか、前世でもないぞ。


「かー! かー!」

「え? 私もいいんですか?」

「かー!」

「……分かりました。ユーハさん、カー君を一時お願いします」

「え?」

「すみません、どうやら2人で話したいそうなので」

「そう言われてもなぁ……」


 つい流れでカー君を受け取った。

 カー君はトロープさんの肩からバサッと降りると、近くに

 俺、カラス語なんて分からんぞ。

 トロープさんは森の茂みへと姿を消して行った。

 催してたのは本当だったのね。


 さて、この状況をどうするか……。

 目の前にカー君が立っている。


「えーっと、カー君?」

『カァー! なんだよあの酒池肉林し放題なハーレムはよぉ!』

『うお、喋った!』

『俺がこぉーんなに苦労してるってのに、お前はなんであんなに羨ましいんだよ!』

『ちょっと待て、なんでお前話せるんだ?』


 急展開過ぎて訳が分からん。

 カラスって言葉話せたっけ?


《ユーハさんユーハさん》

『何だよ』

《ユーハさんとカラスさんが話してる言葉。前世の日本語です》

『へ?』


 ……本当だ、つい日本語で話されたから日本語で返してたのか。

 ってことは……。

 カー君はバサッと翼を広げた。

 そしてカラスの顔のままドヤ顔をしていた。


『オレは転生者。前世では内藤 和馬って言う名前だったんだぜ』

『転生者!?』


 こうして俺は、3人(?)目の転生者であるカー君と出会った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ