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19.Smoking food

 うーん、何という綺麗なお胸だ。

 大きいとは聞いていたが、仰向けで尚且つ綺麗な形に見える乳は凄い美乳だ。

 それに先っぽが物凄い綺麗な色をしている。

 コレ以上詳しい描写をしたらどこか異次元に飛ばされそうになる気がするからやめておくが。



《うわぁ、凄いねっとりとしてますね》

(うーん、止めなきゃいけないと分かってるんだが……)

《分かります。ユーハさんも男ですからね》


 ロントの傷に触るようならすぐにでも止めるが、スランの奴凄い慎重にロントを扱ってるんだよなぁ。

 ロントの傷も一応歩けるぐらいは回復してるし、何よりあのスランの健気な感じ。ちょっと止めづらい。


(うわぁ、あんなことまでしてる)

《耳ですねぇ……》

「スランちゃん、可愛い……」


 うわぁ! と叫び声を上げようとしたら強引に口を手で塞がれた。

 リアがいつの間にか一緒に覗いていた。


「お前、いつの間に……」

「うわぁ、スランちゃんあんなところを……あ、燻製の火は止めてきました」

「いや、そうじゃなくてだな」

「うるさいですね。今度は口で塞ぎますよ?」


 やだ、塞がれちゃう。

 いや、そうじゃなくてだな。


「そもそも、何でスランはああなったんだ? 何かトリガーになったと思うんだが……」

「あぁ、それは……知らないです」


 完全に声が震えている。

 今はスランを見てるのに必死だから見えないが、多分今リアの目は泳いでいる。

 ……怪しい。


(なぁ、そろそろ真相を教えてくれよ。何が起きたんだよ)

《そうですねぇ。リアさんが燻製を作ってるのは知ってますよね?》

(あぁ)

《その中に、ある食材があったんですよ》

(ある食材?)





 リアとスランは燻製の作業をしていた。

 その作業は2回に分けられていた。

 人数が多いから、一度に全員分の燻製が作れないのはまぁ仕方ない。


 前半に作られた燻製は、肉類だった。

 ベーコンやハム等。そしてある肉も……。


《それが、テイミングトカゲの肉でした》

(テイミングトカゲって……あの毒の?)

《はい! 食べたら確率で相手に絶対服従のアレですね!》





 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~




 俺とライトベルの関係が進んだと察したリアは、そっとある事を思い出した。

 テイミングトカゲ。それは俺へ食わせる予定の毒満載の食材。

 しかし、俺はポートの力で回避したり、精霊魔法で確率を下げたりしている。

 リアと出会ったばかりの頃より、俺は精霊魔法の腕を格段に上げた。

 おかげで、テイミングトカゲの毒を受ける確率も1%を割っているのではないか?


 だが、リアはある情報を知った。

 それはテイミングトカゲの肉を食べる際、燻製にするとその力を増すというものだった。

 そして、実行に移した……。


《んですが、2回に分けた前半にその肉を燻製に。後半の作業中にスランちゃんが、ソレをつまみ食いしちゃったんですよね》

(しかも、ご丁寧にロントの看病をしながら……と)

《幸い死に至る程の毒はその体質上回る事は無いのですが、完全にメロメロ状態ですね》

(スランは大丈夫なのか?)

《そうですねー。しばらくこの状態にはなりますが、エレフトラさんが解毒を使えるので、なんとかなります》

(いや、ならいいんだが……)


 それにしても、この俺のすぐ近くでハァハァしてるこの女。自分の失態でもあるのになぜこんなにあっけらかんと。


「なぁ、リア。もしかして、今回の事件はお前の責任でもあるんじゃないか?」

「へ? 何の事でしょう?」

「……テイミングトカゲ」


 あからさまにギクッという反応をするリア。

 いや、俺としては完全に裏を取っているんだが。


「お前、責任を取ってあの状態を何とかしろ」

「……何の事でしょう?」

「さもないと、おしおきをするぞ?」


 おしおきという言葉を聞いてあからさまに嬉しそうな反応をするリア。

 だがなぁ、残念ながらお前の想像通りの事はしない。


「おしおきですか! 何してくれるんですか!」

「いーや、何もしない。お前のいる前で、堂々とライトベルとイチャイチャしてやる」

「……くっ」

「しかもただイチャつくだけじゃ……ってお前何泣いてるんだよ!」

「だって、ユーハさんが! ユーハさんが!」


 どうしよう、ちょっとからかってやるぐらいの気持ちだったのに泣かれるとは思わなかった。


「良いから落ち着けって!」

「だって、だって」


 やべぇ、男としてこの場面は流石にまずい。

 なんとかしなければ。


《ユーハさん、ユーハさん》

(何だよ! 今修羅場なんだよ!)

《ドア、開いてます》

(……へ?)


 ロントの部屋のドアが全部開いていた。

 そして半裸になっているスランがこちらを見ていた。

 ……アカンやつやこれ。





「全く、どうしてこうなったんだろうねぇ」

「毒は取り除けそうか?」

「それはすぐだよ。ただ、ちょっとロントと引きはがした方がいいかもしれないねぇ」


 ロントのそばでベタベタなスランを、エレフトラが診察する。

 ちなみに流石に服は着せた。


 にしても、エレフトラは色々流石だな。

 こういう時に活躍してくれるのが本当にありがたい。

 一々病院に行ってるようじゃ金が持たない。


《それにしても、リアちゃん崩れちゃいましたねー》

(なんでここまで崩れてしまったのか……)

《彼女も色々我慢してるんですよ。誰かさんがハーレムとか作ろうとするから》


 リアは今、俺の腕をぎゅっとしながら半泣きになっている。

 この状態のリアに、責任取れ! とか言い辛い。

 俺、いつの間にかリアをこんなに追い詰めてしまったんだろうか。

 とにかく、スランをロントから引きはがして3階へ戻る。

 ロントはまだ熟睡中だ。どんだけ強い睡眠薬を渡したんだよ。




 これからどうするかの相談をする。

 ロントの治療。スランをロントから引き剥がす。エルフについて調べる。

 結構ミッションが満載だ。

 うーん、どうしたらいいだろう。


《ユーハさん、一個妥協案良いですか?》

(何だ、言ってみろ)

《エルフの里というのは、実はここから1日ちょいぐらいで到着するんですよ》

(ほうほう)

《ロントさんとエレフトラさんを療養に置いちゃって、残ったメンバーでエルフの里に行っちゃえばいいんですよ》

(なるほど……それはアリだな)


 すぐ帰ってくるなら、確かにそれでいいか。

 ちょっと提案してみよう。




「……なるほど、確かにいいかも」

「ここに帰ってくるのはどれいぐらいになるんだい?」

「多分3日か4日ぐらいかと」

「分かった、行ってきな。ロントはその間ばっちり治しておくさ」


 傷の治りは良くても、すぐに実戦に出られるという訳ではない。

 リハビリのようなものが必要なのだという。

 そこらへんを込みで治しておくのだろう。


「……じゃあ、今日中に何とか犯人のしっぽを掴んでみる」

「頼む、手伝える事があったら言ってくれ」

「……分かった」


 ライトベルは頼もしいな。

 何かぼーっとした様子のスランに近づいて話しかける。


「という訳で、エルフの里に向かう事にした」


 ロントを離れるという事を不安に思っているのだろう。

 顔に出ている。だが、対策は万全だ。


「ロントはまだ、客車に乗るだけで傷が広がっちゃうかもしれない。スラン、代わりに頑張ってくれるか?」

《うまい!》


 ロントの代わりに頑張れと言えば、スランはやる気になるだろうと踏んだ。

 事実スランは『よし! 私頑張る!』みたいな感じになっている。

 とりあえずこいつもいいだろう。

 あとは、問題のリアだろう。


「リア、お前の力が必要だ。エルフの里までの準備を始めるぞ」

「……はい!」


 リアとしては本来、俺を1人占めしたいんだろう。

 だが、申し訳ないがそうはいかない。

 今度良い目にあわせてやるから、しばらく我慢して貰おう。





 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~




 翌朝、寝不足で爆睡中なライトベルを客車に投げ込んだ。

 ポート曰くライトベルは何かを掴んだらしいので、もう大丈夫だろう。

 旅立ちの準備はもう手慣れたものだ。


「じゃあ、ロントは任せた」

「分かったさ。とっとと行ってきな」

「あぁ」


 ロントはもう大分動けるようになっていた。

 スランに近づいて、頭をポンポンと叩く。

 ちなみに昨日服を剥がれたのは、当の本人には秘密にしてある。


「スラン。私の代わり、出来るか?」


 スランは頬を赤らめながら、コクリと頷く。

 完全に恋する乙女だこれ。


 ブラウン君に一杯のご飯を食べさせてから出発する。

 彼の調子次第だが、上手く行けば今日中にエルフの里とやらに到着するはずだ。


 ブラウン君は客車を引いて町を出る。

 スランとロントを引き剥がす為とはいえ、スランの寂しそうな顔を見るとちょっと心が締め付けられる。

 ……リアもちょっと俺から引き剥がしてみても良いかもしれないな。




 こうして、俺達は4人でエルフの里に向かう事となった。

 ヤンデレ、殺人癖、引きこもりというカオスだったパーティーは新たなメンバーを加え、確実に進展した。


 これからも、俺達は色々な出会いがあるだろう。

 エルフの里は、俺達を歓迎してくれるのだろうか。

 そこで俺達は、どのような出会いがあるのだろうか。

 俺はそれをこっそりと楽しみにしつつ、夏の熱を帯びた風を肌に感じていた。

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