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14.Quest

 奴隷というぐらいだから結構酷い扱いをされているというイメージがあったが、スランは毎日ちゃんと温泉に入ってたらしい。

 大事な商品だからか、粗末に扱っても仕方ないのかな。

 うっすら感じていた事だが、この世界の奴隷と前世の奴隷で若干意味が違うのかもしれない。


 とりあえずクエストで腕試し! と思ったが、その前に宿に戻って色々教えておいた方がいいという事になった。

 一応いくらか服も買ってきたしな。見かけ重視の奴隷服より、動きやすい服の方がいいしな。


 ふとエレフトラの手元を見ると、いつの間にか本を持っていた。

 お前、まさか……。


「ち、違う。これはちゃんと買ったんだよぅ」

「本当かー?」


 どうもこいつがちゃんと買い物をするという行為自体を信じられなくなってる自分がいる。

 結局何を買ったのかってのは、やんわりとはぐらかされたし。

 本っぽいのは分かるけど。




 宿に到着すると、スランが駆け出した。

 どうしたのかと思ったら、真っ先に暇そうにしているブラウン君へ駆け寄って行った。

 全力でブラウン君に馴染んでいる。

 何か通ずるものがあるんだろうか。

 多分全力でもふもふしたいんだろうけど、残念だな。ブラウン君の毛は刈らせてもらった!


《凄い親和性ですね。自分の何倍もの大きさの狼相手にじゃれ付いてますよ》

(爪とかで怪我しないようにちゃんと見守らないとな)


 さて、とりあえず部屋にいろいろ荷物を置いて来よう。

 そう思いながら階段の前に立ったところで思い出した。

 ……あー、面倒臭い。全員上まで運ばないといけないのだろうか。


「……ユハ、お願い」

「お、おう……」


 当然のようにライトベルが抱っこをされに来た。

 こいつもリアも、お姫様抱っこ慣れが凄いな。

 自然にお姫様抱っこされに来るから、思わずしてしまう。


 スランはその光景を、目を丸くして見ていた。

 そして、そっと自分の真上を見上げた。

 何あの上目使い。殺人兵器だろ。

 そして、見上げられたロントがこれまた何とも言えない顔をしている。

 スランは主張しているのだ。ロントに抱っこしろと。

 結果、スランはロントが抱っこしていくことになった。

 エレフトラも徒歩で普通に上がってったし、やった! 2人で済んだ!




 ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~




 部屋に入って色々準備をしていると、リアがアイコンタクトしてきた。

 これはアレだ。女性的に何かやりたい事があるから、配慮しろってアイコンタクトだ。

 客車でこの目をされる時は、大体トイレに行きたいって時だ。

 恐らく、スランの各種着付けをしたいから部屋から出て行けということだろう。

 クエストに向かう準備を済ませて、一度廊下へ出る。


 廊下に道具を置き、窓を開けて外を眺める。

 何かここまで一気に来た感じがあるな。外をこんなに落ち着いてみるのも久々な気がする。


 この町では他の町には無い特徴がある。

 それは、モンスターを従えている人が多いということだ。


 俺たちもブラウン君を従えているが、ここでは人型のモンスターを仲間として従えている者もたまーにいる。

 もちろんブラウン君同様、客車用のモンスターもいる。




 風に当たっていると、ロントが部屋から出て来た。

 まぁ、こいつは着付けとか興味なさそうだしな。


「スランはどうだ?」

「可愛いぞ」

「いや、それは知ってる。そうじゃなくて、戦闘向けかどうかとか」

「あぁ」


 気持ちは分かるが、ちょっと冷静になろうぜ。


「正直、100点の買い物ではないと思う」

「そうなのか?」

「あぁ、でも悪くもない」


 簡単に言うと、力自慢は確かに良い。

 だが、戦闘の経験がやっぱり気になるらしい。


「使い慣れていない武器。モンスターと相対した経験もほとんどない。これから私が指導するが、しばらくは私ほど無理は出来ないだろうな」

「なるほど……」


 さり気なく自分が普段、若干無理しているというアピールをされたのは後で考慮しよう。

 確かにそう言われると、完璧な買い物ではないかもしれない。


「でも、私に懐いてるということは言う事を聞いてくれるということだ。それだけ成長も早いと思いたいな」

「そうだな」


 結構冷静に考えてたんだな。ちょっと反省。

 そうこうしていると、スランが出て来た。

 半そでにハーフパンツの動きやすいものだ。

 動きやすさ重視。どういう装備が必要かはクエストをこなしつつ考えていくことにした。

 ちなみに今回ギルドに向かう際、エレフトラも付いてくる。

 一応小銭を稼ぎたいとかなんとか。

 リアは夕飯用に燻製にチャレンジしたいと言っていた。その下ごしらえをするとか。

 え? ライトベル? 何故か筋肉痛で寝てるよ?





 ギルドへ向かう途中、スランはずっとロントの腕に引っ付いていた。

 えーい、イチャイチャしやがって。


「なぁ、エレフトラ」

「ん? どうしたんだい?」

「腕に組みついていいんだぜ?」


 頭をスパーンと叩かれた。

 いいツッコミだ。





 ギルドに到着すると、まずスランの冒険者登録をすることにした。

 ちょっとカウンターに足りなくて背伸びしてるのが可愛い。

 背中に装備しているハルバードが完全に不釣り合いだが。

 エレフトラは故郷で一時期冒険者で稼いでいたことがあったらしいので、手帳を持っているそうだ。


(どれがいいと思う?)

《簡単なものがいいですね。このウサギ討伐とかどうでしょう?》

(ウサギ? 簡単すぎないか?)

《甘いですねー、大型犬より大きなウサギですよ? 攻撃能力は薄いですけどね》

(……それにするか)


 どうも収益性が高いクエストは朝にほとんど取られたっぽいが、今は練習がてらなのでいいだろう。

 さっそくこのクエストを申請しようと考えていると、入口から数人の冒険者が入ってきた。

 何かちょっと不機嫌そうだな。

 ……ん?


「あれ? エリックとリーナ?」

「あぁ、ユーハさん。獲物発見できませんでしたー」

「なるほど」


 ついこの間客車に乗せたばっかりのカップルではないか。


 リーナの方にそっと近づく。

 エリックは清算しに行ったが、ほとんど収入が得られ無さそうだ。

 せっかくだし、今のうちスランを紹介しよう。


「えっと、あそこにいるのがスラン。新しい仲間だ」

「へぇ、可愛いですね」

「今からちょっと腕試しも兼ねてウサギ狩りに出るんだ」


 リーナがちょっと目の色が変わった。

 今日の収入が無いっぽいからな。

 結局一緒にウサギ狩りに行く事に。

 エリックが若干肩身が狭そうで可哀想だ。

 俺らの場合はポートの助けがあるから今までそう言う事はないのだが、クエストで目標を見つけられなければ、収入がほぼない日もあっておかしくはないんだよなぁ。





 町の外に出ると、東に向かう。

 本来は北東の方角にウサギが多いそうなのだが、ポートの情報によると東らしい。

 往復1キロぐらいなので、夕方までには帰れるだろうか。


「ロント、見えるか? アレが今日のターゲットだ」

「結構いるな」

「一羽だけとりあえずおびき寄せるから、なるべくスランにやらせて俺達はフォローに回ろう」


 離れた位置にウサギが何匹かいる。

 このウサギは集団行動が特徴で、最低でも10匹程度の集団を形成するらしい。

 そして何よりでかい。


 ウサギの一羽にナイフを投げる。

 耳の先っぽにカスった。怒ったウサギはこちらに向かってくる。

 適当に散開して相手の動きを惑わせる。


 スランの近くに敵を誘導する。

 彼女はハルバードを手に持って構える。

 タイミングを見計らってハルバードを振り下ろす。

 が、その獲物は空を切った。


 武器を振り回すというより、武器に振り回されているというところが強いか。

 まだ慣れが必要そうだな。


 ウサギをこれ以上興奮させても面倒なので、ロントがスムーズに倒してしまった。

 エリックとリーナは、次のウサギの釣り出しに動いている。

 手馴れてるなぁ。器用に一羽だけ連れて来た。

 しばらくあいつらと組むのもいいかもしれないな。

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